Amazonほか、実例から学ぶ! 海外オンライン企業が展開する店舗プロモーション【前編】

今年1月に、無人コンビニエンスストアとしてシアトルにオープンした「Amazon GO」。Amazonはネット上で巨大な販売網を持っているだけに、リアル店舗への進出は大きな話題となりました。他にも名だたるネット企業がリアル店舗を構える事例は増えつつあり、その背景にはネット企業ならではの「課題」があります。では、ネット企業はリアル店舗でどのように戦おうとしているのか。その目的や実際のプロモーション事例について、前後編にわけご紹介します。

オンライン市場は拡大しつつあるも、逆展開も加速

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オンライン市場は世界的に拡大を続けており、人件費や管理費の削減効果、店舗のないエリアへの顧客も獲得できることから、イケアや無印良品などのリアル店舗を持つ小売業も続々と進出しています。世界におけるBtoC向けオンライン市場は2016年の約2.4兆ドルから、2026年には約9.7兆ドルにまで成長する見通しです。

一方、ネット企業によるリアル店舗の進出が近年加速。冒頭の「Amazon GO」は今年1月以降さらに店舗を拡大、現在はシアトル3店舗・シカゴ1店舗、そして時期は未定であるものの、サンフランシスコ・NYにも開店計画をしているそうです(2018年9月現在)。このように市場を拡大しつつ、さらに巨大な販売網を持つAmazonや他のネット企業が巨額資本をかけてまでオフライン展開(リアル店舗など)をする目的とは何でしょうか。

売上全体の比率から見るオフライン展開の必要性

例えば、Amazonのケースを考えてみると、アメリカのオンライン市場においてAmazonは全体の43%¹もの売上を占めているものの、小売業界全体の売上を見るとおよそ90%がリアル店舗(=オフライン)によって生み出されています。さらに、A.T. Kearney社の調査²によると、オンラインのみの買い物を望んでいる消費者は、たったの5%しかいなかったのです。

公知情報や統計をざっと見ただけでも、オフライン展開はオンラインでのアプローチが難しい潜在顧客を取り込み、売上を確保するためには必要不可欠な要素ということがわかります。そして、Amazonも同様に売上の拡大をもくろみつつ、それ以上に重要な目的「リアル店舗に集まる多大なる顧客のデータ」を収集すべくオフライン展開を進めているのです。

小売業必見!「ミレニアル世代」の消費行動との関係

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さらに、小売業界においてキーパーソンでもある「ミレニアル世代」の存在もオフライン展開を進める理由の一つにあります。というのも、ミレニアル世代の人口はアメリカのおよそ約1/4を占め、年間2兆ドルもの購買力があると言われているためです。また、彼らはデジタルネイティブと呼ばれ、常にネット環境に身を置き、手軽にモノを得ることが容易な生活の中で育ったため、他の世代とは異なった購買行動を取ることがあるといわれています。


モノを所有することではなく、「ライフスタイル」を豊かにする消費行動、例えば、外食やワインテイスティング、観劇など楽しいことや非日常的なことを体験できる、いわゆる「コト消費」体験を求めており、ここに価値を置いています。この傾向を逆手にとると、リアル店舗だからこそ実現可能な新たな付加価値体験を提供し、そこから得た感動などが彼らとより強い結びつきを形成し、ネットも含めた購買(モノ消費)へとつなげることもできるのです。

ビッグデータの精度や付加価値を高めるリアル店舗情報

ここでAmazonなどのネット企業が欲しくなるのは、リアル店舗だからこそ得られるデータです。いつ、どこで何を買ったのか、生活や購買パターン、好きな食べ物など、アプリも活用しながら、巧みに利用し買い物をする顧客行動・購買履歴などを、リアル店舗をも活用しつつ、集める戦略を進めています。

オンラインとオフライン、両方のデータが整うと、ミレニアル世代のような体験やブランド自体に関係性を求めるような顧客に向けたきめ細かなキャンペーンやおすすめ商品のレコメンドなども可能となります。結果、オンライン・オフラインの双方から一人当たりの購買単価をあげることも、さらなる満足度の高い顧客体験や商品を提供することもできるようになるのです。

このように、ネット企業がオンラインと併せてオフライン展開をする目的は売上向上の目的はさることながら、それだけではないことがわかります。後編ではAmazonを始め、ネット企業が展開するリアル店舗のプロモーション事例を見ていきたいと思います。

1:Slice Intelligenceの調査より
https://www.digitalcommerce360.com/2017/02/01/earnings-preview-amazon-accounts-43-all-us-online-sales/
https://www.businessinsider.com/amazon-accounts-for-43-of-us-online-retail-sales-2017-2
2:A.T. Kearney社の調査より
https://www.atkearney.com/documents/10192/4683364/On+Solid+Ground.pdf/f96d82ce-e40c-450d-97bb-884b017f4cd7

 

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