「デジタルマーケティング」におけるKPIの基礎と最新好事例

「どうやって効果的なオンライン・プロモーションを行うのか?」昨今、多くの経営者やマーケティング担当者の頭を悩ませている問題の一つです。通常、プロモーション実施前に「KPI」を設定しますが、各種の数値的な測定、例えば「ページビュー(PV)」や「シェア」などはSNS各社のツールで簡単に把握できます。しかし、これだけで効果的なプロモーションができたと言い切れるでしょうか。今回はまず、さまざまな指標がある中でいくつかの「KPI」に関する基本を整理し、指標例をあげ、さらに最新のKPIに関する好事例をご紹介します。

「KPI」と「 KGI」の設定

まず、「KPI」 とは「Key Performance Indicator」の略で、ビジネスのプロセスごとでの達成度合いを測る『重要業績評価指標』、つまり「ものさし」となります。これに対してKGI(=Key Goal Indicator)は『重要目標達成指標』、KPIが途中過程であるのに対しKGIは最終的なゴール・目標となるものです。

例えば、KPI設定がなくKGIのみでは具体的な中間指標が抜けた状態となり、KGI達成の道筋が見えづらくなります。目の前の売上や利益だけで状況把握することになり、目標に向かっているか、道を逸れているか不透明になります。しかし、KPI設定によって(=中期的な目標数値を持てば)、途中過程で成長や進捗を『見える化』でき、経営指標においた明確な道筋を立てやすくなるのです。しかし、KPIはしっかりした『KGIの設定』が前提であることも忘れてはいけないでしょう。

さまざまな「KPI」指標を整理する

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デジタルマーケティングにおいてはアクセスやヒット数など、ほぼすべてのデータがトラッキングできるメリットがあります。しかし一方で、この数字に翻弄され過ぎ、最終目的の売上貢献や顧客満足度を高めると言ったような、本来の目的が見失われがちになるデメリットもあります。目的に合ったKPIを設定するためにベーシックな部分を整理してみましょう。

1、営業売上げに関するKPI

これはマーケティング全体に言えることで、営業売上にどれだけ貢献しているかを知るプロセスです。貢献度を知るには獲得見込み客が、営業でどのくらいクローズされたかが一番わかりやすいかもしれません。例えば『1ヶ月に50人の見込み客を獲得、その内30%(=15人)からクロージングする』というKPI設定なら、マーケティングそのもので獲得した数などに相違があれば「戦略、もしくは設定値を変える必要がある」とわかります。

2、モバイルに絡むKPI

2018年のGoogleアルゴリズム改定で、Webサイトでモバイル版のページをインデックスやランキングに使用、主にモバイルユーザーが探すものを見つけやすくするという発表¹がありました。そのため、モバイル最適化は必須となりました。
ですから、トラフィックでの見込み客への「コンバージョン率」を設定すれば、最適化されたサイトの効果とともに確認できます。さらに比較対象として、モバイル重視のKPI設定にパソコンからのトラフィックを設定するのもよいでしょう。
●モバイルに絡むKPI指標例:トラフィック数(スマートフォン・タブレット・パソコン)・モバイルからの見込み客獲得数・(モバイルに最適化された)LPのコンバージョン率など

3、WebサイトのLPに関するKPI

Webサイトでは上記のモバイル最適化とも絡めた設定が必要ですが、LP(ランディングページ)による見込み客の獲得が非常に重要です。そこでこちらも、自社目安やLPの最適化などにも役立つ「コンバージョン率」の設定は欠かせません。LPごとの計測やダウンロードオファーのニーズ、訪問者が興味を持つトピックを知ることもできます。また、Eメールにおいては指標例としてコンバージョン率・開封率・クリック率・配信停止率などがあります。

4、SNSに関するKPI

現在のデジタルマーケティングにおいて、見込み客・顧客を導く際にSNSは外せない要素の一つです。以前、動画マーケティングでもご紹介した顧客化を導く4つのステップ「1、ATTRACT(惹きつける)→2、CONVERT(顧客へ転換する)→3、CLOSE(購入に導く)→4、DELIGHT(喜んでもらう)」がありましたが、この中で特に「ATTRACT・DELIGHT」での貢献が高くなっています。
さらに、さまざまなチャネルでのコンテンツ拡散でトラフィックが見込めること、見込み客などのモニタリングでコンテンツ作成や情報収集に役立てられるというメリットもあります。ただし、自社製品とターゲットに見合うSNS選定が必要です。

●SNSに関するKPI指標例:SNS毎のトラフィック数・見込み客コンバージョンに貢献したチャネル・フォロワー数増加率・チャネル毎のエンゲージメント率(リツート数・いいね・シェア・コメント)など

最新の「KPI」設定方法における『好事例』とは?

