エキサイトの事例~女性向けメディア運営におけるインサイト検証、アウトプット方法

2019年1月23日(水)に開催した共同印刷株式会社主催のセミナー「女性インサイトをとらえるマーケティングとは」では、女性インサイトに関わる研究・開発プロジェクト「WICプロジェクト」による「女性ペルソナプラットフォーム」の構想についてご紹介しました。

このセミナーのうち、「女性インサイト」との関連から、エキサイト株式会社 メディアサービス本部 副本部長の小林裕氏に「子育て、仕事、そして社会。女性たちのインサイトを考えたコンテンツデリバリー」について講演いただきました。今回は、この講演のポイントをご紹介します。

【こちらの記事は連載です】
Vol.1 “女性たちの本音”にどこまで迫れるか!?新しい「女性ペルソナプラットフォーム」の概要と活用法

Vol.2「ペルソナ4×4」から見る多様な女性インサイト
従来のマーケティングを超えたペルソナプラットフォームの仕組みとは?

講演のテーマ

マーケティング担当者や広告の担当者の方々のうち、メディア運営の内情までに理解が深い方はそれほど多くないのではないかと思います。そこで、普段私たちエキサイトが、どのようなデータを持っており、どのような知見があり、どのようなことをやっているのかということをご説明します。

今回の講演のゴールとしては、メディアの記事制作、掲載の取り組み以外の部分の取り組みについての理解促進につながること、皆様の実務にご活用いただけるアイディアの一助になることをめざしています。

メディアの本質的な課題

私たちメディアが考え、目指すことは、非常にシンプルな次の3つに尽きます。それは、「1.ターゲットとなる生活者つまり読者に、2.どれだけ高い便益となるコンテンツサービスを、3.どのように伝えるか」です。簡単なようで非常にむずかしく、これをどのようにうまく回していけるだろうかと日々考えています。

エキサイトの女性メディア運営とは

エキサイトでは、10代後半から20代の女性向けの情報サイト「ローリエプレス」や、ママ向け媒体の「ウーマンエキサイト」、男女比はほぼ1対1で、女性のほうが若干多い「エキサイトニュース」などを運営しており、女性の読者が多いことから、「女性読者を捉え女性読者に高い便益となるコンテンツサービスを、どのように伝えるか」ということを常に考えていかなければいけない立場にあります。

エキサイトの女性メディア運営においては、様々なライフステージの女性生活者(読者)に対してコンテンツ、サービス提供について考え、向かい合っています。

一言で女性といってもライフステージにより、まったく異なるインサイトを持つターゲットに対し、「子育て、仕事、そして社会。女性たちのインサイトを考えたコンテンツデリバリー」を目指しています。

ウーマンエキサイトの定点アンケート調査活用法

よくあるメディアの「媒体資料」以上に、メディアはどのような情報を持ち、どのようなことを行っているかということを、ご存知の方はそれほど多くないかもしれません。そこで、ウーマンエキサイトを例にし、アンケート調査結果からのインサイト検証、仮説立案、デリバリーの流れについてご紹介します。

●定点アンケート調査

ウーマンエキサイトは、定期的にアンケート調査をしています。

例えば「ウーマンエキサイト定点アンケート調査2018」(実施期間2018.10.30-2018.11.22 N数332)では、

  • ・職業
  • ・「子育て」の悩み
  • ・「家事」の興味関心
  • ・自分に関する悩み
  • ・自分に使うお金に関して
  • ・家庭内の興味関心について
  • ・受験について

といった定点アンケート調査から複数の項目を比較してインサイトを検証しています。

●仮説立案

「職業」一つとっても、パート・アルバイト、正社員、専業主婦の割合を見ると、第1子が1歳までのママと3歳までのママとでは大きく変化します。特に特徴的なのは正社員の割合の変化です。

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1歳までの子を持つママは、正社員の割合が48.6%で、3歳までの子を持つママは20.0%となっているのです。ここから、子どもが3歳になるまでの間に「仕事を続けようかな、どうしようかな?」「どこまで産休育休が取れるのかな」などの悩みもあるのではないかと予想できます。

