あのNikeも参入!サブスクリプション型ビジネスの最新トレンドとは?

 ■サブスクリプション型ビジネスへの注目

 NETFLIX、Amazon、Adobeなどの成功からみえるように、さまざまな業界において現在「サブスクリプションモデル」が注目を浴びています。従来の製品を購入する「買い切り型」ではなく、契約期間中に製品やサービスを利用できるというモデルです。このビジネスモデルが成功している背景には、モノを「所有する」ことよりも「体験を得る」ことを大切にするという意識変化が起きていることがあります。消費者は商品をむやみに「買う」よりも「好きなときに好きなだけ利用する」という所有しないライフスタイルを求めています。昨今、さまざまなサブスクリプションモデルが誕生しており、あのNikeも子ども向けのサービスとして「Nike Adventure Club」 (ナイキアドベンチャークラブ)を開始しました。

■Nike Adventure Clubのサービス

 「Nike Adventure Club」とは、Nikeがアメリカで開始した子ども向けのサブスクリプションモデルです。このサービスは、2−10歳の子どもを対象に、「Nike」&「CONVERSE」の100種類のなかから好きなシューズを選び、家に届けられるというものです。サービスプランとして、受け取れるシューズの個数・届けられる期間の違う3種類のプランがあり、それぞれ月額20ドルで90日間毎/年に4足、月額30ドルで60日間毎/年に6足、月額50ドルで30日間毎/年に12足を受け取れるプランが用意されています。また、もしデザインが気に入らなかったり、サイズが合わなかったりすれば、年2回まで交換も可能です。気に入った靴はそのまま所有できますが、不要になったものは半年に一度のペースで回収してもらえます。このように回収されたシューズは、もし状態が良ければ特定団体を通して寄付されるか、Nike Gridを通して公園や遊び場のゴムとして再利用されるというシステムもサービスの一環です。
Nikeはこのサービスを「両親の最良のパートナー」と位置づけており、育ちざかりの子どもを持つ親たちの負担を減らすことをおもな目的としています。子どもの足のサイズは、2、3ヶ月ごとに大きくなるというデータ*1もあり、すぐに新しいサイズの靴を買わなければいけないというのが親にとっては経済的にも、精神的にも大きな負担となっています。 Nikeは2年間「EasyKicks」というサービス名でテストを行い、親の心理(インサイト)を理解した上で、今回のサービスをローンチしました。その他、シューズが届けられるボックス内に「Adventure Kit」と呼ばれる親と子どもが一緒に楽しめるゲームやシールなどを同梱するという、これまでの買い物の時間を親子の充実した時間に変える試みも行っています。2019年8月に開始されたばかりのサービスですが、ローンチ1時間後にはキャンセル待ちになったそうで、十分なニーズを予感させます。実際、テストサービス「EasyKicks」においても限定されたエリアでの展開でしたが、1万人ものユーザーを獲得しており、そのユーザーからも高い評価を得ていました。この、Nikeによるサブスクリプションモデルへの挑戦は、継続的に顧客を獲得できる新しいビジネスモデルを実現したほか、親への負担軽減、リサイクルなどのシステム、Adventure Kitなどを通してブランドロイヤルティを高めるというブランド面でも大きな意味合いをもつと思われます。

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■サブスクリプション型モデルのこれから

消費者の意識が変わりつつある時代において、企業の継続的成長のためにはサブスクリプションモデルは必須となりつつあります。Nike Adventure Clubからもわかるように、サブスクリプションは企業にとっては継続的な収益が見込めることやブランドロイヤルティへの貢献というメリットがあり、顧客にとっては、お得にかつ便利なサービスが利用できるといった双方にとってWin-Winなビジネスモデルです。さまざまな企業がサブスクリピションモデルの導入を試みているなかで、導入のポイントを2点ご紹介いたします。

 Point1.顧客との継続的な関係を想定した価値の提供

新規ビジネスに参入する際には、新しいサービスが顧客にとってほかにはない魅力があることが前提です。しかし、それだけでなく顧客と継続的につながっているからこそ提供できる価値が重要になります。顧客との継続的な関係性を築くことで、一度の買い切り型では達成できない価値を提供することにより、顧客が今まで体験できなかった新しいメリットを示すとともに、ブランドへの関係性もより強固なものとなります。継続的な関係を前提としているアメリカでのサービスの例として、「SURFAIR」があります。このサービスは、月額定額を支払うことにより飛行機の乗り放題サービスを提供しています。飛行機をひんぱんに利用するユーザーは、より安価に、専用コンセルジュやチェックインの簡素化など利便性を体験できます。ただ一回の買い切りではなく、継続的な関係があるからこそ、ブランドロイヤルティも高められるサービス形態です。*2

 Point2.豊富なプラン(料金・内容)、選択肢の提供

サブスクリプションモデルにおいては重要なのは、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)であり、獲得した顧客と継続的な関係を築き続けられることです。そこで必要不可欠なのが、顧客に選択肢を与えることです。例えば、長期利用者を優遇するようなシステム、プラン変更が容易な仕組みなどです。初回購入しやすい安価なプランがあれば、新しい顧客のハードルも下がり、新規顧客獲得へも貢献するでしょう。

例えば「MealPal」*3 は、1,000店舗以上のレストランからランチ、ディナーを定額でテイクアウトできるサービスです。MealPalでは、ランチ/ディナーともに、ひと月のテイクアウトの回数にあわせて4つのプランが用意されており、ユーザーはニーズに合わせて自分にあったプランを選択することができます。さらに、普段のランチ/ディナーの料金と比較すると、お得感もあり、現在ボストン・サンフランシスコなどの北米を中心に、パリ、ロンドンと海外展開を進めています。

このように、Nike、ユニリーバなどの消費財メーカーから食品、ファッションなどデジタル以外のさまざまな分野でサブスクリプションモデルへの参入がみられます。今後ますます、新たな顧客との関係性を築き、あらたなビジネス企業の成長を目指すためにもさらにサブスクリプションモデルの検討が重要となってくるでしょう。その際には、自社が長期的な関係が築ける独自的なサービスの価値は何か、顧客との継続的関係性を築くためのシステムづくりの検討などを念入りに行い、新たなサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

【参考URL】
*1https://www.apma.org/Patients/HealthyFeetTips.cfm?ItemNumber=9861
*2. https://www.surfair.com/us/
*3. https://mealpal.com/

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