リピート率の高い業種や成熟市場などでは、顧客離反防止のための施策を定期的に実施していくことが大切だと言われています。日本という国全体がひとつの成熟市場となりつつある今、業種や市場を問わずあらゆるビジネスにおいて、離反防止は重要なキーワードとなってきています。

顧客離反防止の施策は、「アクティブな顧客の心を離さないための活動」と「離れつつある顧客(休眠顧客)を呼び戻すための活動」に分けて考えることができます。どちらも重要な取り組みですが、今回はDMを使った有効な休眠顧客の呼び戻し策について考えてみましょう。

顧客はなぜ離反するのか

はじめに、自社の商品・サービスを利用してくれていた顧客がなぜ「離反」してしまうのか、その理由について考えてみましょう。顧客一人ひとりについて見ていけばさまざまな理由があるはずですが、大きくは「飽きる」「忘れられる」「不要になる」の3つの原因に分類できると言われています。

1つ目の「飽きる」は、一定期間使っていたが、ある時を境に「飽きて」しまって利用が途絶えるケース。2つ目の「忘れられる」というのは、商品を1、2回は使ってみたが、その後なんとなくリピートしなくなった、というもの。特に理由はないが忘れられるというケースです。そして3つ目の「不要になる」は、商品・サービスに不満はないが、そもそもその商材が顧客にとって不要となるようなケースです。例えば、幼稚園児向けの教材は、子供が幼稚園を卒園した時点で購入動機がなくなります。また、ダイエット商材は顧客がダイエットに成功すれば不要となるでしょう。

原因別にDMを設計する

このように、一口に「離反」といってもその背景事情はさまざまであり、それぞれに「響く」メッセージは変わってきます。

例えば上記の「飽きる」のグループには製品の良さは理解されている可能性が高く、改めてくどくど説明しても逆効果となるおそれがあります。それよりは、再来店のメリット(プレゼントや値引きクーポンなど)を活用するような施策が有効でしょう。逆に、「忘れられる」グループは、まだ顧客が気づいていないかもしれない製品の良さを丁寧に説明することで呼び戻しにつなげられるかもしれません。

「不要になる」のグループは、同一の商材で呼び戻すのは基本的には困難ですが、適切なアップセルやクロスセルを設計してアプローチを試みる価値があります。例えば幼稚園児向け教材を卒業した顧客には小学生用教材へのステップアップを促し、ダイエットに成功した顧客には化粧品や健康食品などをお勧めすることで、新たなビジネスにつながる可能性が出てきます。

このように、休眠顧客のグループをあらかじめセグメントしたうえで、掘り起こしを行うための最も効果的な施策を打っていくことが大切です。

DMの効果から考える設計案

ここで、一般的にDMを設計する際に期待する効果について考えてみます。

消費者の行動プロセスを表す「AIDAの法則」という基本原則があります。これは、消費者が商品・サービスを知ってから購買に至るまでのプロセスを、Attention(注目)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Action(行動)という4つの言葉で表し、その頭文字を取ったものです。この原則に沿ってみると、DMを受け取った消費者も、まず内容にAttention(注目)し、それに対して強いInterest(興味)を持てば、Desire(欲求)が湧いて、Action(行動)に至るということになります。これを2段階に分け、それぞれの段階でDMに必要な役割を分類してみると、次のようになるでしょう。

