オンラインでのショッピングも楽しいけれど、やっぱり実店舗のディスプレイを見ながらショッピングをするのも捨て難い……そんな風に迷ってしまったことはありませんか? 今回は、消費者のこうした悩みに応えてくれる、最先端のバーチャルストアを作り出したイギリスの服飾系ブランド、Ted Baker社について見てみましょう。

デジタル化に意欲的に取り組むTed Baker社

シャツのテーラーだったTed Baker氏は「世界的なブランドを作り上げたい」と、1988年にスコットランドのグラスゴーに最初の店舗を設立しました。その後、順調にヨーロッパやアメリカなどへの進出を果たしたTed Bakerですが、近年は最新テクノロジーの導入や店舗のデジタル化にも意欲的に取り組んでいます。

Beaconテクノロジー(消費者の持つスマホやモバイル端末といったデバイスが特定のエリアに入ることに反応し、その特定の消費者だけに情報を送ることができる技術)を活用した「生きたマネキン」。ロンドンのとある支店に設置されたこちらは、モバイルテクノロジーを使って店舗に訪れた顧客へと情報発信を行えるものです。スマホにTed Bakerのアプリをダウンロードしている顧客が入店すると、Beaconが内蔵されたマネキンが、そのマネキンのディスプレイに関する情報をプッシュ通知で送ります。ユーザーはその情報をもとに、その場でオンライン購入したり、商品の位置を把握できたりします。

また、Beaconが商品に関するより詳細な写真や情報を作成し、ユーザーは「look-book」と呼ばれるデジタルカタログを作成することができます。このlook-bookは友人とシェアできるだけでなく、ユーザー向けの特典や賞品にもアクセスすることが可能です。

このほかにも、店頭にモーションセンサー付きのLCDスクリーン(液晶ディスプレイ)の設置も試みました。インタラクティブゲームができるようにすることで、消費者の足を店頭で止める効果を発するものです。

バーチャルストアを動画でチェック

ではここで、バーチャルストアの動画を見てみましょう。

「Ted Baker」が始めたバーチャルストアは、「商品の写真が並んでいる」という従来のオンラインショッピングの型を破ります。サイト上でユーザーが見るのは、イギリスのトレンド発信地であるショーディッチにある実店舗のディスプレイです。360度撮影された店舗内を、実際に歩き回る要素で商品が閲覧できるのです。

サイトに入ると、まるで本当に自分が店舗の入り口に入っているかのように、店内を一望できます。ユーザーは興味のある商品やものの方に、クリックをして進んでいきます。気になる商品をクリックすると値段や商品紹介が画面上にポップアップで表示されます。ズームインだけでなくズームアウトも可能で、さまざまな角度から、店内を見られるようになっているので、ついつい時間を忘れてショッピングを楽しんでしまいそうです。店員や他の客を気にすることなく、トレンディなエリアにある実店舗での買い物を、オンラン上で楽しむことができます。

O2Oの成功は顧客エクリペリエンスの向上から

多くの企業がオンラインストアを設置し、さまざまな側面からマーケティングを実行している現代。他企業に差をつけるためには、斬新なアイデアに挑戦する勇気も必要です。自社が提供している既存のサービスを見直し、いかに顧客エクスペリエンスを向上させることができるかを、しっかり考えていきましょう。

店舗を訪れる顧客は、どういった点を不便に感じているのか。オンラインでショッピングをする顧客は、どういった点が足りないと感じているのか。まずはこういった顧客ニーズを把握することから始め、問題点を最新テクノロジーによって解決していくことは、これからのO2Oにとって欠かせない手法になっていくのではないでしょうか。

オンラインとオフラインのギャップを埋める努力をしよう

O2Oマーケティングを成功させるための重要なポイントのひとつに、オンラインとオフラインのギャップをいかにスムーズに埋めるかということがあります。そのギャップが減るほど、顧客のショッピングエクスペリエンスを向上させることができるからです。そのために、新テクノロジーを使った挑戦を続けるTed Baker社の姿勢は、見習っていきたいですね。

参考サイト

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