【連載】共同印刷×BOKURA パーソナル時代のコミュニティマーケティング  「Vol.1 SNSマーケティングは、企業の良いところも悪いところも伝えてファンをつくっていく仕事」

SNSの出現により個人が発信力をもつようになった現在、多くの企業にとって「個人との結びつき」は以前よりも重要なポイントになっている。その「個人のチカラ」に着目し、企業と個人のコミュニケーションを最大化しようとしているのが2015年にSNSマーケティング支援事業の会社として創業したBOKURAだ。

3回にわたってお届けする今回の対談では、共同印刷トータルソリューションオフィスの乙川繭子がBOKURA代表取締役社長の宍戸崇裕さんに「ソーシャル×リアルの可能性」について伺った。

SNSは個人が友達と会話をする場所、マーケティングは企業が自社の商品を通じていかにお客さまに喜んでもらうかという活動

乙川:宍戸さんは2015年にSNSマーケティング支援事業を行う企業としてBOKURAを創業されていますが、そもそも、なぜ「SNS」に目をつけたのでしょうか。

宍戸:僕は車の営業を4年半、不動産の営業を2年やった後、SNSが流行りはじめた2010年頃にネット業界に入りました。ネット業界を選択したのは、前職の仕事を通して「モノを売る仕事がなくなっていく」と感じたからです。

営業って結構辛いんですよね。ノルマがあって、いろいろな人と会話をしながらモノを売らなければなりません。それは多くの人、たとえ人と接するのが好きな人でも、ストレスになる行為だと思いました。

ネット業界に入って最初はSEO関連の仕事をしていましたが、2011年の東日本大震災で「電話はつながらないけれどSNSはつながる」という状況を目の当たりにして、SNSが時代の最先端にあると実感しました。それでSNSを仕事にしたいと思ったんです。

乙川:具体的にどのようなイメージがありましたか。

宍戸:SNSを使って、消費者がストレスに感じていることを減らしたいと思いました。

例えば服を買いに行くと、店員さんが「試着いかがですか」と話しかけてきますよね。僕はあれが結構苦手で…。この話を友達にすると10人中、8、9人は「私も苦手」と言います。

この「ユーザーが求めていないものを勧める行為」は、実は多くの企業が良かれと思ってやっていることです。ですから僕はSNSを通じて、企業と個人、お互いが気持ちよくなるように変えていきたいと思いました。

乙川:「企業と個人、互いに気持ちの良い状況」をつくるためにSNSマーケティング支援が必要だと感じたのですね。それでは御社が考える「SNSマーケティング」とはどのようなものでしょうか。

宍戸:SNSは個人が友達と会話をする場所、マーケティングは企業が自社の商品を通じていかにお客さまに喜んでもらうかという活動だと捉えています。その上でBOKURAが考える「SNSマーケティング」は、企業の良いところも悪いところも含めてSNSを通じて個人に理解してもらい、企業のファンをつくっていくことです。

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乙川:「マーケティング」という捉え方ではなく、あくまでSNSというチャネルを使って良い商品を広めていく場所をつくるということですか。

宍戸:そうです。もっと言えば、「SNS」にチャネルを限定するつもりもありません。

今はSNSを見た人がオンライン上で商品を買って完結するケースもあれば、SNSを見て店舗へ行き、そこで迷ってまた家でネットを見て…と、オンライン、オフライン、オンラインと、O2O2O…とシームレスに繰り返されています。

そのためBOKURAでは、主体のSNS事業だけでなく、企業のファンを集めたファンパーティーなどのリアルイベントも実施していて、今後はさらに力を入れる予定です。そういう意味では、BOKURAがやろうとしているのは、SNSマーケティングではなく、コミュニティマーケティングなのだと思います。

乙川:なるほど。企業や商品に集まるファンを「コミュニティ」と定義するならば、地域のコミュニティセンターのような存在がFacebookやtwitterのようなオンラインプラットフォームで、地域のお祭のようなイベントがファンパーティーやユーザー会のようなオフラインイベントということですね。 

