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2018.05.24
アジア圏のビューティトレンド変化と消費価値観、メイドインジャパンコスメへの期待 【vol.3】
2018年3月9日、共同印刷で開催された『第2回 ビジネスモデル研究会』において、美容ジャーナリストの奈部川貴子さんに「アジア圏のビューティトレンド変化と消費価値観、メイドインジャパンコスメへの期待」という題目で講演いただきました。今回は、この講演の内容を3回に分けてお届けします。
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*vol.2はコチラ
■メイドインジャパンコスメの売り方
●売り方はエリアによっても全く変わってくる
中国の中でも特に美容意識が高いのは、香港に近い人たちです。グローバルトレンドに近いところにいるので、同じ中国でも欧米と変わらない美容意識を持っています。
これからのメイドインジャパンコスメというのは、全てを一緒にせずエリアに合わせた商品を海外へ展開していく必要があります。
先ほど化粧品にお金を使うという話もしましたが、それは日本に来ている訪日外国人の特徴で、現地では、例えば台湾の平均月収は11万円くらいです。日本と比べると平均年収は下がるので、高価なものをバンバン買えるかといったらそうではなく、プチプライスなもののほうが受け入れられやすいということもあります。富裕層を狙ったものにするのか、地元の方に受け入れられる商品として送り出していくのか、誰に売りたいかによっても、価格設定はかなり違ってくると思います。
また台湾、中国マーケットに対して、すでに多くの企業が取り組んでいると思いますが、今後は、台湾をハブとしてフィリピン、マレーシア、インドネシア、タイなどの東南アジアへ輸出していく機会が多くなってくると思います。
インドネシアは、華僑の方など富裕層が多いです。富裕層が多い国や、一夫多妻制の国であれば、奥さんの数だけ化粧品も購入するので、日本とは全く異なる消費感覚でモノが動いていきます。
●メイドインジャパンは価値観がキーポイントになっていく
ある雑誌に掲載されていた世界的な美容アナリストのコメントによりますと、これからは「韓国の美容ブームは一旦落ち着き、『簡素、渋み、静寂』といった日本の古典的な美の原則が注目を集めるでしょう」と予測されているそうです。
「嗜好」や「好み」というものは流行によって変化していきます。テレビCMを見たり、何かを友達に聞いたりしただけで、すぐにグラグラと揺れ動くものです。それに比べ「価値観」というのは「好み」のもっと上にある本流にあるものです。人の価値観はさほど変わりません。大事にしているものというのは、そんなに変わらないですよね。
例えば最近、シングル社会といいますか、個の社会で、結婚している人と独身の人では大事にしている「興味関心ごと」が異なるというデータがあります。特にこれから変化の激しい日本の市場を追っていくためには、「個」の時代において、どの価値観に基づいて人はモノを選び、買うのか、ということを考えることが大事になってくると思います。
■日本人の化粧品・美容商品の購入を決定づける価値観
これはまだ研究中ですが、人が購入を決断する直前の価値観は14個に分けられると考えています。例えば化粧品のコンパクトは人前で見せたりしますが、家で使用している基礎化粧品や、ボディ化粧品、サプリメントなどは、あまり人に見せることはないと思います。
そういった人目につかない商品を検討する際、どういった価値観で購入を決めるのか研究をしています。
今回は14の価値観のうち、3つほどご紹介しようと思います。
●「その店・その人の顧客でありたい」という価値観
例えば、意外に大きいなと思うのが、そこの、もしくはその人の顧客でありたいという価値観です。そのお店が好き、そのブランドのお客さんでずっといたいという理由以外に、「大事にされている」や、「おもてなしされている」という感覚があると、人はそこで買い物したくなります。買おうと思っている商品にどんな成分が入っているのかというような細かいことではなく、自分が大切にされているという充足感、そういった価値観で買い物をしている人が多いと思っています。
●「こだわる」という価値観
一方で、こだわりたいという人たちの価値観もあります。見た目やライフスタイル、インテリアなどにこだわる人たちです。このこだわる人たちは、中身にこだわる人が意外に多く、「こういうボトルじゃないとイヤだ」など、早急に必要なもの以外は、なるべくこだわって選びます。例えば「ボトルもインテリアのようなデザインで洗面所が素敵になるようにしたい」や、「この成分が入っているものは使わない」などこだわりがたくさんあります。
●「つながりたい」という価値観
また、つながりたいという価値観もとても強い価値観だと思います。誰かとつながって安心したい、納得したい、手軽に節約したいなど、この価値観と消費は密接に紐づいていると感じます。美容や健康食品を買う時、1人に対し1つの価値観ではなく、3つほど価値観を持っています。ある場合にはこの価値観が顔を出し、別の場合にはこの価値観が顔を出す。そういった複合的な価値観で成り立っていると思います。
例えば、美容意識が高い方や、美しくあることに興味が深い方は、自分の目標を決めて、「このレベルを維持する」「○キロ落とす」など非常に意思が強いです。そういう場合、「自信を持ちたい」「こだわりたい」という気持ちも強く、「つながりたい」という感覚は薄い場合が多いです。
逆に、低コストで商品を買いたい人たちは、いざ財布を開くときやショッピングサイトで買い物する際、「価格」や「手早く簡単に」という価値観が強いのではと思います。
●「口コミに影響される」ときと「買い物をする」ときの価値観は違う
本雑誌、口コミサイトやテレビなど、何かのメディアを見て「わぁ素敵!」と思ったとしても、いざ本当に物を買うときの価値観は異なると思います。例えば「石原さとみさんみたいな髪型にしたい」と思っても、いざ美容室選びとなると出てくる価値観は違います。
様々な価値観がある中で、どういう変わり方をしていくかが大事です。商品だけではなく、サービスや商品の供給の方法など、周辺を含めた全体から、消費者は判断してるんだなと感じています。
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2017年 第2回これからの女性市場 ビジネスモデル研究会
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