休眠顧客の「心理」を理解してお客様を呼び戻せ!

一度は自社の製品やサービスを利用したにもかかわらず、その後、足が遠のきつつあるお客様を「休眠顧客」あるいは「離反顧客」などと呼びます。

国内市場の縮小により新規顧客獲得が困難となりつつある今、休眠顧客の呼び戻しは、マーケティング上の重要な課題として見直されつつあります。この記事では、休眠顧客を効果的に呼び戻す方法について考えてみましょう。

休眠顧客にアプローチすることの重要性

ビジネスを継続的に成長させていくためには、新規顧客の獲得を避けて通ることはできません。

一方で、新規顧客獲得には高いコストがかかります。

マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー博士、新規顧客の獲得には既存顧客維持の5倍のコストがかかるということですが(※)、そのように高いコストをかけて獲得した顧客をむざむざ休眠・離反させてしまうのは、企業にとって大きなロスだと言わざるを得ません。

日々競争が激化する市場において、かけたコストを無駄にすることなく効率的にビジネスを展開していくうえで、休眠顧客へのアプローチは非常に重要な施策だと言えます。

※参考リンク
企業の成長は「既存顧客」が支える!?|顧客維持のために知っておくべき3つのこと
CRMのマジックナンバー1・5・25とは?

一般的な顧客分析手法だけでは十分ではない

休眠顧客の呼び戻しの一般的なプロセスは、休眠顧客のセグメントを特定・抽出し、抽出したセグメントに対して適切なアプローチをかけていくというものです。

休眠顧客の抽出にはRFM分析といった分析手法が用いられますが、RFM分析で明らかになるのは「誰が休眠顧客か」というところまでで、「なぜ休眠するに至ったか」の理由までは分かりません。

しかし、休眠顧客呼び戻しの施策を講じるうえでは、「休眠に至った理由」が非常に重要です。一度は製品を手に取ってくれたにもかかわらず、なぜ継続利用に至らなかったのか……その背景事情が分からなければ、効果的な対策は立てられません。

例えば、「品質に不満はないが価格が高すぎる」というのが離反・休眠の理由なら、お得な割引クーポンの提供で呼び戻せるかもしれませんが、「従業員の対応に不満がある」のが理由なら、値引きやクーポンをどれだけ駆使しても効果は上がらないでしょう。

休眠顧客の心理を深掘りする

休眠顧客呼び戻し施策の効果を高めるためには、休眠顧客の心理を深掘りし、顧客が何を求めているのかを把握する必要があります。

顧客の気持ちを把握するうえで役に立つのが、顧客アンケートの活用です。

休眠顧客へのアンケート実施はやや難易度は高いものの、ポイントやクーポンなどで謝礼を提供することによって、回答率を上げることは可能です。アンケート結果を分析して顧客が抱いている不満を読み取り、休眠顧客が何を求めているのかを推測してみましょう。この推測の結論をひとつの仮説と設定して、施策を実行することでPDCAのサイクルを回すことが可能になります。また、過去に寄せられたクレーム情報が蓄積されていれば、それも立派な分析材料として活用することができます。

このようにして得た分析結果を参考に、不満点を解消し、隠れた要望を満たすようなアプローチを組み立てることで、休眠顧客呼び戻し施策の効果は飛躍的に高まります。

顧客関係性強化・ロイヤル化が鍵

顧客の不満を解消し、隠れた要望を満たすことは、顧客関係性の強化や顧客のロイヤル化につながります。逆に言えば、普段から顧客と良好な関係を築けていれば、休眠化を防いだり、休眠顧客を呼び戻したりできる可能性も高まるということです。従って、顧客関係性の強化や顧客のロイヤル化に向けての施策を継続的に行っていく必要があるでしょう。

ひとたび自社の顧客になってくれたユーザーがいても、初めのうちはまだ「お試し期間」のようなイメージで自社商品に触れているかもしれません。この初めの期間は、まだ自社に対する信頼も確固たるものではなく、顧客の側ではさまざまな不安を抱えている可能性もあります。

例えば、「この商品はもろそうに見えるけど、すぐ壊れたりしないだろうか……」「これは随分派手な色が使われているけど、色落ちしないだろうか……」など。あるいは、接客について不安や不満を抱えている顧客もいるかもしれません。そんなとき、「もっと丈夫そうな他社製品」や「素晴らしい接客を行う他店」に出会ったとしたら、顧客が自社のロイヤルカスタマーになる可能性は低くなるでしょう。

上述の「アンケートの実施」は、そうした顧客の不安や不満を探るひとつの手段です。アンケートの種類にはさまざまなものがありますが、顧客ロイヤルティーを計る指標として近年注目され始めた「NPS(ネットプロモータースコア)」の調査を実施している企業も見られます。NPS調査では「このブランドを友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」といった質問に答えてもらうことで、顧客の満足度を探ります。

