BtoBやOne to Oneのアプローチに活かすメールマーケティングテクニック

SNSやコミュニケーションツールの普及により、企業が顧客とつながる方法は以前に比べて格段に増えましたが、特定の顧客に直接コンタクトを取るうえで、最も効率的かつ確実なツールは、今なお電子メールだと言ってよいでしょう。

この「1人ひとりに直接連絡できる」という特性は、一般的なBtoCビジネスだけでなく、BtoBやOne to Oneのアプローチにおいても有効に活かすことが可能です。今回は、BtoBやOne to Oneにおけるメールマーケティングの活用方法についてお伝えします。

メールマーケティングとは

「メールマーケティング」とは、Eメールを利用したマーケティング手法のこと。見込み客や顧客にとって有益な情報をメールで配信することで、自社や自社ブランドへの関心を高めてもらうといった目的で行われます。

送る情報や配信スタイルはさまざま。お馴染みの「メールマガジン」の形で新商品に関するお知らせを送ったり、あらかじめ設定したシナリオに沿って1回~複数回のメールを順次配信する「ステップメール」を送ったりするなど、種々の方法があります。また、一人ひとりの顧客向けにパーソナライズされたメール(パーソナライズド・メール)を送るという手法もあります。

こうしたテクニックをBtoBやOne to Oneに活かす方法を見ていきましょう。

BtoBにおけるメールマーケティングの活用

BtoBマーケティングの特徴のひとつとして、見込み顧客とのファーストコンタクトから実際に受注にこぎつけるまでに長い時間がかかることがあげられます。数週間、数ヶ月は当たり前、場合によっては一年以上のアプローチを経て受注に至るケースも少なくありません。

メールマーケティングは、こうした長期にわたる検討期間を通じて見込み顧客との関係性を深め、育成(ナーチャリング)を進めていくうえで非常に有効なツールとなり得ます。

定期的・継続的なアプローチにはメールマガジンを使う

メールマガジンは、指定したリストに対して一括で情報を届けるのに適したツールだといえます。BtoBマーケティングの領域においては、新製品リリースのお知らせやバージョンアップ情報、セミナー開催の告知といった目的でメールマガジンが用いられることが少なくありません。また、ブログやノウハウサイト、事例集の更新など、いわゆるコンテンツの更新情報を顧客に伝えるために使うことも多いようです。

見込み顧客や顧客に対して定期的にアプローチし、継続的に関係をつなげていくような場面でメールマガジンが活躍します。

個別のシナリオでアプローチできるステップメール

もうひとつ、メルマガと並んでよく知られているメールマーケティングツールに「ステップメール」があります。基本的に一回ごとに完結するメールマガジンと異なり、数回にわたって段階的に情報を伝えて、態度変容を促していけるのがステップメールの特徴です。

ごくシンプルなステップメールでは、送信するメールの内容とタイミングをシナリオとして設定することができます。例えば、Webサイトからの資料ダウンロードをトリガーとしてまずは「ダウンロードのお礼」を送信し、その数日後に「資料はいかがでしたか?」といった状況伺いのメールを送信、そのまた数日後には無料セミナーへの招待などのオファーメールを送る……という具合に、段階を踏んで見込み顧客にアプローチすることが可能です。

「誰に(何をした人に)」「いつ」「どんな情報を」届けるかを細かくカスタマイズできるため、リードナーチャリングフェーズの強力な武器となります。この「細かくカスタマイズした」アプローチ、すなわち「One to One」におけるメールマーケティングの活用についても、このあとお伝えします。

One to Oneアプローチにおけるメールマーケティングの活用

インターネット上におけるデータの収集・分析手法の進化などを受けて、One to Oneマーケティングに取り組む企業が増加してきています。Webを活用したOne to Oneマーケティングの一般的な手法では、コーポレートサイトやコンテンツサイトといったオウンドメディアの中にCTA(Call to Action)を設置して、顧客の属性情報を収集します。そのうえで、サイト上での顧客の行動履歴を顧客情報と紐づけて蓄積・管理し、蓄積したデータを複合的に分析して個別アプローチに活かしていきます。

ビジネスの継続的な成長のためには、いわゆる「一見さん」をリピーター化するとともに、既存顧客のリピート率を高めていくことが重要ですが、Webを活用したOne to Oneマーケティングにおいても同じことが言えます。すなわち、初めてサイトに訪問した顧客に再訪問/再購入を促したり、既存顧客のサービス利用頻度等を高めたりする施策を打っていく必要があるのです。この際、企業(サイト運営者)側から顧客にアプローチするためのツールとして、今なお有効なのが電子メールなのです。

メールの効果を劇的に上げるパーソナライゼーション

企業が顧客へのコンタクトにメールを使い始めた歴史は古く、メールマガジンを中心に販促のために積極的に用いられてきました。紙のDMと比べて低コストかつ迅速に顧客に届けられる電子メールは、企業にとっては非常に便利なコミュニケーションツールだったのです。

しかし、便利さゆえに多くの企業が電子メールを濫発し、受信者の迷惑を顧みない「迷惑メール」が増殖した結果、顧客は今や、一方的に送り付けられてくるメールには食傷気味となっています。よほど気に入ったメールマガジンか、あるいは何かしら読ませる工夫のあるものでなければ、開くこともなくそのままゴミ箱行きとなるケースも少なくありません。

