アジア圏のビューティトレンド変化と消費価値観、メイドインジャパンコスメへの期待 【vol.2】

2018年3月9日、共同印刷で開催された『第2回 ビジネスモデル研究会』において、美容ジャーナリストの奈部川貴子さんに「アジア圏のビューティトレンド変化と消費価値観、メイドインジャパンコスメへの期待」という題目で講演いただきました。今回は、この講演の内容を3回に分けてお届けします。
講演内のデータは以下の資料にまとめています。以下よりDLの上、合わせてお読みください。

*vol.1はコチラ

■アジア圏の美容意識と消費価値観

●日本人にとって「化粧」は身だしなみ

先日、こんな記事がありました。SNSで何かを投稿したりするときに、日本人はまず「きれいにメイクしないと…」と思うけれど、韓国の人は美容整形する。中国の人は自撮りアプリにハマるという内容です。
日本では、美しくあるための手段として、整形ではないオリジナルの顔を、丁寧に、綺麗に身だしなみとして化粧しなくちゃという感覚です。しかし韓国ではどちらかというとビジネスで成功する、世の中の勝負に勝つために、きれいに整形して面接を受けに行きましょうという感覚で、まったく意識が違います。一方で、中国では「物」にハマる。加工アプリにハマるということは「現実は違うけれど」ということ。このことから、アジアから見た日本の美容というのは、非常に評価が高いです。

●台湾とソウルと比べた日本人女性の特徴

各都市の女性イメージ像として、日本人は身だしなみとして美容とメイクを捉えているという点があります。
やはり、周りにいる人達と同調して浮かないようにするということも非常に意識しています。それが日本の特徴でもありますし、「和を尊ぶ」ということがありますが、台北やソウルになると話は違います。

●台湾の人の美容傾向

台湾の人たちはナチュラルで、そんなにメイク感が強くありません。私は台湾向けの商品の企画など、プランニングを多く行っていますが、メイクより、リップのティントや、ビビビっとくるようなもの、メイドインジャパンでいいますと、基礎化粧品が圧倒的に強いです。

●ソウルの人の美容傾向

韓国は今や、世界中の国がマークする美容先進国です。今、ヨーロッパでは完全にそのような見方をされていて、スキンケアもメイクも韓国の勢いが強いと分析されています。やっぱり韓国の女性像というのは、非常にかっこいい。最近、BLACKPINKという女性グループが大人気です。去年、そのBLACKPINKのライブに行ってきたのですが、とてもかっこよくて、非常にクールビューティーです。女子の憧れで、彼女たちのメイクやファッションは、若い女性にとても影響力があります。
韓国は、アジアの中でもメイクのイメージが非常に強く、珍しいパッケージのメイクや注射器型のパック、ワインのボトルの最新化粧品など、とても凝った商品が多くでています。最近、韓国で流行っているのが「グラススキン」という、ガラスのような肌です。ガラスのような透明感がある肌、ということだそうです。

●台湾・韓国・日本のビューティー像と化粧品

韓国は、ハンサムビューティーで、女性がバリバリと競争社会を生き抜くカッコよさという、「勝つための美容」が特徴だと思います。台湾はジャパンビューティの影響がとても大きい国です。台湾らしいなと思う女性像は、ナチュラルで極端にとんがった感じではない雰囲気ですが、とても日本の影響が強いと感じます。

また、台湾の女性誌をみると日本と欧米の化粧品がたくさん入り込んでいます。アジアではヨーロッパやアメリカなど外資のブランドの化粧品が強いので、アジア進出ということはアジアの国の化粧品ではなく、外資の化粧品と並べて比較されるということです。

台湾の人口はとても少ないですが、とても親日で年間600万人が日本に来ます。それだけでなく、台湾をハブにアジア中に多くの商品が流れています。台湾をハブにアジアの色々な国へ、より暑い国へ流れいるという輸出の潮流があります。

そうなると、日本から、台湾よりさらに暑い国へ化粧品が輸出されていきますので、暑いところで評価される商品が非常に重要になります。日本でいう、夏向けの商品ということです。

●アジア女性が化粧品を選ぶ基準

アジア女性が商品を選ぶ基準として、「肌に合う物」ということを挙げていますが、ここから先は少し驚いてしまうデータをご紹介します。日本は2位に「値段」となっていますが、台湾は「品質」「口コミ」が2位で、「値段」はもっと下になっています。

