イタリア人、と聞くと『陽気で情熱的』とイメージする人も多いかと思います。イタリアに住んでいて、しばしば彼らを見て「陽気だなあ」「情熱的だなあ」と感じます。そんな彼のイベントの過ごし方と、ギフト文化を見てみましょう。

年間のイベントの時期や内容は、日本や他のヨーロッパの国と比較しても大きな違いは見受けられません。しかし、社会が今なお「カトリック教」と「家族」という軸によって営まれており、ギフト・イベント文化に関してもその軸からぶれていないのはイタリアらしい特徴と言えます。カトリックのしきたりや伝統を大切にしつつ、家族や親しい人たちにどうやって喜んでもらえるか、楽しんでもらえるか、という点を探っていくことが、イタリアらしいギフト文化を知るカギとなり、ギフト市場を盛り上げる新たなヒントとなるのではないでしょうか。

情熱の国でも、プレゼントは「モノ」から「コト」と「実用性」

カトリック教にちなんだ祝日やイベントでは家族・親戚ぐるみで集まることが多く、その際の贈り物の習慣は欠かせません。長い不況はギフト文化にも影響を落とし、無駄な贈り物はあまりされなくなりました。ユーロ統合時には、街にあふれていた安価な中国製品を配ることもありましたが、そんな時期は過ぎ、今は記憶・知識に残るような「体験型ギフト」がイタリアではひとつの主流となっています。終日スパや料理教室などの「体験」は人気の高いギフトとして定番です。また、以前は嫌がられた商品券やプリペイドカードも、ちょっとしたお礼やお祝いに選ばれるようになってきました。好まれるものを想像して選び「モノ」を送ることから、無駄にはならない「体験」「実用的なもの(金券)」を送る方向にシフトしてるのです。情熱の国イタリアの冷静な面が見えてきています。

復活祭・年越しetc…イタリア人のイベントの過ごし方

カトリック教のイベントで、クリスマスと並んで盛り上がる復活祭でも、家族や親しい仲間との時間を大切にするのがイタリア人です。(復活祭は年によって3月~4月で変動します。)
復活祭当日の日曜日は教会へ行って家族とお祝いをして過ごします。翌月曜日は、友達同士で遠出をしたり、BBQをしたりして過ごします。その年の復活祭が4月寄りなら、大半のイタリア人は海辺のリゾート地に出て過ごすことを選びます。
1年の最後の日となる年越しも、カトリックの国では祝日となります。年越しカウントダウンは、家族や仲間と盛り上がるイベント。レストランはどこもガラディナーとなり、量も多く値段もおしなべて高くなるため、大概は誰かの家に集まり、0時までカードゲームに興じたり、食べたりしながらカウントダウンを迎えます。
このようにイベント時には、家族や仲間と楽しい時間を共有することがイタリア人にとっては何よりも大切なことなのです。

誕生日は、主役が大量のクロワッサンを同僚におごる!イタリア人の「おもてなしの心」を学ぶ

年間イベントで宗教に関係なく盛り上がるのは、やはり誕生日です。イタリアでは小さい頃から誕生日を迎える本人(家族)が焼菓子やピッツアを用意し、みんなに祝ってもらうのが習慣です。誕生会では主役がレストランや自宅でご飯やドリンクをすべて自腹で振る舞ってくれるケースが少なくありません。社会人ならオフィスで朝のコーヒーブレイクに大量のクロワッサンを持って行って振る舞ったり、午後には発泡酒で乾杯したり、なんていうシーンもよく見かける光景。

日本では、ある程度年齢度重ねるとバースデーパーティーをわざわざ開くことはなくなりますが(還暦などの節目に家族に祝ってもらうことはありますが)、イタリアでは成人にあたる18歳、それから30歳、40歳…と節目の年になれば、家族だけでなく多くの友達も招いて大々的に祝います。いくつになっても誕生日を盛大に祝うのはイタリアならでは。そこには、生まれてきたことだけでなく、自分を支えてくれる周囲の人々への感謝の気持ちも込められているのです。「ぼくが今日 誕生日を楽しく迎えられるのは、いつも支えてくれるみんなのおかげだ!さあクロワッサン食べてくれ!」ということでしょう。素敵なおもてなしですね。

まとめ

家族や仲間との時間を大切にし、イベントごとに集まり、一緒に時間を過ごすことを大切にするイタリア人。集まれば、気持ちを添えたプレゼントを交換し合ったり、プレゼントそのものはなくても、相手に感謝の気持ちを伝え、お互いの絆を深めていっているようで、日本とはまた少し違ったギフト市場の実態が伺えます。
特に誕生日に、本人が「周りに感謝の気持ちを伝える」ということが当たり前に浸透しているイタリア流バースデーパーティーは、新たなギフト文化のキーワードと言えるかもしれません。母の日、父の日、敬老の日、お歳暮やお中元…感謝の気持ちを伝えてギフトを贈るイベントは日本でも多数ありますが、特定の人ではなく周囲の仲間への感謝を表すイベントはなかなかありません。大切な家族や仲間と集い、つながりあい、感謝の気持ちやお祝いする気持ちをギフトとともに素直に伝えるイタリア式バースデーパーティーは参考になるのではないでしょうか。

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