「ペルソナ分析」で東南アジア化粧品市場の席巻を狙え!【前編】

世界的に継続しながら拡大を続ける化粧品市場。アメリカ・中国・日本に次ぎ、大きなマーケットとして注目されているのが『タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン・ベトナム』を含むASEAN諸国です。各国とも高い伸び率を示し、2017年にはASEAN諸国で世界の32%のマーケットシェア¹を獲得するまでに成長しました。

 そんななか、日本企業は高品質な商品にも関わらず、市場のシェアを獲得しきれていない現状があります。その要因として「マーケティング力の弱さ」や、そもそも「誰がターゲットなのか」が明確にできていないという実態があります。今後もさらに成長が見込まれているASEANで、日本の化粧品ブランドのポジション獲得とシェア拡大には、各国のニーズを把握しながら、商品の良さを伝えていくことが重要です。前編では、上述の5カ国における女性たちのペルソナ像を理解するべくニーズや生活の変化を紐解いていきます。そして、マーケティングに欠かせない各国ごとの化粧品市場トレンドや重要ポイントも併せてご紹介していきます。

【この記事は連載です】
「ペルソナ分析」で東南アジア化粧品市場の席巻を狙え!【後編】

 東南アジアの化粧品市場の拡大

東南アジアの化粧品使用の伸長率が高くなっている背景は、東南アジアの女性たちの社会進出大きく関係しています。女性たちが収入を得ることにより、かつては富裕層が嗜好品として使用していた化粧品が、近年では中流階層の女性たちが使う日用品となりました。これらを背景として、東南アジアの化粧品市場が年々拡大しているのです。

1、インドネシア女性の化粧品事情

インドネシア市場は活気がありポテンシャルが高いマーケットの一つです。一番の特徴として「ハラール化粧品」市場の大きさが挙げられます。「ハラール化粧品」とはイスラム教の戒律に沿って作られたもので、イスラム教徒人口の多い東南アジアではこのマークの化粧品が多く販売されています。
インドネシアの女性は極めて美容への興味関心度が高く、クレンジング・ボディローション・リップスティックは利用率のTOP3で日頃のケア習慣もついています。さらに、1日の使用化粧品の種類も平均6〜7商品と他国に比べ多くなっています²。そして特に、“その化粧品で自分自身に自信を持つことができるか”という点にポイントを置いているのが特徴的です。常に、理想と現実を重ね合わせ、足りない部分を補い、理想に近い自然体の自分を作ることに注力します。整形やサプリメント、メイク技術に頼る美しさではなく『インナービューティー』、つまり内側から自信を付けるために必要な材料として「化粧品」を捉えています。

2、タイ女性の化粧品事情

タイ女性の場合は、トレンドに敏感で変化が激しいことが特徴です。現在、若い女性の間でトレンドとして市場拡大を牽引しているのが韓流ブーム。2000年代以降インターネットの普及に伴いSNS利用者が増え、韓流ブームをリアルタイムで「キャッチ→シェア」というトレンドが生まれ、安価で手に入りやすい韓国化粧品は一気に市場を席巻していきました。タイ女性は、オンラインの情報収集や商品購入が積極的なので、国内のアクセス数ランキングも化粧品Eコマースや口コミサイトが上位を占めるほどです。
40代以上の層ではアメリカ文化を追う濃いメイク、30代は日本文化を追ったナチュラル、そして、今の若い女性たちは韓国ブームと海外トレンドの影響を大きく受けています。タイのトレンドをキャッチアップするためには、店舗の売上以外にも、SNSなどでの話題性や評価が重要です。また国内での人気以上に、海外での知名度や人気を重視する傾向もあります。

3、マレーシア女性の化粧品事情

マレーシアでは、実際の使用感を重視する傾向があります。他国ではSNSや口コミの影響が高くなっていますが、マレーシアの女性が『自分に合うもの』で、かつ『品質の高いもの』を選ぶという点では、他国以上に化粧品への意識の高さが伺えると言えます。そのためか、情報源として最も多く挙げられるのが「化粧品専門販売店のスタッフ」です。ECサイトでの購入も年々増加傾向にはありますが、初回の商品選定は、リアルの現場できちんと説明を受けてから購入検討をする女性が多いようです。マス狙いの万人受けだけではなく、「パーソナライズ」された「ニッチ狙い」戦略で、肌質や肌の悩み、どんな好みのターゲットに向く商品かを明確にすることが戦略ポイントとなってくるのです。

4、ベトナム女性の化粧品事情

ベトナムの女性の場合、日頃から基本的なスキンケアを行いますが、日常的にメイクをする女性は少なく、毎日メイクをする割合は29%³に留まっています。そのため、他の東南アジアと比較すると売上高は低いものの、伸長率が108%⁴と高い市場でもあります。また、情報源として圧倒的な信頼感を得るものが「口コミ」で、オンライン上より友達・家族など身近な人の情報を最優先する傾向があります。
その上、ベトナムは北南に横断した地形で、北部のハノイ・南部のホーチミンと主要2大都市が遠距離のため、それに伴って商品の好みが北部と南部で異なるという特徴があります。信頼できるブランドの商品か、どのような成分かなど、品質や安全性を重視する傾向があります。⁵購買チャネルは、まだまだ店舗が50%以上ですが、オンラインも約20%と多様化が進んでいます。

5、フィリピン女性の化粧品事情

最後のフィリピン女性たちに関しては、フィリピン女性ならではの買い物行動に「独自性」があります。購入商品の多くは、基本的に割引きやプロモーションされているものが多数を締めており、さらに、その情報が家族や同僚などの親しい人からであれば、購買意欲がより高くなるという傾向があります。買い物は日々のルーティンに組み込まれるほど買い物好きで、基本的に物を買うことに抵抗がなく、ショッピングモールや路面店などでも頻繁に行われています。また、文化背景として英語話者が多く、アメリカやイギリスのスタイルを好む女性が多い傾向にあります。

まとめ

このように、諸国女性それぞれの購買行動や商品評価が異なります。同じ商品でもターゲットの年齢やタイプによって、異なるマーケティングを設定することが重要です。そのために、現地状況やユーザー背景、それぞれのペルソナ像を把握しなければ正しいマーケティングとなりません。後編では、各国でのブランドマーケティング事例を参考に、『ペルソナの重要性』を紐解いていきたいと思います。

【この記事は連載です】
「ペルソナ分析」で東南アジア化粧品市場の席巻を狙え!【後編】

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参考リンク

¹Global Cosmetics Industry Report
²クレンジング: Indonesia beauty buying patterns for Cosmetics
³毎日メイク: Makeup behaviors and cosmetic market in Vietnam 2018
伸長率: 化粧品の世界市場、アジアが躍進 日系企業も海外展開を加速へ
購買チャネル: ベトナムにおける化粧品・パーソナルケア商品市場調査

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