「ペルソナ4×4」から見る多様な女性インサイト 従来のマーケティングを超えたペルソナプラットフォームの仕組みとは?

モノが豊富にある時代、消費者の価値観が個性化、多様化する中で、いかに自社の商品やサービスをしかるべきターゲットに選んでもらうかは大きな課題です。そうした時代背景から、消費者のインサイトをできるだけ正確にとらえ、その深部まで理解することは有益といえます。従来のペルソナ手法を超えた進化する「女性ペルソナプラットフォーム」は、現代の変化の激しい市場において有意義なものとなるでしょう。

2019年1月23日(水)に開催した共同印刷株式会社主催のセミナー「女性インサイトをとらえるマーケティングとは」では、女性インサイトに関わる研究・開発プロジェクトであるWomen’s Insight Communication(WICプロジェクト)において、慶應義塾大学名誉教授 熊坂賢次氏が考案したペルソナ分類ロジックに基づく「女性ペルソナプラットフォーム」の構想についてご紹介しました。

このセミナーのうち、熊坂氏の講演「ペルソナ4×4から見えた多様な女性インサイト」から、「女性ペルソナプラットフォーム」の構造やインターフェース、マーケティング手法としての特徴についてご紹介します。

【こちらの記事は連載です】
Vol.1“女性たちの本音”にどこまで迫れるか!?新しい「女性ペルソナプラットフォーム」の概要と活用法

Vol.3エキサイトの事例~女性メディア運営におけるインサイト検証、アウトプット方法

講演のテーマ

本講演では、女性ペルソナプラットフォームの核となる「ペルソナ4×4」、また、個人属性(個人システム)と多様な女性インサイトを知る価値充足度のための5つのシステムからなる構造が解説されました。さらに、マーケティング手法としての5つの特徴による従来のマーケティングの優位性についても紹介されました。

核となる「ペルソナ4×4」

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「ペルソナ4×4(フォーバイフォー)」は、女性ペルソナプラットフォームの核となる理論です。この4×4=16のパターンで、今の20歳から60歳くらいまでの女性について、だいたい説明できるのではないかと思っています。(ただし、すべての女性が16に分類できるということではなく、一人ひとりはこの16ペルソナの側面をすべて持っていると理解してください)

ペルソナ4×4は、4つの家族類型と4つの状況ペルソナをかけ合わせたものです。

●家族類型

  • ・真面目家族
  • ・楽しい家族
  • ・協働家族
  • ・スマホ家族

女性のペルソナというものを考えるときに何が1番重要かというと、彼女たちはどんな「家族」を持ちたいと思っているのか、ということです。それぞれの家族を説明していきます。

  • ・真面目家族
    戦後以降、日本で新しく産業がどんどん発展していくそのプロセスにおいて原点となるのが、核家族です。核家族の理想は、お父さん、お母さんが子どもを一生懸命育てる家族です。日本の家族のあるべき姿として、役割分担をしてまじめに頑張って、我慢して、家族を作る。そして家を持つ。これが「真面目家族」です。

  • ・楽しい家族
    やがて豊かな時代になっていくと今度は「自分の喜びをもう少し満たしたい、もう少し楽しみたい」と思うようになります。家を持った後、そこから少し出たい、窮屈だから、ということで、車を持ち始めます。そのドライブに行くなどして家を出て消費を楽しむようになります。それが2番目の「楽しい家族」です。ただ、女性はあくまで家を守ります。

  • ・協働家族
    やがて女性は働くようになります。自分でカバンを持って夫とツートップを担います。カバンの中に家族を背負うようになります。女性は自分が働いて男性と対等になります。これが3番目の「協働家族」です。

  • ・スマホ家族
    さらに進むと、家族は「家」という空間に縛られなくなります。なぜなら、家に帰らなくても家族の絆をつなぐことができるスマホがあるからです。これが4番目の「スマホ家族」です。

この4つのうち、「あなたはどういう家族を理想としますか?」ということを2,577名の女性に聞きました。ただ、一人につき1つの家族とは限らず、この4つの家族のどこに1番ウエイトを置くのかということです。また当然、年齢が高くなれば「真面目家族」寄りになり、若くなると「スマホ家族」寄りになります。

●状況ペルソナ

  • ・弱さへの寛容
  • ・幸福する快感
  • ・強さへの自信
  • ・越境する効率

2番目のペルソナは、「ある生活シーンにおいて、こういう女性がいます。どのくらい共感できますか?」という設問を作り、さらに4つの状況をベースとしたクラスター(かたまり)を作りました。それぞれの状況ペルソナを説明していきます。

  • ・弱さへの寛容
    「弱さへの寛容」とは、つまり優しさを持つ女性の生き方。ある弱い人に対する優しさを示す生き方です。

  • ・強さへの自信
    「弱さへの寛容」と対照的なのは「強さへの自信」。私は頑張ってるんだから、強い自信があるという女性です。身体的なイメージとしては力こぶを出すイメージです。

  • ・幸福する快感
    「幸福する快感」のイメージは足で表現しています。これはまさにセクシーな女性の象徴。自分の快楽をストレートに求める。「幸福は私のものなんだから」という生き方です。

