アメリカではクリスマスやハロウィーン、イースターといったたくさんの記念日があり、記念日にまつわるキャンペーンやプロモーションも多数見られます。今回は、日本ではあまり知られていない、企業が戦略的に行う記念日イベントに注目し、キャンペーン事例とともにご紹介します。

■1年でもっとも大事な祝日、独立記念日(7月4日)

アメリカ人がもっとも大切にしている独立記念日。アメリカ独立宣言が公布された日であることを記念した祝日です。この日は学校やオフィスはお休みになり、各地でパレードや花火の打ち上げイベントなどが行われ、国中が祝賀ムードに包まれます。Independence dayと呼ばれることが一般的ですが、日付のままJuly 4th、4th of Julyと言われることも多く、SNS上のハッシュタグもこの表記であふれます。

①星条旗カラーをモチーフにしたデザートでいいね!を獲得

大手オーガニックスーパー、Whole FoodsのSNSでの投稿。一見よくあるパーティーデザートのレシピの紹介に見えますが、青・赤・白の3色を使っているのがポイント。というのも、独立記念日には星条旗のモチーフや、星条旗の3色を服やグッズなどに取り入れてお祝いするのが人気なのです。一目でピンと来る広告グラフィックはSNSマーケティングの重要な要素。ストレートに星条旗を表現したものではなく、ターゲットのライフスタイルを意識して提案することで、話題を喚起することにつながっています。

https://www.instagram.com/p/BWFvN-wl6I3/?taken-by=wholefoods&hl=en

②パーティーやデートを成功させたい、大人の男心をくすぐるキャンペーン

最近、ユニークなキャンペーンとして話題になったのが男性向け情報サイトUrban Daddyが行ったもの。独立記念日にはニューヨーク中で花火が打ち上げられますが、その打ち上げ場所と、どこから見るのがよいのかを地図上にマッピングして紹介。これをきっかけに、自社サイトへ顧客を呼び込むというキャンペーン例です。

https://www.urbandaddy.com/articles/31303/new-york/go-fourth-your-rooftop-fireworks-options-mapped

■みんながくぎづけスーパーボウル・サンデー(2月上旬日曜日)

アメリカで人気のあるスポーツのひとつ、アメリカンフットボールのプロリーグNFLの優勝決定戦の日。試合自体を「スーパーボウル」と呼び、試合が行われる2月上旬日曜日をスーパーボウル・サンデーといいます。

この日に盛り上がるのは出場チームのファンだけではありません。家族や友人と集まって観戦すること自体が国民的な娯楽となっており、テレビ放映においては最高年間視聴率を誇るほどのビッグデーなのです。食料の買い出しの影響でスーパーマーケットは品薄となり、スポーツバーの予約はどこも満席。いかに影響力の強いスポーツかおわかりただけるでしょうか。SNS上では「#SuperBowl」「#BigGame」「#GameDay」といったタグが人気です。

こんな特別な日をプロモーションの機会として企業が見逃すはずもなく、テレビCM枠のスポット獲得金額も年間最高といわれています。試合の合間に流れるCMはこの日限定の特別仕様であることが多く、視聴率が高いことから、商品アピールというよりも企業姿勢を打ち出したブランディングの側面が強い傾向にあります。今年は大統領選挙の直後ということもあり、ダイバーシティを重視する企業ブランドをアピールしたコカ・コーラのCMが話題になりました。

■新しくできたオンライン商戦期サイバー・マンデー(11月最終月曜日)

アメリカの一番の商戦期は、11月の感謝祭から12月のクリスマスまでと言われています。特に感謝祭翌日のビッグセール開始日はブラック・フライデー(11月最終金曜日)と呼ばれ、一斉値下げが行われます。ブラック・フライデーに各店舗にお客さんが殺到し、大量に商品を購入する光景は、日本のお正月の新春セールと重なります。

このブラック・フライデーの次の月曜日がサイバー・マンデーと呼ばれているのはご存じでしょうか。これはオンラインショッピングのビッグセール開始日という新たな文化で、マーケティング会社が戦略的に命名し、仕掛けた商戦なのです。購入サイトや各ブランドのオンラインショップがこの日限り、またはこの日を皮切りに一斉値下げを行います。

例えば「Amazon」では、昨年のサイバー・マンデーにユニークなキャンペーンを行いました

「”Alexa, what are your deals?”」

“Alexa(アレクサ)に聞いてみよう、今日の掘り出しものは何?”というキャッチコピーのキャンペーン。Alexaとはスピーカー型の音声アシスタント端末「Amazonエコー」に搭載されている、Amazonが開発する音声認識機能のことです。このAlexaに話しかければ、Amazon内の特別なお得情報をゲットできるというキャンペーンを展開しました。

サイバー・マンデー商戦で、ユーザーの購買意欲をさらに盛り上げ、加えて音声認識サービスも普及させAlexaももっと売る、というプラスのスパイラルに持ち込む巧みなキャンペーン事例です。もちろんAlexaもこの時期値下げの対象となったのは言うまでもありません。

■まとめ

日本では知名度が低い記念日もありますが、アメリカで盛り上がるスペシャル・デイのキャンペーン事例をいくつかをご紹介しました。マーケティング先進国・アメリカの事例を参考に、国内外におけるマーケティング・プロモーション活動に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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