VRで建築の施工後をリアルにイメージ!リアルなカタログの可能性

ビジネスVR最大手といわれるナーブ株式会社が、今年7月、建築会社向けに施工実績をVRデータでカタログ化する新ソリューション「VRカタログ」をリリースしました。VR活用のメリットを中心に、ナーブの広報担当・佐藤さんにインタビュー。カタログのVR活用事例の一つとしてご紹介します。

施工実績をVRで見せるカタログのメリット

従来、建築会社の営業担当者は、顧客に対して紙の写真カタログを見せて説明するのが一般的でした。こうした手法と比べ、「VRカタログ」により、VRイメージで見せることのメリットはどこにあるのでしょうか?

●現実との認識ギャップを解消

「建築会社が、自社の実績を写真やテキストベースでお客様に紹介する際、専門的な知識を持っていない限り、お客様は施工結果を完全にはイメージすることができません。この段階で、建築会社とお客様の間で大きな認識の違いが起きてしまいますが、現実にはそのギャップが埋まらないまま話が進められていくことがほとんどです。お客様にVRで体感していただくことで、このギャップが解消されます。

具体的には、素材の色や質感、施工技術、平米や距離の感覚など。また、サンプルで実物の板を1枚見たとしても、床がその板で張り替えられた場合、板の大きさが小さいときと実際の広さに張られたときとではイメージが違ってしまうことがよくあります。VRで体感することで現実に近いイメージで認識できます」

●同時にVRを閲覧しながらコミュニケーションが可能

「ナーブのVRカタログは、お客様が見ているVRと同じ画像を、建築会社側もPCで同時に閲覧可能なため、お客様が何を見ているか把握しながら、コミュニケーションを取ることができます」

VRカタログ製作工程

実際、施工実績は、どのようにVR化するのでしょうか。その工程を教えていただきました。

「360°カメラで撮影したパノラマ写真を、弊社提供のクラウドにアップロードしてVRデータ化します。撮影やアップロードはもちろん、クラウド上で、データの登録や方角の調整、部屋の指定などを、簡単な操作で行うことができます。また、間取り図上で位置を設定しながら撮影ができるので、写真の撮り忘れがありません」

また、施工実績のVRデータの管理も容易にできる仕組みになっているといいます。

「案件ごとに施工前後のVRデータをナーブのクラウドに蓄積していくことで、施工実績を一元管理することができます。また、クラウドに保存された実績はどこからでも呼び出すことができます。施工現場が各地に散らばっており、技術に精通した限られた人しか撮影・登録できない場合、データの蓄積はとても手間がかかってしまいます。しかしVRカタログはどんどん手軽にデータをクラウドにアップできる仕組みなので、実践投入できます。スマートフォンで、簡単に操作できるのも特徴です」

ナーブはVRのソリューション化に当たり、機能開発において“60回もの失敗”をし、改善を続けているそう。現場の声に耳を傾けることで、ハード・ソフト両面から考え抜かれた設計を実現しています。

他業種のVR活用事例

建築会社の施工事例のVR化だけでなく、ナーブでは他の業種でもVR活用を行っています。次のような事例があるそうです。

【旅行・運輸関連】

  • ・小田急電鉄:2018年3月17日のロマンスカー・GSEデビューに合わせて、新宿の特設カフェで走行前からVR体験。

  • ・商船三井:自動車船「BELUGA ACE」をVRで見ることで、船舶内部に入らなくても内部構造が確認できるようになる。国内外でのメンテナンスや社員教育用にも活用。

  • ・ANAセールス:旅に一緒に行けない方も、VRで疑似的に旅行を体験。

  • ・H.I.S:関東地区営業所全127店で、海外のホテルなどをVRで閲覧。

  • ・JAL:「JAL 工場見学 SKY MUSEUM」の整備士体験コーナーをVRで体験、海外法人セールスでの活用(シートや機内食の違い、客室乗務員のサービスをVRで体験)。

  • ・JTB:九州6県12店舗で、海外旅行のホテルを選択する際にVRを活用。室内の様子を360°見渡せるほか、客室によってはバルコニーからの眺めを確認できる。

【不動産関連】

  • ・不動産物件を疑似内見できる「VR内見」。多数の大手不動産会社で全国に導入されている(4820店舗、2018年8月31日現在)。

  • ・不動産接客店舗(無人型)「どこでもストア」が、全国5カ所で稼働。

VR販促活用はどう進化していく?

今後のVRの販促活用は、どのように進化していくのでしょうか。ナーブの佐藤さんに考えを伺いました。

「例えば、鹿児島県の屋久島には世界最古の植物といわれている『縄文杉』があります。100人にこの屋久杉の写真を見てもらった場合、縄文杉は特殊であることから、その大きさを正しくイメージできるのは、実際に縄文杉を見に行ったことがある人だけです。100人の中には、縄文杉を見に行ったことがない人もいると思います。とすると、100人がイメージする“縄文杉”には、それぞれ違いが出てきます。VRを使えば、そうしたイメージのギャップが解消され、100人が同じ縄文杉を思い浮かべることができます。ナーブでは、これを“完全情報”と呼んでいます。

ビジネスシーンで“完全情報”を提供することで、お客様は自身にとって正しい選択をしていただけるようになります。つまりお客様自身が納得した上で、自由に選ぶことができるようになるということです。ゆくゆくは、すべての購買行動においてVRが用いられるようになると考えています」

ナーブでは、VRカタログの他にも、手で持って覗くタイプのVR端末「CREWL(クルール)」を開発するなど、VRを一般に普及させるために次々と新たな施策に取り組んでいます。ビジネスの現場でのVR活用に、さらに期待が高まります。

【取材協力】

ナーブ株式会社(NURVE)

VR技術で、購買パターンを根底から変える今までにないプラットフォームを提供。実用的でビジネスに活用しやすいVRシステムは、不動産、建設、旅行、航空、船舶、自動車といった様々な業界で、多くの大手企業に活用されている。

https://www.nurve.jp/


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