  • ・越境する効率
    今までの常識を軽く越境してしまうもの。新しい女性の効率的な生き方です。例えば、電車の中で化粧する女性。周りは「おいおい」と咎めたくなりますが、彼女から言わせれば「時間の効率としては最高」となります。今の常識を軽く越境してしまう効率的な生き方です。

●16個の女性ペルソナ

この理想の家族の4つと状況ベースの4つを掛け合わせると、16個の女性ペルソナができあがります。女性は皆、これらすべての要素を持っています。これが絶対というものではなく、状況によって変わります。このときは優しさを優先するけれど、このときは、やっぱり自分の喜びはストレートに獲得したい、といったようにです。

2,577名から作り出したのがこのペルソナ4×4です。

一番多かったのは「ハッピー」の310人、次に多いのは「ナチュラル」で289人でした。両方に共通しているのは、「楽しい家族」に重きを置いているということ。まだまだ日本女性は、夫に依存して楽しむ傾向があるということです。

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また、厳密な意味での核家族というのは「エレガント」だけ。わずか88人でした。つまり、それ以外はもう核家族も放棄しているということです。

個人属性と5つのシステム

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このようなペルソナをベースにして、社会の女性は何を考えているのかを見ようとしています。基本的なフレームとしては、上記の図のようになります。真ん中にあるのがペルソナで、周りには個人属性の「個人システム」と、価値充足度「仕事貢献度、生活満足度、自分幸福度」のための5つのシステム「ジェンダーシステム」「生活システム」「ワークライフシステム」「メディアシステム」「カルチャーシステム」があります。

【個人システム】
年齢、生活タイプ、世帯所得、職業 

個人システムのうち、職業については特徴があります。通常、職業というと、正社員やパート・アルバイト、専業主婦などを聞きますが、その職業の中でも、何をやっているかを聞く必要があります。私たちはパート・アルバイトでも、「どんな仕事をしているのか?」を聞きました。
その理由は、従来の「職業分類」というものは、女性の働き方のカテゴリに全然合ってないからです。職業分類はそもそも男性の中で作られたものなのです。そういうものを全部壊さないとだめだというのを、今回の教訓として得ることができました。

●価値充足度のための5つのシステム

【ジェンダーシステム】

  • ・女らしさ(従順な女、超越る女、戦略る女、寛容な女)
  • ・美しさの価値(かわいい、きれい、色っぽい、ナチュラル、かっこいい)

【生活システム】

  • ・生活役割(妻、母、娘、主婦)、生活コース(25歳、28歳、35歳、50歳、80歳)
  • ・生活シーン(食事スタイル、買い物スタイル)

【ワークライフシステム】

  • ・ワークライフバランス(仕事志向、生活志向、自分志向、均衡志向)
  • ・社会的許容

【メディアシステム】

  • ・究極メディア(やはりテレビ、悩んでスマホ、絶対にスマホ)

【カルチャーシステム】

  • ・ファッションブランド
  • ・化粧品ブランド

 

●フリーアンサー

「あなたにとって、自分らしい生き方というのはどんな生き方ですか?」と問いかけ、自分で好きなように、自分の言葉で書いてもらおうと、フリーアンサーも設けています。

これらが女性ペルソナプラットフォームの全体の構造になります。

ペルソナプラットフォームの5つの特徴

次に、この女性ペルソナプラットフォームが、従来のマーケティングとどう違うのかということをご説明します。

深堀化、構造化、可視化、協働化、価値化の5つにおいて、従来のマーケティングと一線を画す特性を持っています。

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1つ目は、多様な切り口と解析の階層を深める仕組みにより、従来の調査手法を超えたレベルで、深堀りができるということです。

2つ目は構造化。調査設計の段階でしっかりとした調査項目の構造化に取り組んでいるところから、いわゆるAIのディープランニングに対抗できる深堀りが可能であるということです。

3つ目の可視化は、詳細なデータの解析結果を、一画面で見られることから、感覚的に理解できるということです。

4つ目の協働化は、みんなで作る、みんなでやることができるという意味です。現場に強いみなさんと私たち専門家が色んな形で一緒にやることによって、新しい展開が生まれることを期待しています。

5つ目の価値化は、女性たちは何のために生きているのか。社会のためと、自分の生活のためと、自分の幸せのため、つまり「貢献、満足、幸福」の3つの価値変数を、どういう形で満たせば、女性たちは「生きる」ということになるのか。その価値を女性の16個のペルソナから、徹底的にあぶりだしていこうというツールであるということです。

今後のこと

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やはり本来的には1万人に意識調査したいと思っています。今はまだプロトタイプで約2,500人ですから、単純計算で4倍になります。人数が増えれば、ある程度、分析に耐えられるようになります。

また今後は、皆さんと一緒に作っていきたいと思っています。これらの説問と、皆さんのオリジナルの質問を用意いただいて合体すると、5万~6万人のデータとなり、かなり安定した評価ができるようになるでしょう。

現在、このツールを共同印刷と共に開発しており、これからはぜひ、ご興味を持っているさまざまな企業の方々と一緒に取り組んでいきたいと思っています。

ペルソナ4×4からの多様な女性インサイト

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