KPIは中期的な「目標数値」で、当然「具体性」と「可視化」に必要不可欠です。しかし、最新のKPIには『視覚的要素(写真や動画)』をより重視して設定、プロモーションに活かす企業も増えています。多くはSNSやアプリなどですが、今回はその中で『Instagram』を利用した事例を取り上げます。日本でも定着した「インスタ映え」、これ自体(Instagramability=インスタ映えの良さ)を「KPI」として設定し、プロモーションするというものです。

Instagramは、世界日間アクティブユーザー数約5億人、月間アクティブユーザー数も約5億人²。画像がメインで文は補足程度、つまり視覚的・直感的に訴えられ、言語に関係ないプロモーションが可能で、自社ブランドへの信頼や共感を生むこともできます。さらに、アメリカのティーン(13〜17歳)では約63%が日々利用するというデータもあり²、10~20代のファッションや芸能、食べ物などに興味がある女性層を取り込めることも強みの一つです。しかもFacebookでも同様³ですが、詳細なセグメントをかけられるので「ターゲット」を絞った戦略が可能です。

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1、DairyPure

大手ミルク会社の「DairyPure」はアメリカではトップブランドの牛乳ですが、まだ、比較的若いブランドです。そのため、ミレニアル世代の母親たちに対するブランド認知度を高めるという目標を掲げ、アクセス数&ブランド認知率の向上をKPIとして設定しました。これによりターゲットを『就学前・未就学中の子供を持つ母親(21〜49歳)』、『牛乳に興味を持つ女性』に絞ったプロモーションで成功を収めました。また、そこでは「自動プレースメント機能」というオプションを選択し行ったのが大きな特徴です。これは、予算に対した費用対効果の高い広告枠に応じ、『Facebookニュースフィード・Instagramフィード・Instagramストーリー』で自動的に広告掲載されるようになるので、より多くの目に止まりマーケティングの影響力が引き上げられます。
DairyPureは、2018年7月30日から2ヶ月間のキャンペーンで、700万人のアクセス数を伸ばしました。子供がチョコレートケーキに顔をうずめ、その後、牛乳を飲むという可愛らしい3秒間の動画は、再生率が100%となり、22〜34歳女性のブランド認知率は、22ポイントも上昇しました⁴。

2、メイベリンジャパン

メイベリンジャパンは、購買層ターゲットの新商品への認知度と購買意欲を高めることを目標に、アクセス数と購買意欲の向上をKPIとして設定。また、テレビとInstagramの広告の影響を判断するために、それぞれ広告の焦点を変えて行いました。
テレビでは『ブランド認知&新製品マスカラの紹介に焦点を当てた広告』、一方、Instagramでは視聴者の目に止まりやすくするため『新製品のマスカラを強調した広告』を配信しました。この影響を比較した調査では、Instagramの方が「購入意欲とブランドへの印象を高める」という結果を発表。実際、 2017年9月から約1ヶ月行われたキャンペーンで、200万のアカウントがメイベリンのInstagramにアクセス、購買意欲を7.3%向上させ、同時にブランド好感度も9.8%上昇しました。しかも、テレビと比較し広告コストが86%節減できることもマーケティングツールとして大きなメリットと言えるでしょう⁵。

3、MeUndies

成人下着のサブスクライブ(定期販売配送)を行なう「MeUndies」。ここでは、新規顧客の獲得と売り上げ向上のため、HPへのアクセス数・カートへ品物を入れる率・購入額をKPIとしました。
InstagramとFacebookの両方で、カラフルでユーモア溢れる下着をカップルや友達同士でお揃いでつけている写真や動画を多数投稿し、その投稿の下に『今すぐ購入』のオプションを設定。ユーザーの高評価をすぐに購買へつなげるべく次のアクションも準備されています。これによりMeUndiesは、2018年4月13日から3週間行なったキャンペーンで140 万人のアクセスを達成、カートへの品物を入れる率は18%増加し、購入額も2.1倍増の結果を出しました⁶。

4、Coors Light

「Coors Light(ビール会社)」は、ミレニアル世代へ認知・消費を推進したいと考え、これを達成するため購入者が感動を共有できるコンテンツの配信でブランドイメージの向上を目標に設定しました。そのために、アイスランド遠征を行う探検家、AndrésRuzo氏にフューチャーした長編CMを製作、そこでは「National Geographic」とも提携しました。動画広告では、Facebookニュースフィード・Instagramフィード・Instagramストーリーで配信、『Learn More(詳しく見る)』のリンクとともに、ビールやスポーツに興味が高そうな21〜34歳のアメリカ成人に広告を配信しました。その結果、2018年9月1日からの30日間でサイトアクセスは1050万人に到達し、ブランドロイヤリティも3.9ポイント増、ブランド好感度では6.8ポイント増の効果を出し⁷、Coors Lightはブランド力を強化させるためのキャンペーンを成功させたのです。

まとめ

このようなプロモーションの成功には、KPI設定の基本的な考え方やデータ分析方法などを理解しておくことが第一です。その上で、効果的な成果を出す数値や設定方法を考え、KGIと道筋を合わせていくことが重要なのです。

<参考URL>
¹https://webmaster-ja.googleblog.com/2018/03/rolling-out-mobile-first-indexing.html
²https://expandedramblings.com/index.php/important-instagram-stats/
³https://www.wordstream.com/blog/ws/2015/10/20/facebook-audience
https://business.instagram.com/success/dairypure/
https://business.instagram.com/success/maybelline-japan?locale=ja_JP
https://business.instagram.com/success/2-meundies/
https://business.instagram.com/success/coors-light
https://www.forbes.com/sites/michellegreenwald/2018/12/04/instagramability-the-new-highly-important-kpi-9-great-examples/#6d9d2983059f

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