―ECが旺盛な今の時代に求められる、店舗の役割とは。
特に化粧品のカウンセリングブランドは、店頭でのお客様とのコミュニケーションが要になります。

カネボウ化粧品は、グローバルプレステージブランド「KANEBO」を展開する百貨店のカウンターに2019年7月より、「Touch(タッチ) & Bloom(ブルーム)」というツールを導入しました。これは自分の手指の肌への“ふれ方”の特徴を“花の咲き方”としてビジュアル化し、ブランドコンセプトに基づきながら、店頭でのコミュニケーションを促進することを目指しています。

前編では、株式会社カネボウ化粧品の矢野麻由佳さまに、共同印刷株式会社の横田ゆいがインタビューし、本ツールの開発目的と背景、使用シーン、開発のこだわりなどをご紹介しました。

後編では、導入後の効果や、今後の店頭コミュニケーションの展望などをご紹介します。

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【この記事は連載です】
肌への触れ方をビジュアル化
KANEBOが実現!アプリ活用の新しい店頭コミュニケーション手法とは【前編】

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「Touch&Bloom」導入後の効果

横田:導入後の、ビューティカウンセラーの方やお客さまの反応をお聞かせください。
また、弊社では教育用テキストなども制作させていただきましたが、ビューティカウンセラーの方への教育や実際に使用してみてのご感想、ご意見はいかがでしたでしょうか。

矢野さま:どのような流れや順序でビューティカウンセラーへ情報提供するのがわかりやすいのか、教育用テキストの内容を社内で何度も練り直すという過程に、非常に意味があったと実感しています。また、会議でビューティカウンセラーへ説明する際も話が進めやすく、きちんと製本されたテキストという一律のマニュアルがある点に意味があったと感じています。

横田:テキストには、目をつぶって指で触れて感触を楽しんでいただくページがあります。それについてはどのような反応がありましたか。

矢野さま:そのページの制作時には、テキストの質感(体感)の印刷提案をいただき、いくつものサンプルを触らせていただきましたね。教材に、“触覚で感じる”という体感するものが含まれるのが初めての経験のため、ビューティカウンセラーからはとても新鮮な反応が見られました。

【ビューティカウンセラーの声】
「今まで店頭でお伝えすることができなかったふれ方や感覚的なことを、楽しみながらお客さまにお伝えできる」
「他社にはないふれ方のアドバイスができる」
「わかってはいたけど、改めて『化粧って楽しい』という化粧習慣の原点を再確認できた」

【お客さまの声・反応】
「お手入れ時、お肌にふれるときの手指の動きまでは気にしていなかったという発見があった」
「丁寧にお手入れをしているつもりだったけれど、自分自身のふれ方が意外と速かった、強かったなど、驚いたり、気づいたりすることができた」
「一度目は上手くお花が咲かなかったが、家で意識してスキンケアを試みたところ、次の来店時にはお花が咲くようになった」

今後、店頭におけるコミュニケーションはどう変化していくのか

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横田:今後、店頭におけるお客さまとのコミュニケーションはどう変化していくとお考えでしょうか。

矢野さま:商品を購入するだけであれば、ECのほうが楽に、早く手に入ります。そのようななかで、あえて店頭に来てくださるお客さまに対しては、ふれ方はもちろん、使い方や、お客さまの気分やコンディションなどを踏まえた提案を行う「付加価値」が必要だと感じています。むしろ、それこそがカウンセリングブランドの本質です。店頭で試したり相談してから購入したりしたい方にとっては、人にしかできない体温を感じられるフィードバックは、今後ますます必要な要素だと思っています。
そのような想いもあり、Touch & Bloomは、計測ツールでなく、楽しさを「共有」する、「コミュニケーションツール」と定義しました。

横田:店頭におけるコミュニケーションについて、最も大切に思うことは何でしょうか。

矢野さま:どんなことも話し合える関係性や雰囲気づくりでしょうか。カウンセラーと消費者の関係性という意味では、これまでは“美容知識の上下関係で、知識や技術をアドバイスする”といった形が主流であったと思います。
しかし、周りに情報が溢れ、生き方も自己表現も多様になった昨今は、パーソナライゼーションが肝心です。パーソナライズする方法は複数ありますが、私たちは「人と人との対面で生まれる温度感や共感があってこそ、その時々のお客さまにできるご提案がある」と考えています。

そのためには、お客さまがどのような方なのかを理解する必要があると感じています。一方で、ネット社会に慣れている方々にとっては、自分のことを色々話すのに抵抗があるかもしれません。ビューティカウンセラーは、専門性やある種のカリスマ性がある人というようなパーソナリティでありながらも、お客さまの延長線上、フラットな関係性のなかで何でも話し合える雰囲気づくりができたらと思います。このコミュニケーションツールがその一助になればと考えています。

「Touch & Bloom」は、カネボウ化粧品のブランドが追求している「ふれる」ということをメインに、店頭でのビューティカウンセラーとお客さまとのコミュニケーションの一助となる重要なツールとして制作、導入されました。

ECが旺盛な今の時代にこそ求められる、「付加価値の提供」や「パーソナライズ」といった店頭接客のあり方のヒントの一つになるのではないでしょうか。

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