ファミリーマートが実践する女性インサイトの捉え方とマーケティング戦略

2018年8月に開催したセミナーでは、女性クラスター(=群)を理解し、女性インサイトを捉えるための手法と、これから求められるマーケティング戦略について、ケーススタディを交えてお伝えしました。

本記事では、株式会社ファミリーマート執行役員 商品・物流・品質管理本部長補佐 青木 実さまの講演をご紹介します。

コンビニの歴史の中からどのように女性客を取り込んできたか

コンビニのメイン客層とされていた青年層が人口のボリュームゾーンを通過し、今後は減少の一途をたどることが予測されています。

総人口も過去最高の下げ幅(△25.9万人)を記録しており、2020年には少子高齢化の逆ピラミッド型の人口構造になることが予測されるため、既成概念の一新による大きな変化対応が必要です。

2017年のコンビニの売上高は、10兆6980億円で店舗数は55,322店。
コンビニは小商圏で勝負しており、一般的に店舗数は2,000人に1店と言われています。異業種との競争も激化しており、少子高齢化や人口減少などの社会的な変化も考えますと、客数の大幅なアップは難しいため、コンビニの未来は、客単価を上げることがポイントだと考えています。

小売業の変化と平均世帯人員の推移

1988年頃の買い物の主体は女性でした。
一方、コンビニは男性客が主体で、現在は6:4の割合の構成となっています。
スーパーの時代は女性が買い物客のメインで、男性は洋服などの日用品もすべて奥さんが買っていました。コンビニができて初めて、男性が自分で自分の買い物をするようになったと言われています。

コンビニの売り上げは、男性客が主体で40年続いてきています。
客単価や買い上げ点数を上げるために「女性客をいかに取り込むか」というのは、実は、40年前から取り組まれていたことです。

例えばコンビニに入ってすぐの棚には、化粧品など女性用の日用品があり、振り向くと女性誌が置いてあります。女性が入店しやすくするために行っていることですが、なかなか女性の心をつかめず、振り向いてもらうことができませんでした。

食市場の変化と環境変化

女性客は現在、1日に約30万人が来店しており、客数も数%増で右肩上がりで増加しています。
これには「女性の社会進出」という環境の大きな変化が影響していると思われます。
女性の就業率の増加(66%)+共働き世帯の増加(1,129世帯)によって「時短」「簡便」ニーズが発生し、男性と同じような使い方でコンビニを使う女性が増えてきています。

また、働き方や家族の役割変化も購買に大きく影響しています。
男性は自分のための買い物をすることが多いですが、女性は自分用と家族のためという2通りの買い物をします。つまり、男性より女性の客単価の方が高くなります。

環境の変化により、中食市場は伸び続け、1985年対比で5の市場規模になっています。(伸長率は457.7%)食のマーケットは73兆円といわれており、そのうち10兆円が中食(13.7%)、25.9兆円が外食(35.4%)、37.3兆円が内食(50.9%)を占めています。
いま、進んでいると言われているのが、中食と内食を合わせた食の外部化で、49.1%を占めています。

内食系市場37兆円のうち、15兆円は素材系内食が占めています。
これらの素材系食材に「野菜はカットし、魚はさばいて焼く」などの加工を施すことで、よりお買い上げいただけるようになります。
加工することで、内食系食材に売価をのせていくということです。素材系内食の金額を原価率35%として推定すると、43兆円の規模が見込まれます。

女性客を取り込むための施策

家族消費への取り組みとして、ファミリーマートでは『お母さん食堂』を展開しています。中でもスタンドパックの売り上げは、コンビニだけ伸びており、主婦にとって、「最後のひと手間を加えて仕上げる」ことより、簡単・便利、時短が優先ということがわかります。また、『お母さん食堂』を買う人の客単価は高く、通常のコンビニの客単価平均の倍となっています。
家族ニーズ対応や売り場の魅力向上により、スーパーにせまるほど客単価が向上しています。

客単価上昇のためには、他に惣菜と冷食をいかに売っていくかがコンビニの課題です。
食卓出現率が高い「おかず」メニューの品ぞろえを強化し、出現率100%をめざしていきたいと思っています

また冷凍食品、アイス、ビールの売り方も重要です。
これらは40代を中心に需要が伸びていますが、女性客が増えると、家族のための買い物をするため、大容量のマルチアイスが売れる傾向にあります。
ビールも6缶パックを置いている店舗の方が売れており、日商に差が出てきています。

・個人消費への取り組み

事例①:「食べる牧場ミルク」
元々インスタ映えやSNSウケは狙っていなかった商品ですが、パッケージ変更により、「パッケージがかわいい」「アレンジができる…」とSNSで話題になり、一気に人気が爆発しました。
主に20代女性に売れており、男女別ランキングでは女性1位、男性も10位です。インスタ映え商品は、女性に圧倒的にうけていますが、どちらかに売れているだけではコンビニの売り上げは安定しません。この商品のように、男女ともにうけている商品を販売することが重要です。 

事例②:フラッペ
フラッペは女性に人気があるため、ターゲットを女性に絞りました。
「ギャラクティカグレープ」「ファンタジーピーチ」などの味を販売しましたが、リピート率は低く、断トツで売れていたのは「バナナジェラート」でした。

これらからわかるのは、コンビニに求められるのは答えだということです。
つまり、お客さまにとってわかりやすいものが一番売れます。例えば、イチゴ味の商品名を「ベリーベリー」とするのではなく「ストロベリー」とするだけで売り上げは伸びます。

また健康への取り組みや、女性の小食ニーズへの取り組みにも力をいれています。
女性社員による開発チームを作り、女性の嗜好に合わせた商品開発に取り組みました。
その一つが女性向け弁当です。試食をしながら開発したお弁当は、女性向けを想定した通常のミニ弁当の女性構成比50%前後に対し、15%以上も高い支持を受けました。
女性の意見を素直に受け入れた商品は売れるということがよくわかった事例です。

また「バレンタイン」でも女性目線の売り方を考えました。
コンビニで本命チョコを買う人は少ないため、伸長している友チョコと自己需要を狙った商品展開に変えました。
結果2018年2月のチョコの売り上げは、コンビニ業界では厳しい状況が続く中、ファミリーマートは前年比を上回る結果となりました。コンビニは日常生活に根付いた業態であるため、「特別なもの」はあまり期待されていないということがよくわかります。

ファミマ①.jpg

個店主義

あるコンビニA店の目の前のスーパーが閉店しました。
すると、スーパー閉店後のA店の売上構成比は大きく変化しました。
パンや日配品・生鮮品、牛乳・チルド飲料など、女性の購入比率が高い商品が売れるようになったのです。
つまり、消費者は、遠くのスーパーへ行くより近くのコンビニで済ませたいということがわかります。
コンビニで十分に事足りているということです。今後コンビニは、女性の買い上げ率40%以上の商品を置いていく必要があると思っています。 

最後に

われわれの役目は妥協なく“いい製品”を作り、“売れる商品・サービス”にすることです。これからも、お客さまを幸せにするため一丸となって頑張ってまいります!

vol.2はコチラ
「食卓から見える女性インサイト」

Vo.3はコチラ
「Women’sインサイト・コミュニケーションのご紹介」 国内女性たちのビューティーウェルネスの価値観の変化と今後の海外展開

Vol.4はコチラ
「これから移り変わっていくインサイト、変わらないインサイト」

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