日本では、母の日の代表的なギフトとして思い浮かべるのはカーネーションです。オーストラリアでは、なんと菊の花をプレゼントします。菊=仏花として親しんでいる日本人としては驚きです。
母の日直前には、菊の花束を求めて花屋に並ぶ中高生たちの微笑ましい姿を目にすることができます。成人して家庭を持ってもこまめに連絡を取り、感謝の気持ちと「Love you, mum(ママ、大好きだよ)」の一言を忘れないママ想いのオージーたち。母の日にはどんなギフトを選び、当日はどのように過ごすのでしょうか。
オーストラリアにおける母の日の由来と、店舗の人気コーナー
オーストラリアの母の日は、日本と同じく5月の第2日曜日です。1924年にシドニー在住のハイデン夫人が孤独に暮らす多くの母親のためにプレゼントを渡したのが始まりで、毎年母の日を祝うようになったとされています。母の日の代表的なプレゼントである菊は、オーストラリアでは5月に満開を迎え市場に多く出回ることで、入手のしやすさから定番化したようです。
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4月のイースター(キリストの復活祭)が終わると同時に、街中の小売店では母の日に向けた商戦一色になります。デパートの各フロアでは、目につきやすいエスカレーター付近に特設コーナーを用意し、おすすめ商品を揃えます。消費者にとってありがたいのが、デパートやモールなどの大型小売店で行われている「おすすめギフトランキング」のコーナー。最も人通りの多い一角を利用して、前年の販売数や過去数カ月の人気商品の傾向から順位付けをして陳列されています。ママ達は子どもの好みを熟知していますが、子どもはママの好みや関心事には疎いもの。こういったランキングは、プレゼント選びのヒントにもなり、購入までの時間短縮にも繋がるため、とても助かります。さらにありがたいことに、ママの年齢層ごとの人気ランキングを取り扱うケースもあり、ギフト選びに悩まされることも少なくなってきました。
母の日はレストランの商戦日!勝ち組レストランはなぜ人気?
日本では、母の日は日頃の感謝を込めてプレゼントを渡すのが一般的ですが、オーストラリアでは「ママの休息日」という認識が強く、子ども達が朝食を作ったり、レストランを予約して家族でゆったり過ごす習慣があります。会社勤めであれば週末はお休みですが、ママ業は年中無休。母の日くらいはママ業を休んでね、という思いが根付いています。実際、レストラン業界では、母の日はバレンタインデーと並んで、1年で最も忙しい日のひとつとされています。
そのため、各店では母の日の顧客の囲い込みに力を入れています。ここで注目したいのが、シドニー中心地からほど近い高級住宅街ウラーラにあるビオレストラン「チズウィック」。同店では毎年母の日特別コース料理を提供しており、ランチコースで大人95ドル(約8,100円)、子どもが55ドル(約4,700円)と少々お高めの値段設定のですが、大変な人気を博しています。
このレストランは敷地内に農園を所有しており、公式SNSでは収穫した野菜やハーブ、採れた食材で作った料理やドリンクなどの、インスタグラムユーザーを意識した写真が多く投稿されています。若者や女性からの人気を集め、インスタグラムのフォロワーは現在(2017年4月)31万人を上回ります。母の日のプロモーションは、プレゼントを贈る側の子ども(=若者)やもらう側のママ(=女性)をターゲットにしたプランは必須。インスタグラム映えする写真を発信し続けるチズウィックに人気が集まる理由は、そこにもあると言えるでしょう。
皆が祝福、初めての母の日を迎える新米ママにリラックスタイムを
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母の日は、ママたちの日頃の頑張りを労うものですが、ママになって初めて迎える母の日だけは重みが違います。家族だけでなく親戚や友人、同僚などすべての知り合いが母の日を盛大にお祝いしてくれるのです。慣れない育児に奮闘し、日中だけでなく夜中も授乳で起こされる毎日。精神的にも肉体的にも疲れ果てているこの時期をオージーたちはよく理解しています。
そんな初めての母の日のプレゼントには、エステサロンやマッサージ店のコースが一番人気です。各サロンでは全身施術の贅沢なコースを母の日のために提供し、数週間前からプロモーションしていきます。
また、少し奮発して家族旅行をプレゼントすることもあります。オーストラリアにはハミルトン島など日本でも知られたリゾート地がたくさんあり、多くのホテルが母の日のためのパッケージサービスを提供をしています。母の日のパッケージには、オムツの提供からベビーカーの貸し出しサービスもあり、赤ちゃん連れの旅行でも安心して楽しむことができます。もちろん各ホテルにはベビーシッティングサービスがあり、ママは併設されたエステサロンで心身ともにリラックスする時間が持てるほか、夫婦水入らずでマリンスポーツを楽しむことも可能になります。
いかがでしたか?オーストラリアの「ママ休業の日」としての母の日。面倒な家事から開放され、家族からの感謝と愛情をたっぷり感じる一日があってこそ、またママ達は明日から頑張れるのです。
日本でも「イクメン」という言葉がすっかり定着し、パパの育児参加も当たり前となってきました。今回ご紹介したオーストラリアの様子が、日本の母の日プロモーションのHintになりそうですね。