全国スーパーマーケット協会が語る「未来のスーパーマーケット」とは?

テクノロジーの進化により消費者の購買行動が変化する一方で、小売業は店舗運営における労働力不足という大きな課題に直面しています。
また、地球規模での資源の枯渇やフードロスなど、環境や社会的課題にも取り組まなければなりません。 

今後、小売業にはどのような“変化”が求められるのでしょうか。

今回は、小売業のなかでもスーパーマーケットに焦点を当て、“継続的近未来スーパーマーケット研究”をテーマとするプロジェクト「Future Store ”NOW”(※1)」を主催する(一社)全国スーパーマーケット協会(※2)村尾 芳久さま(写真右)に、運営事務局である共同印刷(株) 平野 一郎(写真左)がお話を伺いました。スーパーマーケット業界はもちろん、小売業全般に携わる方々へのヒントになれば幸いです。

※1「Future Store ”NOW”」
近未来のスーパーマーケットを生活者および小売業の目線で、中長期的かつ継続的に研究し、展示会やウェブを通じて情報提供するプロジェクト。
http://fs-n.net/

※2一般社団法人全国スーパーマーケット協会
スーパーマーケットに関する調査および研究を行う団体。教育研修、資格検定、ビジネスマッチング、展示会などを主催。
http://www.super.or.jp/

■スーパーマーケットの課題は?未来のために取り組むべきこと

共同印刷 平野(以下、平野):時代の変化や情勢により、スーパーマーケットは省人化・効率化などさまざまな課題に直面しています。未来のために、今どのようなことに取り組むべきでしょうか。

全国スーパーマーケット協会 村尾さま(以下、村尾さま):テクノロジーによるバックヤードの効率化はすぐに取り組みやすいところだと思います。
しかし、間違えて理解していただきたくないのは、省力化、自動化はそれ自体が目的ではなく、“人を生かす”ために行うということです。バックヤードやレジ回りはテクノロジーによる効率化を図りつつ、お客さまとのコミュニケーションに関しては人がしっかりと対応するべきだと思います。
スーパーマーケットは、一つの場所でいろいろなものを取り揃えていることに価値がありました。しかし、ネット販売の普及でそれは価値ではなくなりました。例えばあるスーパーマーケットが「店舗コンシェルジュ」によるサービスを導入しているように、いかにネット販売にないリアル店舗ならではの価値を提供していくか、が重要課題といえます。

平野:共同印刷でもヘルスケア事業に焦点を当てた取り組みを始めています。
“健康”におけるスーパーマーケットの役割について、どうお考えでしょうか。 

村尾さま:ウェルネスサポートの取り組みが必須といえるでしょう。
例えば、“この食材が健康にいいですよ”という提案をするのではなく、まずはお客さま自身に、自分の健康状態を知っていただくことが大事だと考えています。お客さま一人ひとりの健康状態に合った食材やメニューの提案ができるようになるといいのではないでしょうか。

地域の健康づくりに寄与することで、スーパーマーケットの来店客数や買上点数の維持向上にもつながるはずです。

平野:今後リアル店舗はどのような付加価値を提供するべきとお考えでしょうか。

村尾さま:昔は売り手のほうが商品の情報を持っていましたが、今はネット検索などで買い手のほうが圧倒的に情報を持っていますので、買い手がリアル店舗に求めるものは変わってきています。
また、ドラッグストアやホームセンターでも食品を扱うようになるなど、食品スーパーにとっては厳しい状況になっています。
一方で、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)はこれまでの積み上げではなく「ブレイクスルー型」です。今、求められるのは小売の常識を積み重ねることではないように思います。Future Store“Now”(以下、FSN)においても、さまざまな業種業態の企業にスポンサーとして参入いただくことで、スーパーマーケット業界の新しい“気づき”につながると考えます。その“気づき”が、新たな付加価値の創造につながると確信しています。

■こんなスーパーマーケットがあればいい!未来の姿を提案

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FSNは、2020年のスーパーマーケット・トレードショー(※3)の特別企画展において、「VIVID MARCHE」をコンセプトに出展します。
VIVID MARCHEには、“新鮮でいろどり鮮やかな商品、イキイキとしたお客さまと従業員、おしゃれな店舗と最新テクノロジーでビビっとくる、「人」を中心として技術やサービスをワクワクさせながら提供していくこと”を願う意味が込められています。 

この「FSN2020」に向けて、2019年7月3日に「Future Store"NOW"2020 企画準備員会」が開催されました。スーパーマーケット各社の経営層と協賛企業が一堂に会し、スマートコミュニケーション、ウェルネスサポート、エンターテイメントの3つの観点から未来のスーパーマーケット像についてディスカッションを行いました。挙がった主な意見を抜粋してご紹介します。

※3スーパーマーケット・トレードショー
スーパーマーケットを中心とする食品流通業界に最新情報を発信する商談展示会。
http://www.smts.jp/

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(1)スマートコミュニケーション

●さらに一歩先をいくテクノロジー

単純に自動発注できるだけでなく、明日の天候や客数の予測を反映して発注数をコントロールできるシステムづくり。売場をユーザーに合わせて都度変化させていくことも5Gの時代にはできるようになるのではないか。

●バックヤードの改善によりリソースをお客さまへ還元

物流から一貫して、ロボットによる品出しや商品補充を行うことができるのではないか。お客さま対応やスタッフ教育など、細やかな気配りが必要な業務は人が中心となってやるべきで、テクノロジーに任せる部分と、人が行う業務の明確化が必要。

(2)ウェルネスサポート

●従業員の健康サポート

深刻な人手不足のなか、従業員の健康管理も重要となる。発注業務を行う端末をウェアラブルにし、健康状態を把握する。従業員の心のサポートにも活用して、やりがいを高める仕組みを実現することもできるのではないか。

●テクノロジーで「One to One」のコミュニケーションとなる可能性

スマホのアプリなどと連動して健康状態を記録、それをお客さまの販売データと結び付けて、健康状態にあった食材とメニューを提案できれば、「One to One」のコミュニケーションが実現される。

(3)エンターテインメント

●リアル店舗における楽しい買い物体験

リアル店舗だからこそできる楽しい買い物体験の提供で、お客さまにファンになってもらうことが重要。テクノロジーをうまく絡み合わせ、お客さまの五感に響く売場づくりや仕掛け、そして最終的にはそれらの体験が購買につながるようなストーリー設計が大切。例えば「ライブキッチン」や「生産者とコミュニケーションがとれる野菜売場」などが考えられる。

●デジタルサイネージのコミュニケーション化

店頭に置くデジタルサイネージは情報を一方的に流すのではなく、お客さまがアクセスしやすく操作しやすい画面にするなど、コミュニケーションをとれるようにすべき。

まとめ

スーパーマーケットが抱える課題を、広く小売の現場に携わる方にもリアルに感じていただけたのではないでしょうか。
テクノロジーが急速に進化する今、スーパーマーケットは買い手の変化などに応じてどう変化していくかが問われています。スーパーマーケットの未来を考えるには、異業種からの“気付き”が欠かせません。Future Store ”NOW”は、スポンサー企業を大募集しています。共に未来のスーパーマーケットの在り方について考え、取り組んでみませんか。

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