接客AIロボットのトレンドは「表情読み取り」 データ取得にも貢献

AIが進化する中、AIツールを接客ロボットとして活用する店舗が話題になっています。そして今年2018年には、顧客の表情を読み取ることによって、適した商品を推測して案内し、買い物体験を変えるという方法がますます活性化すると予測されています。
そこで今回は、表情から顧客の表情を読み取り接客するAIロボットの効果や、表情読み取り接客の今後について探ります。

■フクロウのロボットが百貨店で接客!

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2017年8月、伊勢丹新宿本店で開催された子ども向けのデジタルトイのイベント「デジタルホビーフェス」では、フクロウ型の小さなAIロボット「ZUKKU(ズック)」が登場し、訪れた子どもや親へ接客しました。

ZUKKUにはカメラやセンサー、スピーカー、マイクなどが内蔵されており、目の前にいる人の性別や年齢、人数、表情などを認識できます。そしてそれらの情報をもとに、伊勢丹新宿本店デジタルホビーフェス内のおすすめ商品がサイネージに表示されるようになっています。

今後、こういったAIロボットが顧客の表情を読み取り、適切な商品を見定めて売るという流れがトレンドになるとも予想されています。
そこで、このZUKKU(ズック)を開発している株式会社ハタプロの代表取締役である伊澤諒太さんに、表情を読み取り、年齢・性別を知るというZUUKUのしくみを伺いました。

「ZUKKUには、500万枚以上の人物の画像を学習させ、統計的なデータより、人の口角や目尻や顔の幅サイズなどから、年齢と性別を推定できるようにしております。表情はデジタルカメラなどにある『笑顔シャッター技術※』を応用しています。」(ハタプロ 伊澤さん)

※笑顔シャッター技術:カメラに写る人が笑顔になった瞬間、自動でシャッターを切る機能

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「ZUKKU」の案内ボード

当日、案内ボードには、ZUKKUとのふれあい方として、まず「1.ZUKKUを手にとる」「2.ZUKKUの目を見て笑顔で話しかける」と掲示されていました。気になるのが「笑顔で」話しかけるというところです。

「実際は笑顔でなくても会話は可能ですが、会話をするにあたり、ロボットも機械ではなく生き物として扱ってほしく温かみがでるように『笑顔』と記載しました。」(ハタプロ 伊澤さん)

■三越伊勢丹のマーケティング意図

このZUKKUを導入したマーケティングにおける意図を、株式会社三越伊勢丹の新宿店 婦人子供商品部 玩具・催事担当バイヤーの西山裕慈さんに伺いました。

「デジタルテクノロジーを活用したおもちゃが多く出てくる世の中において、AIを活用したおもちゃはまだ身近にはない状況です。お子さまにより身近にAIを感じてもらえるアイテムを探していたところ、ZUKKUの存在を知り、期間限定での導入を考えました」(三越伊勢丹 西山さん)

ZUUKUが顧客の年齢と性別を読み取った後、具体的に次のような商品が提案されたのだそうです。

  • 0~6歳の男児・女児:プログラミング玩具
  • 6~12歳の男児:電子工作キット
  • 6~12歳の女児:ペットロボット
  • 12歳~の男児:AI搭載ロボット/IoT電池
  • 12歳~の女児:IoTアクセサリー

そしてこのZUKKUを導入した背景には、マーケティングのデータ収集の課題解決としての意図もあったといいます。

「これまでマーケティングのデータは、定量的・定性的データを売場で取得していましたが、買上実績のないお客さまのデータ収集はできずにいました。そこを補う存在としてZUKKUのようなAIを搭載したロボットが使えるのではないかと期待しました。例えば、マーケティング施策の企画の仮説として、『30代の子連れの女性に訴求したい』というものを立てた場合、実際そのような層の方たちが来ているのかを定量的に調査できる手法が私たちには無かったのです」(三越伊勢丹 西山さん)

■AIロボット接客の導入効果

三越伊勢丹の西山さんによると、このAIロボットを導入したことで、次のような効果が得られたそうです。

●通りがかった人のうち、何名が購入に至ったかのデータ取得に成功

「ZUUKUの見た目の可愛らしさから注目を集めることが多く、自然にお客さまを観察できる環境を作ることができました。今まではプロモーションスペースを通りがかる方が何名で、そのうち何名の方が実際に購入に至ったかのデータが取れなかったですが、厳密ではないものの目安となるデータの取得ができました」(三越伊勢丹 西山さん)

●ターゲットの来店数のデータ取得も実現

「おもちゃ売場の課題として、8歳以上のお子さまの取り込みに課題を感じており、その層が実際フロアにどれくらい来店しているのかの指標がなかったのですが、こちらもある程度の数値データが得られたことも良かった点だと感じています」(三越伊勢丹 西山さん)

■今後は、「表情読み取り」から「感情読み取り」へと進化する?

今後は、AIの顧客の「表情」読み取りから発展して、「感情」にアプローチする方向性も高まっていると予想されています。ZUKKUも感情読み取りについて取り組まれているといいます。

「今後は言語分析を使用して会話の内容や時間から感情や言語スタイルを検出し、その結果からZUKKUが目を明滅させたり首を動かしたりし、喜んでもらって嬉しいという感情を表現できるような機能も開発中です。人とのインターフェースとなるZUKKUにも感情表現をさせ、ZUKKUがいる売り場は笑顔が多い売り場となるように看板店員の存在を目指しています。」(ハタプロ 伊澤さん)

新しい体験やデータ取得など、顧客にとっても、企業側にとっても、これまで得られなかったものが得られる可能性のあるAIロボット接客。今後、人間の「表情」から「感情」にまで発展していけば、さらなる活用が期待できそうです。

取材協力・画像提供:
株式会社ハタプロ 

「ZUKKU」は、身長わずか10cmのAIロボット。小型ながら自動応対による顧客への接客や店舗の見える化など商業に実践的な機能を持つサービスロボットとして三越伊勢丹、PARCOなどでの実証を経て様々な流通小売業、飲食業、サービス業などへ導入が確定。

http://hatapro.co.jp/group/robotics/

取材協力
西山裕慈さん 

(株)三越伊勢丹
婦人・子供・婦人雑貨統括部 新宿店 婦人子供商品部 玩具・催事担当バイヤー
2007年 (株)三越入社。日本橋三越本店の玩具売場で販売を経験。玩具のアシスタントバイヤーを経て、2017年より現職。現在は玩具を通じて、STEAM教育の浸透に力を注ぐ。

http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/index.html

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