脱プラ包装で売上増! コスメ企業「Lush」に学ぶ新ペルソナ

近年、環境問題が叫ばれる世相を反映し、欧米では各企業がプラスチック削減活動へ意欲的に乗り出しています。その中でも注目したいのがイギリスのオーガニック入浴剤・自然派コスメ企業「Lush(ラッシュ)」です。そのLush が今年1月、イギリスで初となる〈プラスチック包装を撤廃した店舗〉をコンセプトとした『Naked Shop(ネイキッドショップ= 裸のお店)』をマンチェスターにオープンしました。さらに注目したいのは、これら商品を購入する女性たちのマインド醸成です。サスティナブルな意識の浸透とともに同社の売上は伸びていますが、一体どのような女性たちを惹きつけているのでしょうか。Lushならではの商品コンセプトとペルソナ概念を紐解きながら成功のヒントを探ります。

プラスチック包装を撤廃し、ブランドの透明性をアピール

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最近、「SDGs」 というフレーズをよく耳にします。これは、“Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標”という意味で、実は、このLushではSDGs が注目される20年前から取り組んできました。そんなLushが、イングランド中部の都市マンチェスターにオープンした“Naked Shop”は、日本でも数年前から一部のみ取り扱いがあったネイキッドシリーズをさらに発展させ、プラスチック包装の「全廃」に踏み切った店舗です。

“Naked Shop”では、固形シャンプー・石鹸バー・シャワージェル・スティック状ハイライターなど、店に並ぶ全商品が脱プラはもちろん、紙の包装まで一切排除しています。購入後の包装が必要な場合には、再利用可能なコットン製ラップを販売しています。オープニングでは『ネイキッド』のコンセプトにちなみ、裸にエプロンのみをまとった販売員が接客し大きなインパクトを与えました。これは、本家イギリスに先駆け実験オープンしていた、ミラノとベルリンの“Naked Shop”に続く新形態店舗です。ちなみにミラノとベルリンでは、2018年に616,880回のシャンプー回数に相当する8000個もの無包装のシャンプーバーを売り上げています。

「ネイキッドショップの登場により、お客様のエコバッグ持参がどれほど簡単なことか気づいていただき、どのように購入商品を持ち帰るのがより良い選択か、考えるきっかけになれば」とLushのデザイナーは話します。今回のこの動きは『ブランドの透明性の促進』と『良質なプロダクトの浸透』へも繋がっているそうです。

マンチェスターオープニング時の動画

Lushのターゲットであるブランド愛用者の「ペルソナ」とは?

このように「環境問題」などにいち早く取り組み、ブランディングとエコ活動を率先してきたLushでは、どのようなペルソナ設定をしているのしょうか?

実は驚くことに、Lushはペルソナやターゲット層の「設定をまったくしてない」そうです。さらに過剰な広告費を省いて、SNSの広告やマーケティングを中心に行っています。インスタグラムのフォロワーは女性が89%、男性が11%と女性中心の顧客層にも関わらず、敢えてターゲット層を絞らずに男性や同性愛者、同社のさまざまな従業員をSNS広告に起用するなど、徹底して他社との差別化を図った独自の「インクルーシブ」な戦略に重きを置いています。しかしその姿勢が、社会問題にアンテナを張る女性を含んだ幅広い層の支持を獲得し「個性的」なブランディングの強化につながったのです。

Lushの画期的な取り組みを支持する中心層の女性たちは、ツイッターやインスタグラムを使いこなすミレニアル世代などのSNSアクティブ・ユーザーです。その上、同社はポップカルチャーとしての側面も大きく、その色鮮やかな商品はインフルエンサーの間でも評判です。上述のマンチェスター店の開店時には、一般女性の「マンチェスターのLushがパッケージフリーのネイキッドショップになるなんて、すごくワクワクする!」と言ったツイートを始め、フォロワー数が180万超えのインスタグラマーやトレンドセッター、著名な女性事業家など幅広い層が同社の支持を表明しました。

ここからLush愛用者のペルソナを考察すると、多様性に寛容で最新コスメや流行に敏感、なおかつ、環境に優しいプロダクトを好み、SNSを通してトレンドや自身の意見や考えを発信できる現代的な女性消費者であり、さらに企業理念への共感で積極的にブランドサポートする層、ということが読み取れます。

企業理念をベースにした最新アプリ開発

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Lushでは、接客時に商品がどのように環境に配慮しつくられているかなども説明しています。そのツールとして導入されているのが『#LushLabs』というアプリです。アプリの機能である「Lush Lens(レンズ)」を使って、棚に陳列された商品をスキャンすると原材料や使用方法のチェックが可能になり、さらに、通常は商品につけられていたプラスチックラベルも不要になったのです。このように、貫き通したサスティナブルな企業理念とそれに基づいて開発された「アプリ」という現代テクノロジーをうまく融合させることで、さらなる多くの愛用者を生み出しました。

従来のペルソナマーケティングは、まず対象とする顧客のペルソナ設定をし、それを踏まえたマーケティングやプロモーション・商品開発などを行うのが通例です。しかしLushでは顧客ではなく、時代に囚われることなく持続させているSDGsやエシカルな思想を重視した「企業理念そのもの」が『ペルソナ』の役割を果たしました。
そして、このペルソナに賛同(合致)したミレニアル世代などを中心に、ブランドと商品の強い信頼を獲得し成長した「逆ペルソナ」のケースと言えるかもしれません。

開発担当者であるアレクサンドロ・コミッソ(Alessandro Commisso)氏はこう述べています。「Lushは、創業以来ずっとパッケージ削減を目指してきました。そこへやっと今、プラスチックや無駄な包装に背を向ける大きなムーブメントを迎える時代になりました。つまり脱プラ包装と同時に、我々のプロダクトが『5つ星エクスペリエンス』も届けることが可能となるのです」。

まとめ

現在は、ライフスタイルや企業でも単にファッショナブルなだけではなく、サスティナブルな意識や個性的なブランディングが求められる時代になりました。そうした時代背景とSNSの急激な普及に後押しされ、Lushブランドは多くの人の支持を集め、売上拡大へとつながりました。利益を超えた企業理念を最優先事項とし、常にSDGsをリードし続けてきたLushだからこそ実現きたともいえる、ペルソナマーケティングの特異な例でもあるのです。

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【参照元】
https://digiday.com/marketing/lush-features-men-women-alike-marketing/
https://uk.lush.com/article/lush-naked-shop-inside-packaging-free-cosmetic-stores
https://www.livekindly.co/lush-to-open-its-first-plastic-packaging-free-store-in-the-uk/

https://lovinmanchester.com/shopping/lush-are-opening-their-first-uk-plastic-free-store-in-manchester
https://www.independent.co.uk/life-style/lush-naked-store-uk-plastic-packaging-environment-nature-manchester-shop-a8721406.html
https://graziadaily.co.uk/beauty-hair/skin/lush-naked-store-manchester/
https://www.cosmopolitan.com/style-beauty/a61890/lush-cosmetics-popularity/

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