アメリカ・ワシントンDCにて毎年開催される「全米桜祭り(National Cherry Blossom Festival)」。ポトマック川沿いなどに植樹された多くの桜が満開を迎える3月末から約1ヶ月開催されるフェスティバルのことです。満開の桜を眺め、木の下でお酒や食事を楽しんだり…という日本の花見とはまったく異なり、お祭り好きなアメリカ人の心をつかむ仕掛け満載の、街をあげてのビッグイベントとなっています。去年の実績では約150万人もの人が全米、世界から訪れました。毎年これほどの人を集めているのはなぜなのでしょうか?

①伝統芸能からポップアート、サブカルまで、最新の日本カルチャーを堪能!

植樹された桜はもともと日本から寄贈された桜ということもあり、日米の友好と日本の文化を濃く打ち出しています。大手日系企業が協賛に名を連ねるとともに、近年ブームのジャパニーズカルチャーを存分に楽しめるようになっています。

・寿司だけではない!日本食の食べ比べ

 日本食は米国でも大人気の外せないコンテンツです。定番となっているお寿司以外にも、お好み焼き・焼きそばなどのB級グルメ、和菓子、日本酒などの試食試飲ブースが並び、日本料理シェフによるデモンストレーションも行われます。普段はなかなか食べない日本食を気軽に味わえる機会として、これらを目当てに訪れる人も多いです。

・老若男女にささる多彩なパフォーマンス

和太鼓を演奏しながら街を歩くショーが有名ですが、アニメのコスプレイヤーによるファッションショーも大変人気です。また、日本独特の文化として注目されているが「ゆるキャラ」も登場。ゆるキャラと記念撮影ができるブースも用意されています。
今年はシアターで開催されるオープニングパーティーで、伝統芸能の狂言や、歌手・May Jさんによる最新Jポップ曲などが公演される予定です。幅広い世代、いろいろ楽しめる内容となっています。

・草間彌生とのコラボレーション

今年は美術館・彫刻庭園の敷地内で草間彌生さんの空間演出”Infinity Mirrors”が展示されることが注目を浴びています。こうした名高いアーティストの展示が街の中心部において無料で楽しめることも集客の大切な要素になっています。

そのほか、盆栽、着物、将棋など日本文化・伝統をテーマにしたアクティビティやデモンストレーション、”カワイイ”ギフトの展示販売など、日本文化の魅力を発信する企画が目白押しです。

②地元の人をたくさん巻き込もう!若者・キッズ向けプログラムも充実

観光を目的に遠方から来る観光客も多いですが、参加者の半数以上はワシントンDC、あるいは隣接するメリーランド州やバージニア州からの来場者です。地元客を確実に呼び込むために力を入れているのが、若者・キッズ向けのプログラムです。

・小さな子どもにも興味を持ってもらいたい、桜のあれこれ

“Blossom Kids”というサイトは、桜にまつわる言葉遊びのゲームや、プリントして組み立てるだるま人形、桜の折り紙、桜の植樹にまつわる歴史ムービーなどが提供されています。博物館や国立公園の協力のもとに作成されているこのサイトは、子どもの好奇心を上手くくすぐる内容になっていて「お祭りに行ってみたい!」と思わせるのに一役買っています。

・将来のリーダーを育成する

大学生を中心とした希望者からなる”Good will Ambassadors”では、在米日本大使や企業経営者と交流したり、お祭りへの参加者に向けた企画を立てたりと、グローバルリーダーたちを応援するプログラムが用意されています。
また小学生に向けた出張授業やアートコンテストも行っており、地元の子どもたちを単にお祭りに呼ぶだけでなく、当事者として参加してもらうことで、次世代にフィロソフィーを継承しています。

③ハッシュタグは”#MyJapan”!SNSを利用し、気分を盛り上げる

アメリカではイベントや新店オープン等に合わせてSNS上に専用アカウントを作ることはもはや定番です。全米桜祭りも同様で、ホームページではまとまった情報を掲載するのに対し、SNSではこまめにアップデートし、イベント前に気分を盛り上げるためのさまざまな小ネタを紹介しています。
現在、全米桜祭りでは、facebook、Twitter、Instagramでそれぞれ公式アカウントを開設しています。facebook 頁へのLikeは98,000を、Twitterのフォロワーは1万を越えます。
また、注目したいのは、今年積極的に活用されているユニークなハッシュタグ”#MyJapan”。ワシントン日米協会の桜祭り専用Twitterアカウントで使われています。もともとこのタグは、日本文化を紹介したり、日本を訪れた観光客がアップした際に使用していたもの。全米桜祭りでも積極的に活用を促すことで、もともと日本文化に興味のある層がこの祭りの存在を知るきっかけを生みだしています。

参考:
The Official National Cherry Blossom Festival Twitter Account (@CherryBlossFest)

Sakura Matsuri Twitter Account (@sakuramatsuri)

公式発表では約200万ドルの広告効果があると言われている全米桜祭り。今年も桜の開花と合わせてたくさんの人が集まることでしょう。「モノよりもコト体験」といわれる時代に、このビッグイベントがどのように発展していくのかも注目ですね。

出典:
National Cherry Blossom Festival
cherryblossom001.jpg

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