そもそもイースターって?
ドイツでは、毎年2月になると、各店舗ではきれいな色の卵形(イースターエッグ)やウサギ形のチョコレートやお菓子が並び、イースターを迎える準備が始まります。イースターとは、キリストの復活を祝う記念日。日本語では復活祭、ドイツ語ではオースターンと呼ばれ、本来の宗教的な意味合いに加え、春の訪れを祝うシンボル的なイベントでもあります。
ドイツは社会全体でキリスト教の影響が強く、復活祭はとても大切な年中行事のひとつとなっています。日付は年によって3月末から4月末の間で移動します。金曜から月曜までの4連休になり、イースターに合わせて学校が2週間の春休みとなるので、その時期に休暇をとる家庭も少なくありません。ちなみに、2017年は4月16日(日)が復活祭、14(金)~17日(月)が祝日となります。
地域によっては、聖土曜日の夜にイースターファイヤーを燃やし、翌日の復活祭の朝に、色付けをしたゆで卵(イースターエッグ)やイースターにちなんだお菓子を庭や家の中に隠して、子どもたちが探す『エッグハント』という遊びをします。
クリスマスにサンタクロースがプレゼントを運んできてくれると信じているように、こうした卵やお菓子はイースター・ウサギが運んでくると子どもたちは信じています。この休みを利用し、家族、親戚、友人同士で訪問しあい、典型的なイースター料理であるイースターエッグや卵にちなんだ料理、子羊やウサギなどを使った肉料理、円形やウサギの形をしたパンを食べます。卵は復活の象徴であり、ウサギは豊穣の象徴であるとされています。
イースターの経済効果
ドイツで最も盛大に祝われる年中行事は間違いなくクリスマスですが、イースターは近年”新たなクリスマス”とも呼ばれ、盛り上がりを見せています。
伝統的なイースターの贈物は、イースターエッグ(色を付けたゆで卵、卵細工)や、卵形・ウサギ形のチョコレート、その他の甘いお菓子です。ドイツ菓子産業協会「Association of the German Confectionery Industry (BDSI)」によると、2015年にウサギ形のチョコレートだけで約2億個の売上があり、そのうちの40%が欧州のその他の国、アメリカ、オーストラリアなど海外に輸出されたと計算されています。2013年のチョコウサギの売上げ個数が1.9億個であったという統計があり、手堅く売上げを伸ばしているようです。イースター関連菓子全体の総売上高は、2015年に約4.5億ユーロ(530億円:1ユーロ119円計算)であったとレポートされています。
画像出典:https://www.lindt.de/produkte/ostern/schokoladenfiguren/goldhase-vollmilch/
さらに近年、イースターの贈物に対する消費者出費は増加傾向にあります。2015年のイースターの贈物にかかった出費は、平均38.01ユーロ(アンケートに答えたドイツ在住の一人あたり)であったという統計が出ており、最も出費が多かった州では60.71ユーロの出費をしたと答えています。贈物の種類は、前述の菓子などが今も主流ではありますが、その他に小さな贈物(ぬいぐるみ・玩具、化粧品、本、CD/DVDなど)、花、商品券、現金、より金額の大きな贈物(電化製品、自転車など)などと種類も多様化している傾向が伺えます。
その他、家族や友人への贈物だけではなく、イースター仕様の食器、インテリアのデコレーショングッズなど、消費者の出費範囲は広がります。
ドイツのプロモーションをご紹介。
イースターの時期は、春の訪れ、プレゼント、休暇など、消費者の財布の紐が緩む要素が重なります。そのような中で、企業が消費者を放っておくはずはありません。街頭広告やTVコマーシャルも華やかな色彩を放つイースター調になり、街のあちこちでイースターに関連づけたイベントが催されます。
ショッピングセンターや、そのほかさまざまなイベント会場(公共施設も商業施設も)では、春らしく明るいパステルカラー使いのイースター・デコレーションが施されます。
ゆで卵や卵の殻(生卵の中身を抜き、殻だけの状態)へのペイント、ウサギを関連づけた工作、卵を入れるバスケットのデコレーションといった子ども向け、親子向けワークショップや、復活祭頃には各イベント会場でもゆで卵やお菓子を探すエッグハントが行われ、街中が親子連れでにぎわいます。
日本でもきっと流行る『エッグハント』
特にエッグハントは、子供たちが大好きな待ちに待っているイベント!パステルカラーのドレスを着て、ウサギの耳のカチューシャをして、かごのバックを提げ、みどりが芽吹く春の町を子供たちが卵を探して歩く姿はなんとも微笑ましいものです。
ハロウィンの仮想パレードが定着した次は、間違いなくイースターのエッグハントです。楽しい&可愛いエッグハントは、ファミリー層にはたまらないイベントです。
画像出典:https://www.stadtzentrum-schenefeld.de/fileadmin/media/images/Impressionen/SZS_Ostern.jpg
出典:https://www.dasspielvolk.at/kinderbasteln-ostern.html
ポイントは春のウキウキ感♪
大人向けにも、食品だけに限らず、様々な商品でイースター・バージョンが発売されます。小売店ではレジ横にイースターチョコのミニブースを設置し、消費者へアピールしたり、イースター割引クーポン、イースター仕様のネイルまでも登場します。
伝統的に、家族で過ごすことの多いイースター。当然企業のプロモーションは家族、親子、そしてどちらかというと子どもをターゲットとした路線で展開されますが、近年では若者や大人向けの商品やサービスも充実してきています。キリストの復活を祝うと同時に春の訪れも祝う日だけあり、華やかさや明るさ、見ているだけで楽しくなるモノ、コトが街中に溢れ、心が浮き立ちます。そうした心理をうまく刺激することが、イースターにおけるプロモーション活動を成功させる秘訣かもしれません。
画像出典: https://www1.joliebilder.de/119405-2013918-4/image768w/nail-art-ostern-kelly-osbourne-1954072.jpg