おもてなしが高評価!イスラム教国マレーシアで飲食事業を展開するカギとは?

一筋縄ではいかない!多民族国家、マレーシアの食文化

イスラム教を国教とするマレーシア。ところがすべての国民がその宗教的な考えに準じているわけではありません。主な人種構成はマレー系(67%)、中華系(25%)、インド系(7%)となっており、それぞれ宗教、文化、生活習慣などが異なっています。特に食文化に関しては、民族ごとにはっきりと違いがあります。 

ハラル(食に関して食べること触れることを許されているもの)と飲酒禁止を厳守しなければならないのが、イスラム教徒であるマレー系の人々です。一方、中華系の人々は、マレーシア人とはいえ食のタブーはありません。そしてインド系のヒンドゥ教徒は牛を食べないなど、ひとくくりにはできません。唯一、どの民族も食べるのが鶏肉です。そのため、スーパーやレストランでは定番の食材となっています。 

参照リンク:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/malaysia/data.html

日本食だったら、比較的裕福な中華系と若者をねらえ!

多くの日本食レストランのメインターゲットは、食のタブーがない中華系です。なかでも、日本へ旅行した経験がある中流〜富裕層、あるいは日本の文化や食などに関心がある若い世代が中心です。寿司だけではなく、焼肉、ラーメン、とんかつ、すき焼きと、さまざまなジャンルの日本食を好む層で、新しいレストランの開拓にも貪欲です。飲酒に関しても制限はなく、日本のビールや日本酒も人気です。 

参照リンク:
http://www.hungrygowhere.my/dining-guide/best-picks/7-best-ramen-restaurants-in-kl-and-pj-*aid-84593101/ 

彼らは、SNSを使用した情報の収集や拡散に熱心で、価格設定が高めのレストランにも足繁く通うイメージがあります。実際に、レビューサイトにあるコメントや投稿などをみると、そのほとんどが中華系の執筆した記事であることがわかります。 

参照リンク:
https://ja.foursquare.com/user/363098/list/japanese-restaurants-in-kl 

昨今、従来からのハイエンドな日本食レストランに加え、特に目を引くのが、若い世代をターゲットとした日本食のサブカルチャー化です。その典型事例が、シンガポールでの評判を引っ提げてマレーシアへ上陸した、人気の焼肉食べ放題店です。 

店内は、20代を中心とした客層であふれ、内装はやや過剰とも思える日本のポップカルチャーを全面に押し出しています。壁には日本の漫画やアニメが描かれ、掲げられた大きなスクリーンでは終始J-Popのミュージックビデオが。海外から見た、ひと昔前の日本をイメージしたような、不思議な空間です。時間制限ありのシステムで、牛・豚・鶏・羊肉のプレートはテーブルオーダー、炒飯、鶏の唐揚げ、焼きうどん、お好み焼きやサラダなどのサイドメニューはセルフサービスとなっています。日本の文化と食を融合させた同店は、Facebookで2万を超える「いいね!」を獲得しています。

クオリティはもちろん「おもてなし」も高評価

首都クアラルンプールの繁華街を歩くと、日本食レストランなどの看板に「日式」の表記を多く目にします。和食を提供するだけではなく「いらっしゃいませ」の声かけから始まって、お客さまの要望にしっかりと応える。それは、日本のホスピタリティを売りにしたスタイルの店であるとのアピールでもあります。 

マレーシアでは、レストランに入店してもスタッフ同士で話しこんでいる、スマホに夢中で顔すらあげないなどということが、日常茶飯事。料理についてたずねても、知識がないことも。愛想もなく、残念ながらお世辞にも接客がよいとは言えないお店も多いのです。
そのため、料理の味はもちろん、付加価値として「日本式のおもてなし」を全面に押し出しているレストランは、やはり評価も高い傾向にあります。 

とあるオーストラリア系の、寿司を中心とした日本食レストランは、料理のクオリティはもちろん、そのホスピタリティが評価され、2012年にベスト・マレーシア・レストラン・アワードを受賞しています。同店の価格設定は5品のディナーコースでRM250(約6,500円)と、150円前後から外食が可能なマレーシアではかなり高額ですが、その価格にふさわしい料理でありサービスであると、多くの支持を得た結果と言えるでしょう。 

参照リンク:
http://luxurylifestyleawards.com/en/news/357.html 
http://sushitrain.com.my/

日本食に対する関心や興味を持つイスラム教徒

マレーシアの人口の約7割を占めるイスラム教徒。ハラルを厳守しながらも、日本食への憧れや関心は旺盛です。日本食は、調理に日本酒やみりんなど酒類を使用することが多いため、食べられないものが多く、ハードルが高いのが実情。しかし、シンガポールの若いイスラム教徒のグループを中心に発信する食ブログ「ハラル・フード・ブログ」では、マレーシアの日本食についても積極的にレポートしています。 

ここで気づかされるのが、若者からは日本食が従来とは異なる捉えられ方をしているということです。たとえば、あるブログ記事では、クアラルンプールの中心にある観光スポットでもある複合商業施設のパビリオンで「原宿のクレープ」を食べた内容について書かれています。日本食の定番である寿司やそばなどではない意外な商品への注目もまた、日本食への深い関心の高さを逆に感じさせます。彼らのブログはFacebookで約18,500、インスタグラムで約20,700フォロワーを得ており、その影響力は見逃せません。 

参照リンク:
http://thehalalfoodblog.com/?s=japanese

「ポークフリー=ハラル」ではない

食に関する海外進出を考える企業であれば絶対に押さえなければいけないハラル。とんかつはもちろん、ラーメンなど材料や製造工程が多岐に渡る商品は要注意です。一部ハラル認証を受けたもの以外、具材やスープなどからノン・ハラル(食に関して食べるのも触るのも禁じられているもの)となります。 

そのため、これらを扱う飲食店内にイスラム教徒の姿を見ることはありません。ところが中には、ポークフリー(豚肉不使用)という表示を掲げている飲食店があり、それを見たイスラム教徒が入店してしまうケースがあります。マレーシア政府は、ポークフリーであることだけではハラルとはみなされず、ムスリムが食べても大丈夫なのかどうかも判断しかねるため、イスラム教徒は店の「ポークフリー」の表示に惑わされず、その店の料理がハラルかどうかをよく確認するように、と注意喚起しています。 

イスラム教徒にとって、口に入れるものがハラルであることは非常に重要なポイントであり、飲食店側は、提供する料理がハラルなのかノンハラルなのかを、きちんと明示すべきでしょう。 

参照リンク:
http://www.themalaymailonline.com/malaysia/article/no-pork-restaurants-can-be-penalised-for-trying-to-confuse-muslims-says-min

カギは日本食のハラル対応とおもてなし

イスラム教国であるマレーシア。イスラム教徒であるマレー系が大半を占める中、同国で飲食事業を展開し拡大させるには、ハラル対応は無視することのできないポイントです。特に、若い世代の日本食への関心と潜在ニーズは高く、きちんとハラル対応された日本食と日本のおもてなしというホスピタリティの提供は、大きな支持を得て、事業成功のカギとなるのではないでしょうか。

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