“女性たちの本音”にどこまで迫れるか!? 新しい「女性ペルソナプラットフォーム」の概要と活用法

マーケティングにおいて「ペルソナ設定」によるターゲティングは、すでに当然のように活用されている手法です。このペルソナ設定の手法は日々進化している上に、国内外の女性の価値観は非常に多様化しています。

こうしたなか、国内外の女性市場を対象としたマーケティング、商品開発、コミュニケーション支援に興味がある方、マーケティング全般に関わる方を対象にした「女性ペルソナプラットフォーム」のプロトタイプを共同印刷が発表しています。

2019年1月23日(水)に開催した共同印刷株式会社主催のセミナー「女性インサイトをとらえるマーケティングとは」では、女性インサイトに関わる研究・開発プロジェクトであるWomen’s Insight Communicationプロジェクト(以下、WICプロジェクト)が独自に開発した「女性ペルソナプラットフォーム」の構想についてご紹介しました。女性ペルソナプラットフォームはWICプロジェクト独自のロジック、「ペルソナ4×4理論」に基づきますが、これは慶應義塾大学名誉教授 熊坂賢次氏が考案したペルソナ分類ロジックです。

このセミナーのうち、弊社のトータルソリューションオフィス 吉丸滋美による講演レポートの内容から、「女性ペルソナプラットフォーム」の概要とマーケティング活用法をご紹介します。

【こちらの記事は連載です】
Vol.2「ペルソナ4×4」から見る多様な女性インサイト

従来のマーケティングを超えたペルソナプラットフォームの仕組みとは?
Vol.3エキサイト事例~女性メディア運営におけるインサイト検証、アウトプット方法

なぜ、女性ペルソナなのか?

なぜ弊社が女性ペルソナのプラットフォームづくりに取り組んでいるのか、というところからご説明していきます。

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共同印刷では2015年から“これからの女性市場研究会”をスタートし、女性に対する意識調査を行い、それをもとに女性ペルソナをいくつか作成してきました。2016年は、ペルソナに基づく化粧品開発を実際に行い、2017年にはペルソナデータの販売を開始しました。

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並行して2016年から研究会を開催し、2018年3月の第5回研究会では「アジア圏女性たちの美容・健康意識とMade in Japanコスメ海外展開の可能性」というテーマを取り上げました。そうした中で興味関心を寄せてくださいましたマーケティング担当者の方々から次のようなことをご要望いただいたのです。

  • ●ペルソナが圧倒的に足りない
  • ●ペルソナは、年を取ったり、若くなったりしないのか?
  • ●デジタルマーケティングは変化が早い。ペルソナも時々刻々と変化するべき

日々、マーケティングにペルソナを活用していく中で、特に女性をターゲットとする商材やサービスの場合、ペルソナが圧倒的に足りないという声が寄せられました。ものが充足する時代。よほど欲しいものでないと買いたいと思わない上に、消費者の価値観や個性が多様化している中で、いかに消費者の欲求を満たすかは大きな課題です。そのため、ペルソナ手法のニーズはどんどん複雑化しているのです。また同じ商材でも愛用している消費者は年を取りますし、同時に新しいターゲットとしての若い世代も見据える必要もあります。

そして現場感としては、デジタルマーケティングは変化が早く、ペルソナも時々刻々と変化するべきというお声をいただきました。特に女性は従来から市場の鍵を握るといわれており、生活者としての消費意欲や見る目を持っているといわれています。さらに働く女性の増加により、自身の所得が生まれていることから、女性の消費にはますます期待が高まっています。

しかしながら「女性」といっても年代や未婚・既婚、子の有無、勤労形態などから、実に様々なインサイトが存在します。そうした女性のペルソナを追求し深掘りしていくことは、今後のマーケティング活動において非常に有益になると考えました。

それと同時に、多くの方からお声をいただいたように、どんどん「変化していく」女性ペルソナが表現できるプラットフォームをWICプロジェクトとして開発することとなりました。

【ペルソナプラットフォームのイメージ】

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上記の図のように、集計、マーケット分析、顧客分析、市場調査、アンケート調査、行動観察をもとに、ペルソナのプロトタイプを定義、これをタッチポイントとして各社からのデータリクエストに応じたプラットフォームをつくるイメージとなっています。

重要なアンケート調査項目の設定

より多様化、複雑化している女性インサイトに対応したペルソナを作る上で、その元になるアンケート調査は、非常に重要になってきます。そのためアンケート項目の設定には、特に力を注ぐ必要がありました。

試行錯誤していたときに出会ったのが慶應義塾大学名誉教授の熊坂賢次先生で、調査設計~プラットフォーム開発まで携わっていただきました。そして弊社内では部門横断した有志でメンバーを結成し、熊坂教授と連携しながらプロジェクトを遂行することになりました。

活動内容としては、まずペルソナを価値意識としての「メディア系」「身体系」「生活系」「社会系」に分けて、そこから設問を作ろうということになりました。チームに分かれて設問案を作成、熊坂先生とともに調査票を仕上げていきました。また、、熊坂教授によって解析された調査結果をもとにメンバーでディスカッションを行いました。そしてようやくプラットフォームのプロトタイプが完成しました。

熊坂メソッドの例

熊坂教授にアンケートの設問案をアドバイスいただきましたが、そのうち、「熊坂メソッド」の特徴が分かる設問がいくつかあります。その設問案の事例を3つご紹介します

  1. (1)「女性の本音に迫るには、調査票はセクシーであるべき」
    普通の設問ではなく、セクシーな設問が熊坂メソッドの大きな特徴です。例えば次のような設問です。

