周囲を見渡すと、若者が楽しそうにスマートフォンで写真を撮ったり、SNSで情報をシェアしたり、はたまた、ネットショッピングに夢中…

ここはインドネシアのジャカルタ。世界第4位の人口、平均年齢は29歳。まだ発展途上とはいえ、中産階級の増加、楽天的で新しいもの好きな国民性も伴い、消費意欲は常に沸き上がっています。

インドネシア人たちは、常に新しいアプリやサイトを使いこなし、情報は、すごい勢いで瞬く間に拡散していきます。テレビやインターネット上では多くのオンラインショッピングの広告が流れ、新しくできた店に行くと、必ずその店のECサイトのアドレスを載せたカードをもらうほど。

そう、この国ではどんな時も、生活する上で必要な情報は欠かせずスマートフォンをチェックしているのが日常の姿なのです。

インドネシアの買い物事情

そんなインドネシアでは、もちろん数多くのECサイトがしのぎを削っています。なかでも、lazada、Tokopedia、zalora、Instagram、KASKUSなどのサイトが人気。その理由は、知名度の高さによる安心感に加え、割安感、そして質問があれば直接確認できる機能性などが挙げられます。

急速に発展しているジャカルタでは、実際の店舗でも探せば大抵のものが手に入るものの、なにせ毎日ひどい交通渋滞。100m 進むのに何十分もかかることも当たり前で、欲しい商品を探し求めて店舗を何軒も回ることは、一度経験した者であれば、二度としたくない!と思うのが普通です。そのため、欲しい商品や食べたいものを、電話一本で代行して購入し、自宅まで届けてくれるサービスもジャカルタでは人気です。

そして、やはりいつでもどこでも商品を比較しながら手軽に買い物を楽しめるネットショッピングは、この国の現状と人々のニーズにとても合っていて大人気であることは、理にかなっていると言えます。インドネシア人たちがECサイトでよく購入するものは、化粧品、スマートフォンなどの電化製品、PCのパーツ、衣類など、その品目はさまざまです。

しかし、人気と比例するように、ECサイトのトラブルはインドネシアで後を絶ちません。そのため、本当に信頼できるサイトであり売り手なのかどうかを、人々は口コミを元に見極めようと努めています。支払いに関しても、クレジットカードが普及し、中産階級であれば一枚は持っているものの、スキミングの心配などから、支払いは現金振り込みなどの手段をとる場合が多いのが実情です。

インドネシア人は日本製品が大好き!

インドネシアは言わずと知れた親日国で、進出している日系企業の数も多く、日本のアニメ、商品も数多く見かけます。その評判や日本製品に対する信頼もいたって厚いのですが、それ以上に韓国製品、中国製品も多く、日本製品を装った中国製品も町中にあふれていて、それを日本製品と信じ、購入するインドネシア人たちも多くいます。

日本へ行ったことのある、多くのインドネシア人の友人は、「日本で購入した商品をリピートして購入したい」と口を揃えて言います。訪日時には、日本で人気の衣料品ブランドや、百円ショップの商品をはじめとする雑貨、化粧品、携帯のパーツ、趣味のフィギュアをたんまりと購入。そのクオリティの高さを再認識し、インドネシア国内で買える物は再度購入したり、日本へ年に一度買い物へ行ったりもするほどです。

そんな日本製品に魅せられたインドネシア人たちに、日本製品をインドネシアでよく購入するのか聞いてみると、「高品質であれば少々高くても購入する」という意見が多いです。「信頼できるサイトから日本から取り寄せて欲しい商品が購入できるのであれば、是非利用してみたい」と彼らは口々に言います。

日本へ行ったことのない人たちも、日本製品が取り寄せできるのであれば、スマートフォンやそのアクセサリ、バイクのパーツなど、なかなか手に入らない特殊なものなど、「インドネシアで購入すると高額になってしまうものをぜひ手に入れたい」と話します。

実はインドネシアでも、安価な商品はあるのですが、すぐに壊れたり、返品ができないことが多いのです。逆に高品質なものは日本で購入するよりも高額になってしまうので、リーズナブルでも高品質な日本製品は高く評価されています。

実際、インドネシアでは日本製品もよく目につき、我が家の電化製品もすべてインドネシアで購入した日本製品。よく購入するスナックも、日本製品であっても多少割高なくらいなのでつい日本製を選んでしまうほど。それは一部のインドネシア人も同じようなので、さまざまな日本製品がこの国でもっと手軽に手に入るようになれば、私はもちろんのこと、多くのインドネシア人に喜ばれるのではないでしょうか。

メジャーな越境ECと日本語の壁

いまや越境ECにより、インドネシア人がアメリカやヨーロッパ等から買い物をすることも珍しくありません。日本以上にジャカルタの若者は英語も使いこなし、海外情報も多く日常に入り込んでいます。ただ、日本語となると、まったく理解できない人たちがほとんどであり、日本製品や日本からの購入に興味はあるが何もできない状況です。

本当に欲しい日本製品がある人は動きだしているのですが、多くは日本製品に興味はあるが、すでにインドネシア国内にあるもので間に合わせている状況です。

人気に火をつける秘訣は口コミ

先日、ドラッグストアで日本製のファンデーションを店員に勧められました。日本では聞いたことも見たこともないメーカーの商品でしたが、現在インドネシア人女性に大人気とのこと。クオリティもよくかなり売れているということでしたが、その商品は決して多くのプロモーションを実施しているわけではありません。その人気の秘訣は、口コミによる拡散。ウェブ上でもリアルでも、商品に関するポジティブな情報が、どんどん広がっているというのです。試しに商品を使ってみましたが、正直なところ日本ではよくあるレベルの化粧品で、特別優れているというふうには感じませんでした。しかし、値段は手ごろなインドネシア価格。口コミに加え、手に届きやすい価格も、さらに人気を後押ししているのかもしれません。

インドネシア人は「お揃い」が好き

このように、口コミや情報の大好きなインドネシア人の間で一度火がつくと、あっという間にみんながその商品を使っていることがあります。お揃いのものを使うこと、同じ制服を着ることも大好きで、SNSを経由して認知度が瞬く間に上がることもあります。また、イベントによるプロモーションもこちらでよく販売に利用される手段であり、休日のモールではあっという間に人だかりが。

新製品へ対する好奇心、購買欲はまだ収まりそうにないうえに、インターネットが非常に大きな影響力を持つインドネシア。日本製品が大好きな同国の人々の手にもっと日本製品を渡らせるためには、言葉の壁を解決し、ネット上での口コミ拡散を促すなど、ちょっとした工夫を凝らしたECサイトで、大きな成果を期待できるかもしれませんね。

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