今回は、マーケティングにおけるリアルとデジタルの融合に役立つ、Beacon(ビーコン)を活用したマーケティング事例をご紹介していきます。
そもそもBeaconってなに?
マーケティングにおいては、主にBluetoothを利用してスマートフォンやタブレットへの連携を行う仕組みや、そのための電波を発信する端末を指します。iOS7がiBeaconに対応したことで、マーケティングへの活用に注目が集まりだしました。発信側のBeacon端末と、それを受信するデバイスがセットで運用されます。
主な用途は、位置情報を利用したデバイスへの接触のため、性質としてはGPSに近いものになります。しかし、GPSに比べより狭い範囲の識別ができ、またGPSの精度が落ちるor利用できない建物内や地下でも、Beacon端末があれば利用することができます。
その局所的な性質から、建物や店舗単位(さらに細かくは棚単位)での活用に向いています。
Beaconで安全管理! 子ども見守りシステム
様々な自治体と企業の協業により、実証実験や導入が進んでいるのが、見守りサービスです。
子どもや高齢者がキーホルダー程のサイズのbeacon端末を持ち、家族はスマートフォンに対応したアプリをインストールします。beacon端末を持って、地域の各所に配置したbeaconのレシーバーに近づくと、その情報がスマートフォンアプリに配信され、いつ、どこに居たかが分かる仕組みになっています。
beaconレシーバーは学校や公園といった施設の定点だけでなく、地域の有志が自身のスマートフォンに対応アプリをインストールすることで、それがレシーバーとしても機能する仕組みになっています。
リアルでの行動を、デジタルでリアルタイムで把握するbeaconの活用事例です。
Beacon×自動販売機で何ができる?
Beaconはリアルでの接触を基点とした様々なアプローチを行うツールです。そのため、各地に設置されている機器との相性は高く、その最たるものが自動販売機ではないでしょうか。
コカ・コーラやキリンはそれぞれベンダーと協業し、Beaconを搭載した自動販売機を展開中。Beaconを搭載した自動販売機で購入するとポイントが貯まったり、近づくことで周辺の観光情報が配信されるなど、活用の仕方は様々です。
今後はBeaconを設置した機器全てが、企業とスマホを持つ消費者との接点となる可能性があり、自動販売機は大規模な広告媒体となるかもしれません。
なぜBeaconは爆発的に普及しないのか?
ここまでご紹介している内容では、Beaconは消費者とデジタル的な接点にリアルでの場所、タイミングを加えた素晴らしい仕組みです。その点は正しいのですが、現在普及が今ひとつ進みきっていない要因がいくつかあります。
1.デバイス&Bluetooth依存
Beaconでのアプローチは基本的に、「スマホorタブレットを持って」「対象アプリをインストールして」「BluetoothをONにしている」ユーザーにしか行なえません。その為、ユーザー側がBeaconによるメリットを受け入れ、Bluetoothを活用する意識が醸成されないと、アプローチできる範囲が限られてしまいます。
2.プッシュされる広告への拒否感
Beaconはアプリを通じて、デバイスにプッシュでの通知を可能にします。アプリでのプッシュ通知はユーザーへの情報到達度が高いアプローチ方法ですが、その一方で「邪魔」だと思われてしまう可能性もはらんでいます。
Instagramを始めとしたSNSでの広告では、その内容やクリエイティブにユーザーが親和性を感じれば、広告への拒否感は薄いとの調査もあるため、CRMの観点でユーザーの行動にマッチし、しっかりとメリットがある設計を行えば「邪魔」と思われることもなさそうです。
活用方法次第では大変有効でありながら、まだ普及しきっていないBeaconですが、それだけにまだまだチャンスがあるとも言えそうです。