このように、調査結果から特徴をとらえ、複数のデータを組み合わせてインサイトの仮説を立てています。

●記事・特集への反映

仮説を立てたら、それを記事や特集に反映しています。

私たちメディアが提供しているものは、読者の課題に対するソリューションや興味関心のあるコンテンツサービスつまり、読者の便益です。それは読者のニーズにどうフィットさせていくかを常に考えています。

  • ・特集例
    「我が家のしつけ体験記」
    「イヤイヤ期をどうやって乗り切ろう」

特徴あるデータから、上記のような特集を書いていこう、ということを行っています。

また個別のジャンルでアンケートを取ることもあります。例えば、「子連れファミレスは意外と大変」という記事を書いたとき、そこにアンケートフォームをつけて、「どういう時に行くのですか?」「誰と行くのですか?」などの設問の他、フリーワード回答もつけたのですが、とても多くのご回答をいただきました。

皆様がメディアに広告出稿するときなどは、このようなアンケート調査を先に実施すれば、どういう記事を書けばいいか、どういう風に見せればいいかの参考になると思います。

●どのように届けているか?(=デリバリー)

コンテンツデリバリーの「デリバリー」について、つまりコンテンツをどのように届けているかということですが、具体的には「コミックエッセイ」が多いです。

今、コミックライター50名強の方にご協力いただき記事を作っているのですが、「育児悩み解決法」「ママあるある」などを親しみのあるイラストで表現しています。子どものしつけや子育ての悩みなどは、テキストで書くと重くなってしまうのですが、コミックで書くとさらっと読めるので非常に合っているなと思っています。

コミックエッセイ強化の背景として、ウーマンエキサイトがOL向けからママ向けに転換した際の経緯があります。ウーマンエキサイトは長い間、働く女性向け媒体だったのですが、読者が媒体と一緒に成長し、ママの方が多くなっているということが、さまざまなデータやアンケートで見えてきたので、ママ媒体としてチェンジしました。そのため、ママの読者を集めたかったこと、既存ユーザーは“OL”時代のコンテンツを読みなれていることから、ただ記事を書いてるだけじゃつまらない状況だったということが課題としてありました。

行き詰まりを感じていたとき、ママの囲い込みに有効なアプローチの模索をした結果、課題として、SNS訴求力があり、時間がないママがサラッと読める「機能的」であることと、共感するコンテンツとして「感情的」であることを掲げました。

結果として、3人のコミック作家さんでスタートし、開始3ヶ月で100万PV/月を達成しました。この成果はSNS訴求力=「著者パワー」にあったと考えています。共感するコンテンツとは、すなわち、実際に著者の体験体験談で著者の気持ちがこもっており、同じ体験をユーザーもしているということ。そしてその結果、既存ユーザーにも共感が生まれたのではないかと思っています。つまり実体験を持って伝えるというのが非常に重要だということです。

■まとめ

以上、私たちが取り組んできたことをご紹介しました。メディアが取り組んでいることをまとめると、次のようなことになります。

  • ・対象生活者をひとくくりにしない、さまざまな角度からの検証
  • ・課題・関心事の検証(便益の検証も同様)
  • ・対象生活者のライフスタイル、共感を意識したアウトプット

課題や関心事などの女性インサイトの検証においては、さまざまな子育ての問題に対して、アンケートをベースに、さまざまなインサイトの仮説を立てて取り組んでいます。

皆さまが普段、メディアを活用する際にもぜひ留意いただきたいのは、一般的な媒体資料でメディアの価値は判断できないということ、そしてマーケティング活動に役立つであろう、インサイトの仮説構築に活用可能なデータを多く持っているということを知っておいていただきたいと思います。

またメディアは、コンテンツのデリバリーについてもノウハウがあります。何かキャンペーンを打ちたいときにも、メディアに相談し、ご活用いただきたいと思います。

子育て 仕事、そして社会。女性たちのインサイトを考えたコンテンツデリバリー

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