多くの消費者は常に新しいものに興味を持っており、「良いな」「面白そうだな」と思えば、すぐに別の商品やサービスに飛び移ってしまいがちです。そこで企業として力を入れるべきポイントのひとつとして「顧客のエンゲージメント」を高めるためのプロモーションの実施が挙げられます。今回はアプリやソーシャルネットワークを有効活用し、顧客とのつながりをより強めることに成功している、アメリカのプレッツェルブランド「Auntie Ann’s」の事例を見てみましょう。

ファーマーズマーケットから全国チェーンへ

1988年にアメリカ・ペンシルバニア州の、とあるファーマーズマーケットに最初の店舗を出したAuntie Ann’s。今では全米のみならず、日本を含むアジア諸国やヨーロッパにもフランチャイズを持つ、プレッツェルのメジャーチェーンです。そんなAuntie Ann’sのビジネス成功のポイントは「顧客のロイヤリティ」へのこだわり。おいしいプレッツェルを提供するだけでなく、顧客一人ひとりを大事にするというサービス精神で、顧客とのつながりを保ち続ける努力をしています。

Auntie Ann’sで販売されている商品は基本的に数種類のプレッツェルとドリンクのみ。メニューはシンプルでも、28年間という長い月日にわたって人々に変わらず愛されてきたブランド作りの根底には、「顧客のロイヤリティこそが最重要項目である」という信念があります。Auntie Ann’sがこの顧客のロイヤリティの向上・保持のために行っているプロモーションには、どのようなものがあるかを紹介しましょう。

モバイルアプリの活用で顧客の手間を軽減し、離反防止に

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Auntie Ann’sは2014年にロイヤリティプログラムを開始しました。その効果もあって、2016年初旬の時点では、メンバー数が2015年初旬と比べて76%増加。このロイヤリティプログラムを成功させるために行ったのが、モバイルアプリの提供です。アプリを使うことで、近場の店舗、メニュー、栄養成分といった情報が得られるのはもちろんのこと、顧客がプレッツェルを購入すると加算されるロイヤリティポイントの管理も簡単に行えるようになりました。

Auntie Ann’sでは、アプリから収集された顧客データを使い、顧客ごとにカスタマイズしたプロモーションを送っています。例えば顧客Aさんは過去に、プレーン味のプレッツェル(またはナゲット)とチーズディップの組み合わせを購入していたとしましょう。このAさんに送るプロモーションは、新商品のチェダーチーズナゲット。一口サイズのプレッツェルの中にチーズが詰め込まれたものです。

このように各顧客に合わせてパーソナライズしたプロモーションを実施することで、コンバージョン率の向上にも貢献。顧客のニーズに合わせたプロモーションを届けることでロイヤリティを保ち、顧客との良い関係を築いています。

ソーシャルネットワークは双方向で

低コストで多くの顧客や見込み顧客にリーチできるソーシャルネットワーク。これをプロモーションの一環として取り入れる企業もあるでしょう。ここで覚えておきたいポイントは、ソーシャルネットワークをフル活用するためには、「情報発信」だけでなく「情報交換」の場としても使うということです。

ソーシャルメディア・エージェンシー「Likable Media社」のアカウント・ディレクター、Honey Comerさんは、企業が顧客とつながるベストな方法のひとつは、ソーシャルメディアとUGC(User Generated Contents:ユーザーが作り出したコンテンツ)だと語っています。Auntie Ann’sでは、ソーシャルネットワーク上でコンテストを開催し、ファンからAuntie Ann’sの商品が含まれた写真を集めたり、「How it’s made(プレッツェルはどうやって作られているか)」という30秒の舞台裏動画を配信したりして、新商品のプロモーションを成功させました。

顧客ロイヤリティを高めるコンテンツやサービスを

顧客に商品やサービスに愛着を持ち続けてもらうためには、ロイヤリティを育てエンゲージメントを高めるプロモーションが欠かせません。顧客にとってプラスになる興味深いコンテンツやサービスを発信する手段を見つけ、どんどん活用していきましょう。

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