  1. 1.Attention(注目)からInterest(興味)へ至る段階
  • ・ティザー:注目させる
    「今すぐ開封すべき」と思わせる。
  • ・ドアオープナー:開けさせる仕組
    定形外サイズで差別化、開けやすい加工など、開けさせる仕組。
  • ・パッケージング:デザイン
    ぱっとみて何のお知らせかが分かる最適なデザイン。
  • ・パーソナリゼーション:個別性
    「自分宛て」であることが感じられるかどうか。
  1. 2.Desire(欲求)からAction(行動)へ至る段階
  • ・オファー:提案
    このDMを手にした人にどうしてもらいたいのか。そのための、特別クーポンなども有効。
  • ・ベネフィット:価値
    このDMを手にすることで、顧客はどんな価値を得るのか。
  • ・ストーリー:一貫性
    封筒から中のパンフレットや申込書など、DM全体でストーリーがブレて(不統一になって)いないか。
  • ・サーティフィケート:合格証、証明書等
    所持することが、価値として求められる内容である。
  • ・ドラマタイゼーション:ワクワク感
    DMを手にした際の、お得感、特別感の訴求。
  • ・テスティモニアル:利用者の声など
    利用者・体験者の声などを掲載することでよりイメージしやすくする。
  • ・デッドライン:申込み期限
    期間限定の案内であることを訴求。
  • ・メンバー・ゲット・メンバー:お友達紹介
    友人・家族への紹介で両者にメリットが創出する施策。
  • ・バウンスバック:返信封筒の同封、請求書同梱など
    申込みしやすさの工夫。

紙のDMで効果を上げるための3つのポイント

休眠顧客との関係性を見ながら設計する

実際にDMの設計を行う際には、休眠顧客との関係性を見ながら、上述の役割のうちどの部分を強調すべきか、何を目立たせるべきかといったことを考慮します。例えば、以下のような考え方です。

  • ・休眠期間の長い顧客であれば、まずは「ティザー」で注目させる。
  • ・過去に、とある商品に特に興味を示していた顧客なら、「オファー」でその商品の特別クーポンを送付する。

紙のDMが休眠顧客の掘り起こしに威力を発揮する!?

休眠顧客呼び戻し施策を打つにあたっては、顧客とのコミュニケーションをどのように取るかも重要なポイントとなります。ネットワーク環境の向上、WebサイトやSNSの発展により、企業が顧客と接触するチャネルはかつてに比べて格段に増えましたが、郵送で届けられる伝統的な紙のDMも、今なお休眠顧客の掘り起こしに有効なコミュニケーションツールとして多くの企業に活用されています。

電子メールやSNSには「低コストかつ迅速に配信できる」というメリットがありますが、受信トレイ上にあふれる大量のメールの中から顧客の目を引くのは、日々難しくなってきています。下手をすれば開封すらしてもらえず、ゴミ箱行きとなる場合もあるでしょう。特に、「飽きる」、「忘れられる」、「不要となる」といった理由で自社から関心が薄れている顧客の目を、電子メールなどで惹きつけるのは至難の業です。また、商材によっては電話による営業を行うという選択肢も考えられますが、その場合には顧客の都合のよい時間を見計らうといった細かな配慮が必要になります。

しかし、紙のDMであれば、時を選ばずに顧客の「手元」に直接届けることが可能です。また、封筒やはがきの材質、デザインを工夫して顧客の目を惹きつけることもできますし、ちょっとしたおまけや商品サンプルなどを同封できるという利点もあります。電子メールなどに比べて確かにコストはかさみますが、使い方次第ではそれを補って余りあるメリットを享受することができるのです。

顧客データ分析で効果的なDMを設計

ただし、せっかくコストをかけてDMを送付しても、期待する効果を出せなければ費用の無駄遣いに終わります。開封率を上げる工夫はもちろん、DM本体の構成にも、成果につながるような工夫を盛り込むことが大切です。

最近では、CRMやデータ分析手法、AI技術などを活用し、データをもとに離反原因の仮説を立てて個々の顧客に対するアプローチを個別に設計することが可能となっています。こうした手法を用いることで、紙のDMの効果をさらに高めることが可能となります。

なお、昨今ではマーケティングにおける顧客の属性や行動データを分析するための便利なツールが多くリリースされていますが、複合的かつ高度なデータ分析には、専門のツールやサービスを利用するのが効果的です。こうした分析ソリューションに関心をお持ちの方は、ぜひ下記の資料にて詳細をご確認ください。

2019年3月更新

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