日本だけが化粧品を選ぶ基準に「価格」を挙げていて、台湾はずっと下です。ベトナムとマレーシアも日本のように2位には入ってきていません。アジア女性の肌の悩みは、暑いので毛穴の黒ずみや角栓、くすみや油分が多く、乾燥するとはいえ、暑い地域にありがちな肌トラブルが多く見受けられます。また湿度も高いので、毛穴の黒ずみが取れる商品の人気が非常に高いです。

例えば台湾のピーリング化粧水はとても面白くて、AHAやBHAなど、日本では見たことのない酸の名前が出てきたりします。「この酸はいったい何だろう」と思い、日本で検索してみましたが分かりませんでした。そういったピーリング成分なども、日本に比べるとバリエーションも非常に豊富です。

●なりたい女性像の違い

東京でなりたい女性像を聞くと、「気配りができる、行動力がある、ほっとする」。褒められて嬉しい言葉は「ほっとする」ですが、上海や北京のなりたい女性像は「スタイルが良い」といったかっこいいイメージです。ソウルでは「仕事ができる」のように、競争自立といった要素が強くなっています。台湾の女性は、「頭の良い」など知的なイメージで、化粧品にかなりお金をかけているということに驚かされます。国によって女性の理想像も異なることが分かります。

■化粧品への消費の各国差

化粧品かける金額が年収の何割に値するのか調査すると、日本女性の自分の収入に対する化粧品への出費、消費が驚くほど低いことがわかります。

●台湾

台湾は1ヵ月の化粧品代が非常に高く、日本円に換算して月に5千円から1万円で、年収に対するパーセンテージが非常に高いです。対して日本女性は年収に対して1.9%しかお金をかけてないということがデータから分かります。実はこのデータだけではなく、欧米諸国と比較したデータでも、日本の化粧品への支出が低い傾向が顕著に分かります。

●中国

中国はひとくくりにできません。上海はエレガントで控えめな印象で、北京はかっこ良い印象です。最近の北京はこのような傾向が強くなっていると感じます。中国の方も台湾の方と同様、化粧品に対してお金を使うようになりました。

共同印刷さんにやっていただいた調査データでは、中国人は化粧品の出費が日本人と全然違うことが分かります。月に1万円以上、5千円以上かける人の割合が非常に高くなっています。日本のデパートで中国の方がお買い物しているのを見て、「こんなに若い人がすごくいっぱい買ってる!」と、びっくりしたことがありますが、日本円計算で月に2~3万円ほど化粧品を買っている人たちが北京や上海に多くいます。
逆に日本は、月に3千円以上が多くの比率を占めていました。

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・中国の若い子が高い化粧品を買う理由

今の中国は日本の20年位前の時代の消費感覚かなと思います。中国の一人っ子政策以降(90年代生まれ)の人たち、特にジューリンホウと言われる人たちは、特に気前よく高い化粧品を買います。

「なんでこんな高いものを買っているのか」とヒアリングしてみると、この世代の人たちの親世代が「安い=粗悪」という価値観を持っており、都心部である程度裕福な家庭の比率も多く、一人っ子政策で子どもも1人しかいないため生活に余裕があり金銭的なプレッシャーがないためということが分かりました。

もし日本人が彼女たちと同じ収入だとしたら、きっとこのような買い方はしません。ですからお金をいくら持っているかということと、化粧品にかける金額というのはかなり価値観が違うということが分かります。

そして経済がまだ日本ほど成熟していないので、とても上昇志向が強く、女性が実現したいと思うことが、経済的な自立や専門性など社会進出的な志向が非常に強い傾向が見受けられます。

・中国人女性は買い物の比率が高い

中国女性の傾向として買い物の比率が高いということも挙げられます。日本の統計では買い物は30%程度ですが、中国では60%を占めています。買い物が好き、買い物が楽しいという買い物に対するモチベーションも異なるということがわかります。

「魅力を維持するために重要なこと」という調査では、2位にスキンケアがランクインしています。中国には自然美という伝統の意識があって、「人と自然は一体である。健康になれば健康に注意を払えば肌もきれいになる」という、自然と人が一体化したような自然観を持っています。とても熱心で中国の人のスキンケア観というのは、日本人とはまたちょっと違う自然観で成り立っています。

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私も海外向けの企画の仕事で中国と言われた際は、「メインで売るのはどこの地域ですか」と必ず聞きます。南であれば「暑い」ということを念頭に考えないといけないですし、北であれば寒いので「乾燥」に気を付ける必要があります。エリアごとに細かく見ていくことが大事だと思います。

2017年度 第2回 これからの女性市場ビジネスモデル研究会

2017年 第2回これからの女性市場 ビジネスモデル研究会

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