O2O施策で幅広い層へリーチする

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乙川:御社の具体的なコミュニティマーケティング支援の内容を教えてください。

宍戸:現在はSNSの企業アカウントの運用支援が7~8割を占めています。ただ、企業のSNSは、商品を熟知し愛をもっている企業担当者が運用するのがベターなので、最初の1年間は弊社で運用してノウハウを企業に伝え、将来的には企業担当者が運用できるようにすることをめざしています。

残りの2~3割の仕事はSNS上で生まれたクライアントに関する投稿を集め、コンテンツ化することです。SNSに投稿された一般の方の投稿自体がとても良いコンテンツなので、それを「ファンボード」と呼ぶファンのための特設Webページに集約したり、パネルに印刷して企業に飾ったり、ファンを集めてリアルイベントを開いたりと、企業とファンをつなげ、またファンとファンをつなげる仕事をしています。

乙川:オンライン、オフライン、両方向でファンとつながる機会を設けていくんですね。

宍戸:SNSがこれだけ使われるようになった現在もSNSを使わない層は確実にいますから、より幅広い層にリーチするためにはオフラインの施策も欠かせません。また、SNSで見ていた企業の社長にリアルの場で会うことで、心から感激してファン度がさらに増すというケースも多々あります。ですから、オンラインだけでなく、O2O施策が重要なんです。

乙川:BOKURAさんが自負している、SNS支援を実施している他社との違いはなんでしょうか。

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宍戸:現在、国内には約200社以上のSNS支援の企業がありますが、多くは企業からの呼びかけに反応したファンを集めてコンテンツやイベントをつくるという手法を取っているのではないかと思います。 

BOKURAが考えいている手法は全く違っていて、企業に伝えようと意図していない投稿、例えば「このプリン美味しい! #メーカー名」などの好意的な投稿を、その企業がハッシュタグからピンポイントで探して集めにいきます。

プレゼントキャンペーンのような場合はコアファンだけではなく「商品をもらえるかも」「何となく面白そう」という薄いファンも集まる可能性がありますが、BOKURAの場合は投稿の内容でファンレベルを段階的に見て、コアファンを見つけています。

そうすることで、より効果的にターゲット層へアプローチすることができます。ファン層は企業から直接接触があることでファン度が増し、結果的に、ファンとの関係性強化や、コアファンによる好意的な情報拡散が広がっていくという好循環が期待できます。

最初に話したように、僕は「SNSを通じて企業と個人の双方が気持ちよくなる形をつくっていきたい」と思い、BOKURAを創業しました。現在、僕たちがやっている方法はまさにそれを具現化するもので、企業と個人(消費者)、双方にとってWin-Winになると思います。

乙川:コアファンにより熱い思いを持って頂き、さらに周囲の人も自然にファン化させられるのは、コミュニティマーケティングのメリットかもしれませんね。

Vol.2に続く…

株式会社BOKURA(https://bokura.biz/
代表取締役社長 宍戸 崇裕さま

自動車業界、不動産業界での営業経験を経て、2009年、モバイルSEOを手がける株式会社Speeeに入社。2011年よりSNSなどのコミュニティ監視大手、イー・ガーディアン株式会にて、ソーシャルメディア運用事業の立ち上げを行う。
その後、2012年アライドアーキテクツ株式会社にて、ソーシャルメディアマーケティング事業部マネージャーとして200以上のクライアントのマーケティング支援、コンサルティングなどを行う。マーケターMTGという、SNS運用担当者を集めたワークショップを月一で開催。リテラシーを上げながら、担当者同士の横のつながりを生み出す活動も行っている。

共同印刷株式会社
トータルソリューションオフィス ソリューション開発部
乙川 繭子(おとがわまゆこ)

貿易関連、化粧品メーカーを経て2017年入社。化粧品をメインに新規事業開発に携わる。

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