これから移り変わっていくインサイト、変わらないインサイト

2018年8月に開催したセミナーでは、女性クラスター(=群)を理解し、女性インサイトを捉えるための手法と、これから求められるマーケティング戦略について、ケーススタディを交えてお伝えしました。

本記事では、パネルディスカッションをご紹介します。

【パネリスト】
株式会社ファミリマート 青木 実氏
株式会社エブリー 田原 朋恵氏
共同印刷株式会社 吉丸 滋美
共同印刷株式会社 今井 孝典

青木氏:『変わっていくインサイト』については「商品が売れなくなっていく=お客さまの移り変わり」と判断しています。
コンビニは限られた面積で販売するため、POSデータをしっかり分析して、売れなくなった商品を撤去し、新しい商材を入れていく必要があります。 

『変わらないインサイト』としては、

  • ・利便性
  • ・美味しさの追求
  • ・安心、安全
  • ・フェアな価格設定

が挙げられると考えています。

今井氏:『変わっていくインサイト』については、女性の社会進出や単身世帯の増加、人口の減少などの社会的な変化の部分、「合理的な食べ方」といった価値観的な部分は、変わっていくのだろうと思っています。

『変わらないインサイト』としては、「美味しさ」です。
「リア食」ではなぜその食事をしたかという背景を探ることが機能として可能ですが、ダイエットをしている人でも必ず「美味しさ」を重要視しています。「美味しさ」というのは前提条件で、そこにダイエットや合理的な食べ方というのが加わってくるのだと思います。 

田原氏:『変わっていくインサイト』については、若い世代は「どういうデバイスで見るか」という部分が変わると考えています。
今の若い世代は、スマホの使用時間が3.9時間といわれています。そのなかでもアプリの使用率が85%、さらにそのうちLINEなどのSNSが60%を占めていると言われます。若い世代の情報収集元は、スマホでかつアプリ、かつSNSとなっているので、Web上や固定アプリよりSNS上での情報発信が大切です。
若い世代に対しては、どんなメディア媒体を使うが一番重要だと思っています。 

『変わらないインサイト』については、「コンテンツの中身」だと思っています。
女性は一生貪欲で、いくつになってもきれいでいたいという思いは変わりません。そのため、その思いに応えるコンテンツは変わらないと思っています。

紹介するアイテムやアイコンとなるモデルは変わっても、基本的なコンセプトは変わらないと考えています。

吉丸氏:『変わっていくインサイト』については、「女性の価値観」はとてもスピーディーに変化していくものだと思っています。
よく、「作成したペルソナはずっと固定か」「変化しないものか」「成長しないのか」という質問を受けますが、女性の変化は、「毎秒変わるくらいのペルソナが欲しい」と言われるほど速いです。

『変わらないインサイト』は、そもそも「女性は変わっていくもの」ということが普遍的なのではないかと思います。
20~30代、40代~50代とライフステージにおいて、「求められる役割は変化して当たり前」という価値観が女性には元々あるため、「女性は変わっていくもの」ということが変わらない部分ではないかと思っています。

『インサイトを捉える場合、重要だと考えている点・陥りやすい失敗について』

青木氏:一番重要なのは仮説を自分自身で立てることです。仮説がないと検証もできません。また失敗しやすいのは、データに流されやすいということです。つい自分の都合のいいように捉えがちになりますが、市場規模や商品開発に対する投資対効果をしっかり見極めて仮設立てすることが重要だと思います。

今井氏:「インサイト」という言葉を調べるとさまざまな意味がでてきますが、なかでも私が考えるものに一番近いと思ったのは、1点目に「生活者自身が気付いていない、動機に結びつくような新たな一面」ということ。2点目は、「マーケター自身が洞察して気付く」ということです。
自分自身にとっては新しい気づきでも、世の中的にはそうでないことはたくさんあります。
机上で考えるだけでなく、現場で検証していくというプロセスを踏まない限り、インサイトにはたどりつけないと思っています。 