大切なのは、顧客の本音を知ること。そして、それによって商品や接客サービスの質を向上させ、顧客との関係性を強化し、自社ブランドに興味を持ち続けてもらうことです。そうした「お客様の正直な気持ち」を探る方法は、アンケート以外にもさまざまなものがあります。

多様なリサーチ・分析を顧客関係性強化に生かす

ここまででご説明してきた通り、顧客との関係性強化に向けての第一歩は、「お客様の本音」を知ることです。そのためには次のようなリサーチ・分析手法を活用することができます。

  • ・アイトラッキング
    視線の動きや瞳孔の開き、視点がとどまっている箇所などを計測し、ユーザーの潜在意識を探ります。何を見ているのか、何を見ていないのか、どのくらいの時間見ているかといったことを把握することで、「本当はここを見てもらいたいから、この部分を改善すべき」といった課題を発見できます。無意識レベルの心の動きが分かる点が特徴です。
  • ・会場調査
    あらかじめ用意した会場で、調査対象者に製品やデザイン案、サンプルなどを実際に見てもらい、それについての意見を集める手法です。まとまった数のサンプルデータを収集することで、絞った仮説の評価を数量的に裏付けることが可能。統計的な説得力があり、開発商品の絞り込みといったケースに有効です。会場に招いた調査対象者に対し、その場でアンケートを取ったり、簡易インタビューを行ったりすることも可能です。対象者数名に対し1人のアドバイザーを付けるといった設定もできます。
  • ・グループインタビュー
    調査条件に合致する複数の対象者を一堂に集め、座談会形式でテーマに沿って話し合ってもらうことで情報を収集する定性調査です。「モデレーター」と呼ばれる司会者の進行のもとで行われます。「対象者がほかの参加者の発言に刺激されて発言しやすくなる」、「一度に複数名の意見を集めることができる」といったメリットがあります。話し合いの過程や表情を観察した結果を分析することで、さらに多くのデータを得られます。
  • ・デプスインタビュー
    通常は、インタビュアー1人が対象者1人に対して行う対面形式のインタビューです。書記がその場にいる場合もありますが、基本的にほかの調査対象者は参加しないため、より深い質問ができるという利点があります。2人でじっくり話し合うため、対象者の本音を引き出しやすく、深層心理を探るのに向く手法です。グループインタビューと同じく、対象者の様子を観察した結果も利用できます。ただし、対象者の本音を引き出すためには、リラックスできる環境を作り出し、相手の答え方に合わせて質問事項を柔軟に変えていくといった配慮が必要です。
  • ・ソーシャルリスニング
    TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSやブログ、掲示板といったソーシャルメディア上の声を収集・分析し、マーケティングに活用する手法です。商品やサービスに関連するキーワードの登場傾向を、定量・定性の双方から分析します。どんなキーワードがどれくらい登場しているか、どんな競合キーワードが登場しているかといったことをチェックし、集めたデータを、商品やサービスの改善のほか、ブランディング、コミュニケーション、プロモーション、商品開発等、幅広く役立てることも可能です。インタビューやアンケートでは引き出しにくいネガティブな意見、率直な感想も拾いやすいというメリットもあります。ソーシャルメディアには「お客様の生の声」という貴重な情報があふれており、それらは企業が取り組むべき「課題」に気付かせてくれます。

ソーシャルリスニングサービスに関する詳しい内容は、以下をご覧ください。
『ソーシャルデータ+カスタマーデータを活用したソーシャルリスニングサービスについて』
上述のような分析を、CRMの顧客データやアンケート結果、コールセンターへの問い合わせ情報のほか、DMP、RFM分析などと併せて活用することで、より顧客の深層心理を探りやすくなるでしょう。

こうしたリサーチ・分析で大切なのが、仮説、分析、施策をトータルに考えることです。調査や分析のみでは、費用対効果が不明確になりがちですが、仮説検証型のサイクルを組み立て、その中に業務上の課題を明確にするための調査設計を行い、データ分析を組み込むことで、効果が見えやすくなります。

多角的な分析を休眠顧客呼び戻しにつなげる

今回は、企業にとって重要な課題である休眠顧客呼び戻しについてお話ししました。

一度離れてしまった顧客にまた関心を持ってもらうためには、「どこが不満だったか」「なぜその商品が不要になったか」などをできるだけ具体的に知ることが大切です。多様なデータを用いた多角的な分析を行うことで、顧客の「真の要望」を探り、休眠顧客の呼び戻しにつなげましょう。

2018年10月更新

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