IT技術の進歩を背景として、より高度できめ細やかなパーソナライゼーションが可能となりつつあります。そんななか、ここ数年、「パーソナライズドされた動画をユーザーに配信する」という試みに着手する企業が増えてきています。

この記事では、昨今高い注目を集めている「パーソナライズド動画」についてお話しします。

パーソナライズド動画とは

「パーソナライズド動画」は、個々の顧客に向けて個別にカスタマイズされた動画です。

メルマガやニュースレターのパーソナライゼーションは従来から行われており、画一化されたメールよりも開封率・反応率が良いことが知られていますが、これを動画に応用したのがパーソナライズド動画です。

個別化のレベルはさまざまで、年齢、性別、購入履歴などでセグメントしたグループごとに、アレンジした動画を配信する場合もあれば、ソーシャルメディア上のプロフィールから顧客の名前や写真などを取り込んで、文字通り「その人だけのオリジナル動画」を作成するような手法も見られます。

消費者は今「パーソナライズド」を求めている

パーソナライズド動画について考える際にまず注目したいのが、テキサス大学が行った調査の結果です。当調査は237名を対象に行われたもので、「事前アンケート」「コンテンツに触れる」「事後アンケート」の3つのステップに分けて進められました。その結果、一般的なマーケティングコンテンツと比較した場合、各個人のニーズや興味に沿ってパーソナライズされたコンテンツのほうが、より楽しめるということが分かりました。

また、コンテンツをパーソナライズすることのメリットとして、溢れかえる情報とより上手に付き合うことができるというものがあります。コンテンツがパーソナライズされていれば、それが「自分向けの情報である」と認識しやすいため、自分のニーズに見合った情報に出会いやすくなるのです。

インバウンドマーケティング先駆者のHubSpot社によると、

  • Webエクスペリエンスをパーソナライズさせたウェブマーケターはセールスが19%向上
  • 消費者の74%は、Webコンテンツが自分の好みに合わない内容だとイライラする
  • Eメールをパーソナライズすると、クリック率が14%向上、コンバージョン率が10%向上する

そうです。HubSpotでは動画を使うことでコンバージョン率が80%向上するというデータと、このパーソナライズドコンテンツに関するデータを組み合わせることで、「パーソナライズド動画」のパワーをアピールしています。

パーソナライズド動画の成功事例

パーソナライズド動画活用の成功事例のひとつとして、スポーツに特化した旅行会社SGT(Sass Global Travel )のケースをご紹介します。

SGTでは従来動画入りのニュースレターを配信していましたが、開封率や動画URLのクリック率は芳しいものではありませんでした。そこで、ニュースレター受信者の氏名と居住地を利用して、セミオリジナルの動画を作成。動画自体はいくつかのスキーシーンをつなぎ合わせた30秒ほどのシンプルなものですが、動画のシーン中にニュースレター受信者の名前が挿入され、動画の最後に「ITS TIME TO GET OUT OF XXXXX(さぁ、XXXXXを脱出しよう)」(*XXXXXは受信者の居住地)というメッセージが表示される仕組みになっています。

この動画を「あなたのために作られた動画メッセージ」としてニュースレターで配信したところ、開封率は従来の10%から、その5倍に近い48%までアップ。また、動画配信用URLのクリック率は1.8%から19.5%と、従来の10倍を上回る数値に跳ね上がりました。

パーソナライズド動画をマーケティングに取り込むには?

パーソナライズド動画の魅力は分かったものの、新たに個々に合わせたビデオを作成するのは大変…コストがかかりすぎる…と躊躇してしまうかもしれません。そこで知っておきたいのが、すでに自社で作成した動画を活用してパーソナライズド動画を作り出す方法です。

特定の消費者のニーズが分かっていれば、そのニーズに合った動画を自社の動画コンテンツから選び出しておきます。それらの動画の出だしにその人の「名前を入れる」というだけでも、その効果は期待できます。

顧客との関係を築きあげるために、動画テクノロジーの進化にもぜひ注目しておきたいところです。視聴者とのインタラクションが可能なライブ動画も、現在非常に注目度が高いマーケティングツールとなっています。

パーソナライズド動画を発信する際は、どのプラットフォームを使うと、ターゲット視聴者に届きやすいかもしっかり考える必要があります。Eメールと動画を組み合わせたり、マルチプラットフォーム配信を行ったりしてみましょう。そして消費者が配信した動画に対してどのような反応をしているかというデータを確認し、効果が出やすいやり方を見つけ出していきましょう。

パーソナライズド動画の効果的な活用方法

パーソナライズド動画は、大きく分けて2つの方向性で活用の可能性が考えられます。ひとつは集客や売り上げ向上を目的として活用するというもの。前出のSGTの事例のように、顧客の「自分のためにカスタマイズされたもの」に対する愛着心を利用することで、画一的なマーケティングに比べて高い効果を期待できます。

新商品の紹介動画を消費者が受け取ったとき、それがパーソナライズされているのとされていないのとでは、消費者が受ける印象というのは大きく変わってくるそうです。2015年度のパーソナライズド動画に関するキャンペーン情報を見ると、パーソナライズされたものはクリック率やコンバージョン率が実に200~1,500%も向上したそうです。

もうひとつは、保険や医療関係のサービスなど、販売にあたって複雑な手続きが必要となる商品において、事前の説明やサポートなどにパーソナライズド動画を活用するというものです。

例えば自動車保険なら、契約者の年齢や家族構成によって選ぶべきプランが変わってきます。既存の契約の状況によっては、手続きの仕方も異なってくるでしょう。顧客情報からそうした要素を読み取り、顧客の状況に応じてカスタマイズしたインストラクション動画を提供することで、カスタマーサービスの運用コスト削減が期待できます。

スタートは「顧客を知る」ことから

このように、パーソナライズド動画にはさまざまな可能性が秘められています。

今後、AI技術の進化にともなって、「パーソナライズドされたコンテンツを提供する」というソリューションはますます一般的なものとなっていくでしょう。

そうしたなか、顧客情報を蓄積・管理していくことの重要性はますます高まっていきます。自社のビジネスにとって重要な情報を無駄なく蓄積し、必要に応じてタイムリーに活用できる顧客管理体制を整えていくことが大切です。

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(2019年2月改定)

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