香港の肉食女子をベジタリアンに!? SNSのターゲット戦略とは?

香港には様々な人種や文化、宗教が共存していますが、国際都市の多様性からグルメシティーとしても有名で、肉や魚の年間消費量は一人当たり144キロと世界1位でもあります。しかし最近、それとは逆の野菜を多く取り入れるライフスタイルが注目され、香港人の男性約2%、女性は約5%と増加しつつあるベジタリアン市場。そのため、街中にもさまざまなタイプのベジタリアンレストランが増えています。以前は仏教徒などに向けたものでしたが、現在ではマーケットにあわせたアプローチへと変化させています。ここ数年で、何が香港女性のライフスタイルに変化をもたらしたのか、どのようなマーケティングが行われてきたのか、新たなペルソナ像を考察しながら紹介します。

香港女子がベジタリアンへ変化した背景とそのペルソナ

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香港では、健康生活を推進する社会企業「Green Monday」が呼びかける「週に一度のベジタリアン食で、健康と環境に配慮した生活を」というものがあります。それが開始される前後の2012年頃は、植物ベースの食事をする人は香港人口の約5%でしたが、2014年には22%もの人が週1でベジタリアン生活をするようになりました。また、世界の市場調査会社「Euromonitor」社によれば、香港を含む中国のベジタリアン市場は2015〜2020年までに17%以上の成長が見込まれるとしています。

そして、中国食材を多く輸入する香港では、鳥インフルエンザや残留農薬野菜、発がん性物質が検出された海鮮など近年起こっている中国の食材問題や、環境保護への意識の高まりがベジタリアン人口を増やす背景につながっています。

また、SNSなどの利用がベジタリアン増加の一因として上げられます。リサーチコンサル社「TNS」によれば、香港でも他国同様にスマートフォン利用者が多く、アジアの利用者10億人強のうち500万人は香港在住者と言われています。特に、ミレニアム世代を中心とした香港女子の多くはSNSのアクティブユーザーです。利用者数別に見ても、「スナップチャット」アプリは香港が1位、インスタグラムは2位となっており、さらに、55〜65歳のネット利用者の44%はインスタを利用する「Insta-Gran」と呼ばれる高齢世代です。そして、ミレニアル世代を中心とした女子においては、ベジタリアン食を「色とりどりの野菜を使ったおしゃれな食事」としてSNSで拡散することが広まり、話題になりました。

スマートフォン利用者の増加は、上述の「Green Monday」の呼びかけに応じやすい環境が整っており、それによる健康・環境などへの理解とともにSNSでの「ベジタリアン食」のオシャレさも拡散、ベジタリアン女子の数も比例して増えるというサイクルができあがったのです。

香港ベジタリアンを取り込むマーケティングの過去と現在

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もともと宗教などの関係で、菜食主義者への需要があったベジタリアン・レストラン。数年前までは「少し凝った素敵なディナーを当店で」というような、普段シンプルな食事をする人に向けて必要最低限の宣伝をしていました。 しかし、ベジタリアン女子のような利用者が増えた昨今、「美味しいベジタリアン料理あります」、「健康を気にする方に」などと、顧客の年齢や嗜好に合わせたアプローチ、SNSを意識したマーケティングへと変化しています。

香港のネット利用者である16〜24歳のうち、42%は「公式ウェブや広告より、人々の生の声を信じる」と回答、一方で、中高年層は家族や友人の情報を重要視する傾向にあります。しかし、SNSへの投稿に手慣れたデジタルネイティブのみならず、最近では、中高年層もSNSで発信することが増えているのです。

大手グルメ評価サイトの「openrice」では、1つのレストランに何百枚もの写真がシェア、消費者による宣伝・知名度の拡散が店舗や企業のマーケティングに大きな影響を与えています。そのため、メニュー開発においても『インスタグラビティー』を考慮し、味だけではない『視覚的要素』を強めています。そして、顧客数の拡大とベジタリアンではない潜在顧客の注意をひき、『検索→利用→シェア→拡大』というループへ持ち込むマーケティングが現在の主流となっています。

ベジタリアン女子を取り込んだマーケティング成功例

例えば、これらのトレンドやマーケティングを利用した成功例として冷凍食品会社の「灣仔碼頭」があります。ベジタリアンのトレンドに沿った「ブランディング」に必要性を感じ商品を開発。そして「多菜多益(もっと野菜、もっとメリット)」というテーマで昨年11月に発売した冷凍野菜餃子は、厳格なヴィーガンにも対応させスパイスも排除しました。これによって、販売最初の1か月で5万パックの売上を記録、ベジタリアン食品のバラエティー不足の声が聞かれる香港で、2桁の成長を見込んでいます。

以前は「家族の絆」を軸にマーケティングをしていましたが、このトレンドに沿って、オンライン販売は「多菜多益」を主力商品とし、若年層の消費者をターゲットにしました。昨年はGreen Mondayと提携したプロモーションを展開、野菜餃子を使ったレシピの紹介や、SNSのゲームを通した野菜餃子のサンプル配布を行いました。これは予想以上の反響を上げ、用意していたサンプルが不足、急遽量を増やすという対処に追われたほどでした。

まとめ

幅広い年齢に広がりつつあるベジタリアン。新しいものを柔軟に受け入れる香港は、流行りが生まれやすい一方、消えるのも早い文化です。そのため、時代のトレンドにのって早い決定で行われるプロモーションと並行して、ただの「流行り」で終わらせないための戦略も必要不可欠です。また、メニューなどの提供においても、その意味やストーリーを伝え、それに共感するファンを増やし、それがファンと企業にメリットをもたらす仕組みの構築も必要になってくるでしょう。そこには、今回のようなベジタリアン女子のような考察や、世代・ターゲットにおける綿密なペルソナ設定も大事になってくるのです。

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