北米発!カスタマーエクスペリエンスを生み出すためのARの役割とは?

米国の投資会社Goldman Sachsによると、2025年までに拡張現実(AR)および仮想現実(VR)の小売市場は16億ドルに達すると予測されています。また、米国の調査会社ガートナーは、小売業におけるAR/VRの普及について、2020年までには、1億人の消費者がARを使って商品を購入すると予測しています。

ARは今後、より魅力的なユーザーエクスペリエンスを生み出すうえで大きな役割を果たしており、マーケティングを強化する新しい方法である可能性が高いと言われています。一方、まだ多くの企業が消費者や顧客にぴったりの有効な活用方法を見出せていません。では、どのようにして成功事例を生み出せるのか。まずはARを活用したいくつかのユニークなケースを知ることからではないでしょうか。この記事では海外におけるいくつかのAR活用事例をご紹介しながら、方策を探ります。

■携帯だけでぴったりのメガネを探せる!Warby Parkerの場合

Warby Parkerといえば、中間流通を省くことで低価格帯の商品提供を可能とした世界を代表するD2C(Direct to Consumer)メーカーの一つです。自宅で5つのフレームを無料で試せるというこちらの仕組み。95ドルからの一律価格で販売しています。

先進的な取り組みを行うWarby Parkerが新たに開発したのが、Face ID(X、XR、およびXS)を搭載したiPhone向けの「Virtual Try-On」と呼ばれるモバイルアプリの新機能です。

消費者は、カメラを自撮りモードにして、フレームを選択すると、自分の顔にどうフィットするのかをリアルタイムで確認できます。メガネがどう顔にフィットするかを調べるアプリやウェブサイトは数々ありますが、Warby Parkerはライブ3Dプレビュー機能を活用し、メガネをレンダリングしています。

メガネをインターネットで購入する際に問題となるのが、実際に装着していないために、メガネをかけてどう自分の顔にフィットするかがはっきりわからないこと。お店でメガネを購入するときに、微妙にフィット感やデザインがイメージと違っていて、どれにするか困ったという経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。Warby Parkerの事例ではこのような問題に対して、ARを活用することにより、消費者のストレスを解消しています。また、ソーシャルシェア機能によって、このような便利な仕組みを経験した人を起点にSNSなどで自然に拡散を促すこともできます。

■髪の色は自由自在に?ウォルマートの新たな試みとは?

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世界中に多数の店舗をもつ、アメリカ発の大手小売チェーンWalmartでは、フランスの化粧品メーカーロレアルの子会社であるGarnierが提供するツール『Garnier Virtual Shade Selector solution』を使ったヘアカラーのAR体験の実験が始まっています。消費者は自分の髪を染めることなく、自由自在にヘアカラーを試して自分にぴったりの色を探すことができるというこちらのツール。まず、最初に1分の診断テストを受けてから、ModiFace社が開発した3D技術によって、自分に似合うヘアカラーをいくつも試すことができます。双方向性機能をもつお店のディスプレイを通して、ライブビデオのようにヘアカラーを変えることができます。

https://www.chainstoreage.com/technology/walmart-shoppers-can-look-like-a-rainbow-with-ar/

■おうちを快適に!簡単にカラーコーディネートができるアプリ

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家の外装にしても、インテリアにしても、素人が微妙な色の違いを踏まえて見た目にも美しくカラーコーディネートをするのは至難の業。お店でみたときはいい色だったのに実際に家に持ち帰ってみたら、微妙に色が合っていなくてがっかりという経験がある方もおられるのではないでしょうか。

アメリカ最大の住宅リフォーム小売チェーンである『THE HOME DEPOT』では、家にあるインテリアやエクステリアとぴったりあった色を見つけるのに便利なARアプリを提供しています。たとえば自分の身の回りにあるお気に入りのアイテムや家具の色の写真などを撮影してアプリでアップロードするだけで、自分の好みに最も近い『THE HOME DEPOT』のペンキの色を見つけることができるなど、色に特化した形でARを顧客満足につなげています。家具やエクステリアなどは金額もかさむうえに、失敗したくないことの一つ。ARとの親和性が高いジャンルといえます。

ここまで、いくつかの事例を見てきました。現状では、カスタマーエクスペリエンスにフォーカスしたARの実例はどうしても限られたものになりがちです。eMarketer2016の消費者調査によると、ARを活用した消費体験が特に適しているとされる製品は以下の通りです。

現状では、このようなジャンルの限定感はありつつも、ARをいかに活用してカスタマーエクスペリエンスをあげていくかということについて、諦めてしまったり、避けたりすることも得策ではありません。では、どのような点に留意しながら導入したらよいのでしょうか。

•60% - 家具
•55% - 洋服
•39% - 食品および飲料
•35% - 履き物
•25% - 化粧品
•25% - ジュエリー
•22% - 玩具

■ARを活用するときに留意すべきこととは?

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ARをはじめとしたテクノロジーは今や目まぐるしいスピードで技術が発展し、小売業界に導入されはじめてきているのは事実です。これは、事業者側からすると、決して無視することができないチャンスのひとつにもなっています。思い切って導入を決めてしまうことは比較的簡単ですが、その前に考えておくべきいくつかのことがあります。

もっとも重要なのはARを導入するためのAR開発を行わないことです。AR導入の結果、カスタマーエクスペリエンスの向上につながらない場合、逆に顧客離れや機会損失につながる可能性があります。導入の障壁として、投入コストの問題があれば、既存の仕組みで導入できる範囲で実験してみるなどの方策が考えられます。

また、上記で列挙したケーススタディでいえることですが、重視すべきなのは「正確性」です。現実では見えないものをよりリアリティをもって、かつ、パーソナライズ化して情報を提供することでユーザーエクスペリエンスをあげるのが小売業におけるARの活用の基本です。そのため、カスタマーの過去の検索履歴を蓄積しておくなどして、消費者の選択肢が広がり、かつ、よりリアルに近い形で実現する必要があります。

さらにもうひとつあげるとしたらスピードも重要です。一つの操作に必要以上の時間がかかる場合、特に若年層を中心に消費者は二度とアプリを利用しないでしょう。また、手順が複雑すぎても嫌がられてしまいます。

■ARが切り拓く未来

ARをはじめとするイノベーションの進化により、消費者はそれがなかったときよりも適切な判断を下せたり、購入にかかる手間や時間、ストレスを減らせたり、自信をもって決断することができます。事業者ができることは、自社の顧客がより心地よい買い物や生活を手に入れるためにどのような形でサポートできるのかをクリエイティブ思考も駆使して考えてみることから。まずはここからはじめてみてはいかがでしょうか。

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