「It’s the internet in your pocket.(ポケットの中のインターネット)」。2007年にアップル社がiPhoneを発表したとき、創業者である故スティーブ・ジョブズは、こう表現しました。現在スマートフォンの普及によって、多くの消費者が、まさに、ポケットの中にインターネットを入れて持ち歩くようになりました。
この状況は、店内でスマホを使って価格比較をした結果、ネットショップに顧客が流出するかもしれない、という意味では、実店舗にとって脅威です。しかしながら、実店舗でのスマートフォン利用を販促ツールとして活用することも可能です。

84%が実店舗での買い物中にスマホを使用

Googleがアメリカで実施した調査によると、スマホユーザーの84%が、実店舗での買い物中にスマホを使用しているということです。主な目的は価格比較。「この商品を買いたい、でもネットショップのほうが安ければ、そちらで買おう」というわけです。

「お店では商品を見るだけ、実際の購入はネットで」という、この消費者行動は、「ショールーミング」とよばれています。ショールーミングによって顧客がネットショップに流出するのを防ごうと、アメリカの小売り店舗では、これまでさまざまな対策が講じられてきました。

たとえば、大手家電量販店の「ベスト・バイ」では、価格比較に使われるのを防ぐために、一般的に使われている商品のバーコードをベスト・バイ専用のものと交換したり、ディスカウント百貨店チェーンの「ターゲット」は、Amazon.comを含む20店以上のネットショップとの同価格を保証したりしています。そのほかの小売店では、実店舗(オフライン)のみで有効なクーポンを、ウェブサイトやソーシャルメディア(オンライン)を通じて配布するO2Oなど、リアル店舗への送客をねらったマーケティングを実施しています。

スマホでチェックするのは価格だけではない

顧客が実店舗内でスマホを使うのは、価格をチェックするためだけではありません。
上述の調査では、実店舗でスマホを使う顧客の3人に1人が「製品について知りたいときは、販売員に聞くよりもスマホを使う」と答えています。

ある製品について調べたいとき、多くの人がネットで検索するのはメーカーによる製品情報、そしてレビューです。目の前にいる販売員に聞いたほうが早い、というのは確かですが、「質問をすると商品をすすめられそうでいや」「販売員は商品について、いいことしか言わない」と思う人もいます。そもそも目の前に販売員がおらず、広い店内で販売員を探さなければならない場合も、アメリカでは珍しくありません。

そういった状況で利用されるスマホを、購買行動に誘導するツールにしているのが、化粧品専門店の「セフォラ」。セフォラの店内では、スマホを使って商品のバーコードをスキャンすると、製品情報やレビューが表示されるようになっています。商品についての幅広い情報収集が簡単にできる、というネットショッピングの強みを実店舗で実現する「リアル店舗内でのO2O」といってもよいでしょう。

セフォラのこのシステムは、ネットショップが「おすすめ商品」を表示するのと同じように、スキャンした商品の関連商品をスマホの画面上に表示する機能もあります。また、過去の購買履歴も見られるようになっており、「以前買ったリップグロスを、また買いたい。品番は何だったかしら」などという場合にも、すぐに商品が分かるため、販売チャンスを逃す可能性を減らします。

スマホの利用を実店舗での販売・マーケティングに組み込む

ここ数年スマートフォンは、アメリカの小売り店舗の販売を左右する大きな要素となっており、その傾向は今後ますます強まる見込みです。また、「ネットなら、いくらで買えるだろう……?」と、実店舗内でスマホを取り出す顧客がいなくなる、ということもないでしょう。
それならば、スマホをネットショップへの流出防止策だけではなく、マーケティングや販売機会の創出につなげるツールとして、積極的に活用する方法を取り入れたいものです。

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