アジア圏のビューティトレンド変化と消費価値観、メイドインジャパンコスメへの期待【vol.1】

2018年3月9日、共同印刷で開催された『第2回 ビジネスモデル研究会』において、美容ジャーナリストの奈部川貴子さんに「アジア圏のビューティトレンド変化と消費価値観、メイドインジャパンコスメへの期待」という題目で講演いただきました。今回は、この講演の内容を3回に分けてお届けします。

■消費は「モノ所有と便益」から「コミュニティ」へ変化

最近の化粧品で目立つ傾向としては、昨年の流行語大賞でもある「インスタ映えする」ということがあると思います。つまり「ビジュアルでどれくらいアプローチできるのか」がトレンド。「なんかかわいい」「きれい」と思うような引きの強いパッケージの商品はSNSで拡散されていく流れにあります。

モノ所有とそれによる便益のための消費から、「インスタ映え」や「いいね」などのコミュニティのための消費へと変化しています。

スマホとSNSを中心とした情報収集がメインになっていることもあり、スキンケアも「見える化」を追求するようになってきています。中でも代表的なものが「トーンアップクリーム」です。“つけてすぐに見た目が変わる”というのが特徴で、去年くらいから見かけるようになってきている商品です。

パッケージが可愛いだけでなく、つけてすぐに肌が「ほんのり白く」「ほんのりキラキラ」など、何でも「見て分かる」が追求されてきています。

■超パーソナル消費社会の到来

もう一つのトレンドとしては“使いこなしは「私が決める」時代”というものがあります。これはグローバルトレンドで、ミレニアム世代を中心に多く見られます。メーカーのターゲットやおすすめとは別に「年齢は違うけど私は使いたい」というように、自分なりの使い方をするという傾向です。

先に挙げたトーンアップ関連商品でいいますと、クッションなのに、UVなのか、ベースメイクなのか、ファンデーションなのか、デイクリームなのかよくわからないという商品が多く出てきています。これは根本に「使い方を自分で決める」という潮流があるからです。

また今は、モノは大量にあるため、「いかに私にフィットするか」というパーソナライズが非常に重要で、消費者の大きな課題になっています。いまは超パーソナル消費時代であり、大家族で大量消費の時代ではありません。ということは、みんながいいと思うものは世の中にはありません。ファミレスに2人席を作って業績がV字回復した会社もあるように、少子高齢化でパーソナルな「個」の時代に、みんなが欲しがるものというのは本当に作りづらくなってきています。世代特徴をつかんだところで、個々によって違うので、大きなマーケットで消費者をつかむというのは非常に難しくなっているのです。

■メイク市場におけるテクノロジーの進化

続いて、アジアのメイク市場についてお話します。アジア圏において、マチュア世代は消費の中心ではありません。逆に日本は成熟しきった人口構造となっているため、アジア圏と国内のマーケットを同じように考えることはできません。

パーソナルということは自分に似合うものを求めているということで、最近の消費者は「みんなが使っているから私も使います」ではなく「みんなは使っているけれども、私は…」というのを追求する意識が高くなってきています。

これは共同印刷さんで実際にとってもらったデータになりますが、「自分の魅力を磨くためにどうしていますか?」という質問に対して、「自分に一番似合うものを研究する」という回答が一番多くなっています。逆に人からの評価というのは下がってきています。もしこのようなデータを10年前にとっていたら、きっと違う結果になったのではないかと思います。

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パーソナル化の時代なので、私たちのインフラの基本であるスマートフォンをはじめとしたテクノロジーの部分も消費者の美容を大きく左右します。例えばVR(バーチャルリアリティ)は美容とは関係ないテクノロジーですが、VRで大自然に自分がトリップしたような空間でアロマティックな香りを嗅ぐといった体験価値もあると思います。VRも美容と関係ないようでいて、ある日突然自分のスマートフォンに登場してくるということも、今の時代本当にあり得ると思います。

もう一つのテクノロジーとして私が面白いと思って研究しているものに、AR(拡張現実)があります。今年の1月に自分の顔をトレースしてメイクのレッスンができる、ARを使ったアプリもできました。

テクノロジーの進化というのは、化粧品に代わるようなデバイス、方法論が出てくる可能性もありますので、非常に注意深く見ていく必要があります。

■グローバルトレンド~美容(ビューティー)と健康(ウェルネス)の一体化

●グローバルトレンド:アクティブビューティー

グローバルトレンドとして、アメリカでは「アクティブビューティー」という言葉が流行っていて、ジムや出先で使えるコスメが人気です。このヘルスコンシャスな時代、化粧品やビューティーというものも、ジム通いにフィットするものでなくてはならないというところから、アクティブビューティトレンドは生まれてきました。これはアメリカで非常に強い流れがありますが、ヨーロッパでも少し見受けられます。

●グローバルトレンド:クリーン

もう一つ欧米のトレンドとして「クリーン」があります。例えば有害な成分を含まないクリーンな自然派コスメ。このオーガニックとまではいかないけれども「食べられるコスメ」というクリーンなイメージは、水には悪いものが入っている、安い化粧品には悪いものが入っている、というような感覚が残っている中国の華僑の方たちなどに非常に受けます。
日本では自然派で悪いものが入っていないというと無添加化粧品のイメージがあり、新しいという感覚はないですが、海外の方にとってはナチュラルでクリーンなイメージはCSR活動をしている企業は特に人気になってきています。
ナチュラルという言葉はアメリカ、ヨーロッパ、中国、日本とはそれぞれ考え方や思い入れ、信念などがかなり異なります。自然なものやオーガニックなもの、環境に配慮といった世界的に広がっている「ナチュラルムーヴメント」は、国や土地によって違うということを意識する必要があると思います。

●美容と健康の一体化により、美容へのアプローチも変化

そしてオーガニックやナチュラルというのはフードや化粧品どちらにも浸透している言葉なので、美容と健康は一体化していくべきだという風に考えています。そしてウェルネスのムーヴメントによって、美容に対するアプローチも変わっていくだろうと思っています。

日本人女性の中では、実は、美容と健康というのはそんなに分かれていません。日本の女性の中にも、内側からという健康観が最近強くなってきており、やはり実践している美容健康法も、非常にウェルネス思考です。最近この傾向が特に強くなってきました。

ある調査データでは、「美しく魅力を磨くために、どんな方法を実践していますか」の問いに対して、「痛々しく見えないように、痛くならないように」というのが上位にきていて、無理して若づくりして痛がられたくないというのが、数字を取っています。そして、その次に多いのは、ヘルスケア的な、ウェルネス的な要素です。美は内面からということ。やはり、食に対してのこだわりが異常に強いですね。野菜を多く摂るとか、寝る前に食べないとか、野菜を先に食べるとか。食事にこだわるということも非常に意識では高くなってきています。

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●美容と健康が一体化した価値観の例「フェイスマップ」

私は個人的に顔のリフレクソロジーを研究していますが、そこで使用している顔の反射区の「フェイスマップ」も、まさに美容と健康が一体化した価値観を持っていると思っています。
これは肌の状態を読み解くためのマップで、ウェルネス的なアプローチでスキンケアも考えていこうというものです。「ここを刺激することで疲れ目をパッチリさせます」といったようなアプローチをしていきます。こうした、ウェルネス的なアプローチで、これからのスキンケアやお顔の手入れというものを考えてもいいではと思っています。 

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