そうしたなか、改めて注目されているのが、一人ひとりの顧客向けにパーソナライズされたメール(パーソナライズド・メール)を送るという手法です。パーソナライゼーション(個別化)という手法は、もともとはWebサイトで積極的に採用されてきたものですが、これをメールに応用したのがパーソナライズド・メールです。

パーソナライズド・メール作成の手法

パーソナライズド・メールでは、データベース上の顧客データやオウンドメディアから得られる情報を活用して、顧客ごとにカスタマイズしたメールを作成します。

カスタマイズのレベルはさまざまで、宛名に顧客の名前を差し込んで関心を引く、といった古典的なものはもちろん、過去に購入した商品に関連のあるトピックを織り込んだり、顧客のWeb閲覧履歴をもとに分析を行い、関心の高そうな情報をピックアップしたりすることもあります。

しかし、どのような手法を用いるにせよ、重要なのはパーソナライゼーションを活用する目的をはき違えないということです。パーソナライゼーションは単に目先の面白さという「餌」で顧客を釣るための道具ではなく、顧客にとって本当に有益な情報を選び出すために活用してこそ、真の成果をもたらすのです。顧客の求めるものを真に理解し、フェイス・トゥ・フェイスの接客と変わらぬ心のこもったおもてなしをするために、技術を活用するということです。

メールマーケティングの事例

BtoBマーケティングで鍵となる「顧客の関心が高そうな情報」やパーソナライゼーションの鍵となる「心のこもったおもてなし」。これらが見られるメールマーケティングの事例をご紹介します。

  • ●Trulia:Moving Trends
    アメリカの不動産情報サイト「Trulia」が行ったメールマーケティングキャンペーン。

「Trulia」は不動産の売買、レンタルを希望するユーザー向けのサイトで、価格別、間取り別などで検索ができるようになっています。

このキャンペーンで同社が送ったメールは、件名が秀逸。それは、「ミレニアル世代はなぜ引っ越さないのか?」というもの。メールの本文には、「なぜ以前ほどアメリカの若い世代は引っ越しをしなくなったのか。どんな変化が起きたのか」といったタイトルに続き、引っ越しに関する最近のデータを紹介しています。

自社ビジネスの直接的なプロモーションではなく、顧客の関心を引く関連情報で興味を引くこの手法は、BtoBのみならず、BtoCにも応用できそうですね。

  • ●ハワイアン航空:バースデープレゼント
    「誕生日や誕生月にクーポンを送る」というメールマーケティングはよく見られますが、すでに広く行われているため、印象づけることが難しい場合も。しかし、ハワイアン航空がメールで顧客に送ったバースデープレゼントにはインパクトをもたらす一工夫が施されています。

そのメールには、ハワイの伝統的な装飾品「レイ」の鮮やかな写真とともに、「ハワイのレイは特別な機会に送られるもの。誕生日は何より特別な日ですね」といったメッセージが。そして、誕生日プレゼントとしてマイルを贈っています。社名にちなんだ温かなメールで、心のこもったおもてなしが感じられるでしょう。

メールマーケティングにおけるツールの活用

これまでご紹介してきたメールマーケティングは、ツールを活用することで、より効率的に行うことが可能になります。そうしたツール活用の例をいくつかお伝えしましょう。

マーケティングオートメーション時代のステップメール活用

ここ数年、「マーケティングオートメーション」が広く注目されるようになってきましたが、マーケティングオートメーションツールを活用して、前述のステップメールをさらに進化させたようなアプローチがとられることも増えてきています。例えば、Webサイト上での見込み顧客の行動(ページの閲覧やバナーのクリックなど)をもとにスコアリングを行い、蓄積したスコア情報をステップメールのトリガーとして利用したりすることができるのです。

また、DMP(Data Management Platform)の普及により、自社サイト外でのWeb閲覧履歴や広告のクリック状況などを分析の基礎データとして利用することも可能となってきています。さらに、人工知能(AI)も目覚ましい進化を遂げており、CRMやマーケティングオートメーションツール、DMPなどから収集したデータを解析し、見込み顧客の行動予測を行えるような基盤も整いつつあります。

パーソナライゼーションの鍵を握るCRM

One to Oneマーケティングにおいてパーソナライズド・メールを活用する際に重要となるのは、なんといっても顧客データの蓄積と運用です。顧客に関する必要十分なデータを蓄積し、必要に応じてスピーディーに取り出して利用できる形で運用することが、パーソナライゼーションの成否を分けるといっても過言ではありません。

昨今は外部サイトにおける顧客の行動履歴データなどをマーケティングに活用するケースが増えてきていますが、そうした新しい取り組みに着手するにしても、まずは社内の顧客情報を整備することが求められます。

顧客志向のOne to Oneマーケティング手法が日々進化していくなかで、顧客関係性管理(CRM)の重要性もますます高まってきています。これを機会に本格的にCRMを導入したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

「Cogma」顧客育成施策編

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【あわせて読みたい!CRMについて詳しく知りたい方はこちら】

→CRMとは?CRMの内容や導入すべき理由を徹底解説

今後も進化が期待される

メールマーケティング、と聞くとすでに使い古された手法のように思う方もあるかもしれませんが、実はこうしたさまざまな技術との連携により、今後ますます進化していくことが期待されているのです。

なお、メールマーケティングについては、下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

【基本】コンバージョンを獲得するメルマガ見直し術

2018年12月更新

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