携帯電話の普及率がたった3年で1割から9割に!

きっかけは、2014年にミャンマーの携帯電話市場が外資系企業に開放されたことにあります。それ以降、熾烈な顧客争奪戦が繰り広げられ、そのすさまじい競争のおかげか、国営のMPTが市場を独占していた2013年には国民全体の1割程度だった携帯電話普及率は、2016年には9割(※大和総研「ミャンマーの携帯電話事情」2017年9月12日発表による)を超えました。

急速な拡大を続けるミャンマーの携帯電話市場で驚異的な成長を遂げているのが、ノルウェー発の大手通信業者「テレノール」。アジアで秀でた業績をあげたサービス提供会社へ与えられる「テレコムアジア賞」も受賞するなど、話題に事欠かない企業です。

1.マーケットシェアを爆発的に伸ばし続ける「テレノール」

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携帯市場が外資に開放される前、携帯電話の利用料金は驚くほど高額で、一部の富裕層または政府関係者や外国人しか使用していませんでした。例えば1990年代の携帯電話利用料金は日本円にしてなんと50万円ほど。ミャンマー人の平均月給が1万円程度なので、一般市民にはとても手をだせない高級品でした。しかし、年を追うごとに価格は下がっていき、2014年に外資の新規参入が始まってから、複数の企業による携帯電話利用料金の値下げ合戦が行われました。その結果、約150円の格安SIMカードが登場し、誰もが携帯電話を利用しやすい価格帯まで下がりました。

それまでは国営のMPTがマーケットを独占していましたが、テレノールは2015年の参入後わずか2年で約36.6%ものシェアを獲得しています。外資参入が始まってから国営のMPTはなんと半分以上のシェアを失うことになりました。
(ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2016)

なぜ、外資系企業であるテレノールが急速にシェアを伸ばすことができたのでしょうか。その秘訣は、ミャンマー人の携帯電話に対するニーズを細かく把握し、次々に斬新な施策を打ったことにありました。

2.顧客の心を掴むプロモーション戦略とは?

ミャンマー国民の携帯保有率が約3年で一気に90%に跳ね上がった理由は、ずばり格安SIMカードの登場です。各社が提供しているSIMカードは約150円とほぼ同額ですが、テレノールはこのなかでも特に人気を集め続けています。その理由はローカルの顧客ニーズにきちんと対応した、綿密なプロモーション戦略にありました。

まず注目したいのは、ユーザーのニーズに合わせたインターネットパッケージの豊富さです。テレノールは、インターネット利用が爆発的に伸びているミャンマー人のニーズに合わせたインターネットパッケージ「Suboo」を展開しています。「Suboo」の基本プランは、自分のインターネット使用量に合わせて500MB・2GB・4GB・7GB・11GBのなかから1カ月間使い放題のデータ・パッケージを購入できるというもの。なかでもユニークなのは、ミャンマー人のほとんどが利用しているFacebookのインターネット利用のみ週末に使い放題になる「Weekly Facebook Pack」です。また、夜間の使用が多い人には「Monthly Night Pack」という1カ月間のパッケージで、夜11時~朝7時までインターネットが無制限に使えるという、他社にはない特別なパッケージを提供しています。

3. 顧客に圧倒的に支持されているもう一つの理由は?

テレノールがミャンマー人の人気を集めているのにはもう一つの理由があります。それは、携帯電話を利用する人であれば誰もが気になる通信速度の速さです。
テレノールは7,000以上の基地局を構築し、20以上の都市でサービスを展開しています。これはミャンマーで最大のネットワークとなっています。

4.まとめ

急速に拡大するミャンマーの携帯電話市場に新規参入したテレノール。ミャンマー人から高く支持されたその成功の秘訣は、ユーザーの携帯電話利用に関するニーズを細かくとらえたサービス展開やインフラの整備にあるといえます。Facebookユーザーが多い点に着目した、週末使い放題の「Weekly Facebook Pack」などはその最たる例でしょう。

2014年には普及率が10%にも満たなかった携帯電話ですが、現在、多くのミャンマー人にとって日常生活に不可欠なものになっています。アジア地域でも特にデジタル後進国と言われていたミャンマーですが、外資開放によってわずか数年でデジタル国家へと急速に成長し、経済成長にも大きな影響を与えています。また、今後もさらなる発展を遂げる可能性を高く秘めています。経済成長率も高く、今後も急拡大が見込まれるミャンマーマーケット。参入の際には、著しい成長を遂げているテレノールのような外資系企業の成功事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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