    Q.彼女は今30歳既婚、フルタイムで仕事、まだ子供はいません。パートナーはやさしく頼りがいのある人です。そんな彼女がもしもあなた自身だったとしたら、次のような行動はありうることだと思いますか。それともパートナーに悪いからありえないと思いますか。

    「1.ありえる」、「2.ありえない」をお答えください。

    Q.あなたは、自分の美しさについて、どのような 美しさが似合っていると思いますか。次の5つの美しさについて、その程度を選んでください。(5段階評価)

  2. (2)「30%程度の共感が得られるペルソナが良いペルソナにつながる」
    熊坂教授によると、ペルソナ共感度の判定設問の共感は30%程度のものが、良いペルソナにつながるといいます。共感度は低すぎても、高すぎてもよくないということです。多くの女性が支持する価値観はすでに当たり前の(古くなった)価値観という理解です。

  3. (3)「設問は主観的でいいし、偏見が入っても、誘導しても構わない」
    設問を作成するに当たり、「この質問は回答を誘導しているように見えますが、いいんですか?」と伺ったことがあります。すると、熊坂教授は「問題ない」といいます。

今、日本の女性はかなりアンケート慣れしており、調査の主催者側の意向を予測しながら答えるところが少なからずあると思っています。そのため熊坂メソッドでは、「本音はどうなのか?」をいかに引き出して解析していけるかがポイントであり特徴になります。

ペルソナの課題

先程ご紹介したマーケティング担当者の皆様からのご指摘のように、ペルソナはどんどん、時代に合わせて変化させていく必要があります。

このことから、ペルソナのプラットフォームをただ販売するのではなく、今後は、「皆様と一緒に作る」ということが重要になると考えています。

そのためには現場でご活躍されている企業のマーケティング担当者の方々にご参加いただき、「コンソーシアム」という形で実現できればと思っています。

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同時に「データ活用プラットフォーム化構想」もあります。

各企業の「自社購買データ」「自社アンケートデータ」「オープンデータ」「購入した他社データ」なども紐付けられれば、ペルソナプラットフォームも非常によい、使いやすいものになるのではないかと考えています。

ペルソナプラットフォームの活用法

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ペルソナプラットフォームをご活用いただく場合、ユーザコンセプトとしては「井戸端マーケティング戦略ボード」としています。

サッカーなどでも行われているように、戦略ボードのように使っていただきたいと思っています。

具体的には、次の3つの使い方が考えられます。

使い方1「企画・デザインの提案、上申のエビデンスとして」

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ペルソナプラットフォーム上で条件選択をしてペルソナ分布を確認し、そこからターゲットペルソナを選定します。このときにペルソナに具体的な名前をつけると、より自分ごと化することができます。そして企画書やコンセプトシートなどに貼り付けてプレゼンをしていただくのが最も基本的な使い方です。またこれがターゲット選定の一つのエビデンスになり得ると考えています。

使い方2「ブランド戦略・商品・サービス開発でのプロジェクトメインツール」

ブランド戦略や商品サービス開発のプロジェクトメインツールとしても活用できます。例えば次のような流れでの使用が想定できます。

  1. (1)プラットフォームを共有しながらプロジェクトメンバー間でディスカッション
  2. (2)抽出したペルソナをもとにブレストを行い、カスタマイズ
  3. (3)プラットフォームのパラメータを見ながら、カスタマージャーニーを協働して作成
  4. (4)カスタマージャーニーのペインポイントに基づき、課題解決案創出のためのブレストを開催する

チームでカスタマージャーニーを作ろうという場面でも、プロジェクトの時間節約にもなると考えられます。

使い方3「キャンペーンやプロモーション施策の効果予測」

このペルソナプラットフォームではファッションブランドの中で、買ったことがあるかどうかの設問の集計結果もあります。そのデータをもとに、例えば有名ブランド同士がタイアップキャンペーンをしたらどうなるか、というのも予測できます。こうした使い方で、キャンペーンの効果予測にも活用していけるのではと考えています。

このように、女性ペルソナプラットフォームを使用することで、自社商品やサービスのペルソナを描く際に必要なスキル、プロセス、時間、コストの軽減になり得ます。

「ペルソナ4×4(フォーバイフォー)」とは?

この女性ペルソナプラットフォームには、熊坂教授が考案したペルソナ分類ロジック「ペルソナ4×4(フォーバイフォー)」の理論が使われています。

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ペルソナ4×4とは、簡単に言えば、4つの「家族観」と4つの「女性らしさ価値観」を掛け合わせたもので、ペルソナを16個定義したものです。この16のペルソナは「ペルソナベーシック」とされ、女性ペルソナプラットフォームの核となっています。

●家族観「どの家族が理想的か?」

  • ・真面目家族(マイホームの中に家族がある、旧来の核家族)
  • ・楽しい家族(車の中に家族がある、マイカーで楽しむ家族)
  • ・協働家族(ビジネスバッグの中に家族がある、女性も男性と同じように働く家族)
  • ・スマホ家族(スマホの中に家族がある、LINEなどでつながっている家族)

●女性らしさ価値観「どういう女性らしさに共感できるか?」

  • ・弱さへの寛容(弱い人を抱擁する優しさ)
  • ・幸福する快感(異性の目を意識した女性らしさ)
  • ・強さへの自信(自立した強い女性)
  • ・越境する効率(古い常識を越境したジェンダーを超えた人間らしさ)

このように、女性ペルソナプラットフォームは、これまでにないまったく新しいマーケティング手法を生み出す可能性を持っています。

さらに詳しい内容をお知りになりたい方、プロトタイプをお試しになりたい方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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