田原氏:青木さんがおっしゃっていたように、仮説を立てて検証するということが一番大切だと思っています。当社でもPDCAを回す体制を作っています。
コンテンツを作成する上では、企画が最も大切だと思っています。企画にも方法はいろいろありますが、ユーザーに対するヒアリングをリアルの場で行ったり、動画をアップすると一つひとつにSNSのなかでコメントがつくので、そのコメントや再生秒数などの数値分析を細かく行っています。
何が良くて、何がダメなのかについては、「MAMADAYS」「KALOS」では、毎日夕方にコンテンツ会議を行っています。             
例えば、ママたちが企画・運営?する「MAMADAYS」では、ママたちが集まり、「この企画はこのメディアに出すべきコンテンツか」や「ママとして課題解決できる動画になっているか」などの議論を繰り返しています。 

「陥りやすい失敗」ということでは、「仮説を立てないでとりあえずやってみる」ことは良くないと思っています。
動画コンテンツを作る際にありがちなのが、自己満足のコンテンツになっていることです。ユーザーのフィードバックを聞かずに、社内で盛り上がって「やった感」だけがある状態は良くないので、広告の案件などはブランドリフトの調査をしたり、そこからどれくらい購買に結びついたかを見るようにしています。

吉丸氏:女性はアンケートを答えることにも慣れていて、本音を話しません。そこを理解した上でアンケートを取るのが大事です。
ビューティーとヘルスは昔から、意識的には昔から一緒だといわれていますが、「化粧品ブランドからでている健康食品は買わない」などの暗黙の了解があったりします。
本音をいかに聞き出すかがマーケティングのミソだと思っています。 

『今後マーケティング戦略を考える上で、インサイトの変化にどう対応すべきか』

青木氏:「変化に気づく」ことがまず重要です。例えばコンビニでは気温の変化で食べるものが変わることがわかっています。POSデータを見て「気付き」があれば、そこからブレイクダウンして考えることができます。

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今井氏:青木さんと同じように、「気づく」ことがまず第一歩だと思っています。
何らかの変化があれば対応すべきと思っていても、「どんな変化があるかわからないし、どう対応すればいいかわからない」という企業が多くいらっしゃいます。
社会的に「確度の高い将来予測」をいち早く手に入れる。また、今後情報はますます複雑になります。AIなどの新しい技術を使ってインサイトを探るチャレンジが必要だと思っています。
わかっているところとそうでないところはまだまだたくさんあります。例えば、食品が購入された後にどうなっているかのデータは探れていません。そうした点を探っていくことが、今後のインサイトを捉えるためには重要だと思っています。

田原氏:みなさんと同じで「気づく」ことが大事だと思っています。
メディアを運用する上で実施していることが2点あります。
1点目は、どのサービスもとりあえず使ってみるということ。どういったものが流行っているのか、というトレンドに対するアンテナを張ることに特に注力しています。
2点目は、タッチポイントを増やすことが気づきにつながるということです。
幅広い世代と会うことで、色んな気づきが得られると思っています。
また、メディアを運用するという点では、どのデバイス、どういったプラットフォームでユーザーは情報を得ていて、どのような形で情報を届けると突入感があるのかなどを意識しています。 

吉丸氏:変化に対するアンテナの立て方は女性が敏感だと思っています。変化を恐れずにとりあえずやってみる、という部分はインタビューをしていても良く見受けられる点です。
マーケティング戦略を考える上でインサイトの変化を捉えるのであれば、その責任者に女性を起用すべきではと思っています。 

vol.1はコチラ
「ファミリーマートが実践する女性インサイトの捉え方とマーケティング戦略」

vol.2はコチラ
「食卓から見える女性インサイト」

Vo.3はコチラ
「Women’sインサイト・コミュニケーションのご紹介」 国内女性たちのビューティーウェルネスの価値観の変化と今後の海外展開

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