製品やサービスを販売する企業にとって、顧客はなにより大切な存在と言っても過言ではありません。企業の利益の源泉は、顧客が製品やサービスに対して支払う対価から出ているからです。顧客満足度の向上は、企業にとって非常に重要な指標のひとつだといえるでしょう。この記事では、顧客満足度を高めるために絶対に外してはならないポイントを、3つに絞ってお伝えします。

1. 自社にとっての「顧客」を明確にする

顧客満足度について考える際には、忘れてはならない大切なポイントがあります。それは、自社にとっての「顧客」とは誰なのかを、あらかじめ明確にしておくということです。

自社の製品・サービスを利用する顧客には、さまざまな人がいます。たとえば、年間10万円の商品を購入してくれる顧客もあれば、生涯の購入額が1000円に満たない顧客もいるでしょう。あるいは、製品を購入したらそれっきりの人もいれば、製品の情報をSNS上で積極的に拡散する、インフルエンサーとなり得る顧客もいるかもしれません。

本来であれば、そうしたすべての顧客に対して等しく手厚いサービスを提供できるのが理想です。けれど、現実問題として、企業が顧客対応にかけられるリソースは限られています。限られたリソースを有効に使って最大の効果をあげるためには、顧客を利益貢献度別に細分化し、自社にとってもっとも価値の高い顧客は誰なのかを明確にした上で、顧客満足度向上のためのアプローチを設計していく必要があります。
そのために役立つのが、CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)という取り組みです。

顧客一人ひとりを識別し、顧客の購買履歴やSNS上での行動履歴などを管理・分析していくことで、自社がもっとも力を入れていくべき顧客層を明らかにすることが可能となります。

2. 顧客にとっての「価値観」を明確にする

顧客満足度向上のための2つめのポイントは、顧客にとっての価値観を明確にするということです。ターゲットとする顧客はどんな価値観を持ち、どのようなサービスに対して満足感を覚えるのかを明らかにするのです。

人は、事前に抱いていた期待を上回る感動を受けた時に満足を感じます。顧客の満足度を高めるためには、顧客が自社の製品やサービスに対してどのような期待を抱いているのか、すなわち、顧客にとっての「価値観」をあらかじめ明確にしておくことが大切だといえるでしょう。対象顧客がどのようなことに価値を置いているのかを把握することが、顧客にとってより価値のあるサービスの提供に繋がるのです。

顧客にとっての価値観を明確にしていくうえでは、顧客の性別・年齢・職業といった属性情報や、購買履歴、オンラインでの活動、アンケートへの回答結果といった情報が重要な役割を担います。CRMを活用することで、一人ひとりの顧客の属性情報や行動履歴を蓄積・分析し、特定顧客層における消費行動の傾向や嗜好、価値観などを割り出すことができるのです。

3. 「顧客接点」に応じた対応を心がける

3つめのポイントは、顧客接点に応じて適切な対応を心がけるということです。

「顧客接点」という言葉は使われるシーンによって異なる意味合いを持ちますが、ここでは「顧客が企業や製品・サービスと接触する場所や機会」と定義します。

製品を販売する小売店の店頭、サービスの販売代理店、お客様センターの相談窓口なども顧客接点といえますし、企業が運営するWebサイトやSNSのアカウントなども顧客接点のひとつに数えることができるでしょう。また、企業主催のコンテストのような双方向のマーケティング・コミュニケーションの場なども、立派な顧客接点だといえます。そうしたオフラインとオンラインが複雑に絡み合う、さまざまな顧客接点において、それぞれどのような対応を心がけるべきか、細かく場面を分けた上で適切な対応方針を設計していくことが大切です。

顧客と長期間の関係性をより良くするために

インターネットの普及やビジネスのマルチチャネル化により、企業と顧客との接点は従来に比べて多様化してきています。いまや、「製品を売ったらそれで終わり」という時代ではなくなりました。

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