パーソナライズド動画が開く、ワン・トゥー・ワンマケティング の新たな世界

IT技術の進歩を背景として、より高度できめ細やかなパーソナライゼーションが可能となりつつあります。そんななか、ここ数年、「パーソナライズドされた動画をユーザーに配信する」という試みに着手する企業が増えてきています。 

この記事では、昨今高い注目を集めている「パーソナライズド動画」についてお話しします。

なぜ今「動画」が注目されているのか?

eMarketer.comによれば、アメリカのWeb動画広告市場は、2016年末には80億ドル(8,000億円)を突破すると予測されています。
こうした動画マーケティング市場の成長の背景には、PCの処理能力の向上や通信回線の高速・高品質化といった環境的な要因とともに、スマホの普及により動画を閲覧する消費者が増加したことが挙げられるでしょう。 

動画はテキストや静止画などと比較してより直感的な訴求力があり、消費者の「見よう」という気持ちを引き出しやすいメディアです。「長い文章を読むのはちょっと......」と尻込みする消費者にも、動画を使えば効果的にアピールすることが可能となります。アメリカのLevels Beyond社の調査によれば、企業サイトを訪れる消費者の6割近くがサイトに掲載されている動画を閲覧し、4割の消費者はテキストよりも動画で情報を得たいと回答しているそうです。 

2015年が日本の動画マーケティング元年といわれています。消費者が気軽に動画を閲覧できる基盤が整ったことにより、さまざまなメリットを持つ動画が、マーケティングシーンにおいてあらためて注目を集めはじめています。

パーソナライズド動画とは

「パーソナライズド動画」は、個々の顧客に向けて個別にカスタマイズされた動画です。
メルマガやニュースレターのパーソナライゼーションは従来から行われており、画一化されたメールよりも開封率・反応率が良いことが知られていますが、これを動画に応用したのがパーソナライズド動画です。 

個別化のレベルはさまざまで、年齢、性別、購入履歴などでセグメントしたグループごとに、アレンジした動画を配信する場合もあれば、ソーシャルメディア上のプロフィールから顧客の名前や写真などを取り込んで、文字通り「その人だけのオリジナル動画」を作成するような手法も見られます。 

パーソナライズド動画活用の成功事例のひとつとして、スポーツに特化した旅行会社SGT(Sass Global Travel )のケースをご紹介します。
SGTでは従来動画入りのニュースレターを配信していましたが、開封率や動画URLのクリック率は芳しいものではありませんでした。そこで、ニュースレター受信者の氏名と居住地を利用して、セミオリジナルの動画を作成。動画自体はいくつかのスキーシーンをつなぎ合わせた30秒ほどのシンプルなものですが、動画のシーン中にニュースレター受信者の名前が挿入され、動画の最後に「ITS TIME TO GET OUT OF XXXXX(さぁ、XXXXXを脱出しよう)」(*XXXXXは受信者の居住地)というメッセージが表示される仕組みになっています。 

この動画を「あなたのために作られた動画メッセージ」としてニュースレターで配信したところ、開封率は従来の10%から、その5倍に近い48%までアップ。また、動画配信用URLのクリック率は1.8%から19.5%と、従来の10倍を上回る数値に跳ね上がりました。

パーソナライズド動画がもたらす効果

パーソナライズド動画は、大きく分けて2つの方向性で活用の可能性が考えられます。
ひとつは集客や売り上げ向上を目的として活用するというもの。前出のSGTの事例のように、顧客の「自分のためにカスタマイズされたもの」に対する愛着心を利用することで、画一的なマーケティングに比べて高い効果を期待できます。 

もうひとつは、保険や医療関係のサービスなど、販売にあたって複雑な手続きが必要となる商品において、事前の説明やサポートなどにパーソナライズド動画を活用するというものです。
例えば自動車保険なら、契約者の年齢や家族構成によって選ぶべきプランが変わってきます。既存の契約の状況によっては、手続きの仕方も異なってくるでしょう。顧客情報からそうした要素を読み取り、顧客の状況に応じてカスタマイズしたインストラクション動画を提供することで、カスタマーサービスの運用コスト削減が期待できます。

スタートは「顧客を知る」ことから

このように、パーソナライズド動画にはさまざまな可能性が秘められています。
今後、AI技術の進化にともなって、「パーソナライズドされたコンテンツを提供する」というソリューションはますます一般的なものとなっていくでしょう。 

そうしたなか、顧客情報を蓄積・管理していくことの重要性はますます高まっていきます。自社のビジネスにとって重要な情報を無駄なく蓄積し、必要に応じてタイムリーに活用できる顧客管理体制を整えていくことが大切です。

参考サイト

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