日本国内における「モバイル決済」導入のメリットは?

LINE Payや楽天ペイなどのモバイル決済が話題になっています。また訪日中国人向けに中国発のAlipay、WeChat Payなども日本店舗にぞくぞく導入されています。しかし、日本、中国、欧米で、モバイル決済の普及度には違いがあります。今回は、国内・海外のモバイル決済の状況や、導入メリットについてご紹介します。

■モバイル決済の利用状況

日本銀行決済機構局が2016年11月~12月に行った調査(出典:日本銀行決済機構局決済システムレポート別冊シリーズ「モバイル決済の現状と課題」2016年11月より)*¹によると、日本において、店頭でのモバイル決済の利用状況は6.0%とわずかとなっています。
また、米国では2015年11月の調査で5.3%、ドイツでは2014年5月の調査で2%と、いう結果になっていました。米国もドイツも、店頭でモバイル決済する人は少ないことが分かります。

一方、中国の報道(人民網日本語版「中国都市部はキャッシュレス社会へ」2016年5 月25日)*²によると、都市部の消費者を対象に実施された調査で、全体の98.3%が過去3ヶ月の間にモバイル決済を利用したと答えたそうです。

これらのことから、モバイル決済は先進国ではそれほど普及しておらず、一部の新興国や途上国では急速に拡がっていると日本銀行はまとめています。

■国内におけるモバイル決済の懸念点

日本国内においては、ID決済、もしくはウォレット決済と呼ばれるLINE PayやApple Pay、楽天ペイ、Yahoo!ウォレットなどの決済サービスがあります。これらは、決済サービスのアカウントIDに、クレジットカードもしくは銀行口座情報を登録することで、IDを通じて決済ができるものです。

なかでもLINE Payはアプリの「LINE」を通じてモバイル決済や送金などが行えます。これも一つの国内における主要なモバイル決済手段といえます。実店舗でも使えることや、事前チャージしてクレジットカードを持っていない人でも使えること、ポイントが貯まるといった利点があります。

また、AppleのApple Payもモバイル決済手段の一つです。iPhoneなどに電子マネーのSuicaやクレジットカードを事前登録しておくことで店頭決済が可能になります。

しかし、こうした一見便利なモバイル決済手段が日本に複数あるにも関わらず、利用者がわずかしかいない理由はどこにあるのでしょうか。

それは、先の日本銀行決済機構局のアンケート調査結果*³で知ることができます。店頭でのモバイル決済を利用していない理由として、日本・米国・ドイツとも共通して、「セキュリティや紛失リスクに不安」、「現金やクレジットカード等他の決済手段の方が、利便性が高い」、「使う必要が無い」が挙がっています。

先進国では、まだモバイル決済に対するセキュリティへの懸念が大きく、既存の決済手段に依存している状況があるようです。

■中国人向けのモバイル決済導入店舗がぞくぞく!

一方、モバイル決済を積極的に利用している中国人たちに向け、日本店舗には今ぞくぞく導入されています。これにより、訪日中国人たちは、より便利に買い物ができるようになっています。
いま、主流になっているのが、中国EC最大手のアリババグループによる「Alipay」や、テンセント社によるメッセージSNSであるWeChatの決済機能「WeChat Pay」です。

Alipayはコンビニエンスストアのローソンが全店舗で導入した結果、通常の客単価の約1.6倍になったことが報じられています。
また、紳士服のコナカはAlipayとWeChat Pay両方を新橋の店舗に導入。特にインバウンド需要の高いエリアという理由からです。

■中国人向けモバイル決済を導入するメリット

こうした中国人向けモバイル決済手段を導入するメリットは、ただ訪日中国人たちの利便性を高めることに留まらず、それぞれのサービスに紐づいているというところにあります。

例えば、WeChat Payを決済手段として取り入れると同時に、WeChatの企業公式アカウントページ上でセール告知やクーポン配布などのインバウンドプロモーションを展開することで、さらに集客UPやブランディングが可能になります。
何より、中国人観光客は日本国内においてもWeChatで情報共有をすることが多いといわれているため、その点でも、このSNS上でのインバウンドプロモーションは非常に有益といえます。また、「店ではWeChat Payで支払える」ということ自体、中国人にやさしい店舗であるという好印象を与えることもでき、ファン化も期待できます。

まとめ

モバイル決済は、日本人にとってはまだまだセキュリティなどの点から利用率が低い状況にあり、店舗への導入が急務というわけではないようです。一方、中国人向けにモバイル決済を導入することは、インバウンドプロモーションの一貫としても非常に有益な手段になってきています。こうした国内・海外の状況を踏まえて、モバイル決済をうまくプロモーションと連携させていきましょう。

参考資料
https://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psrb170620a.pdf
https://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psrb170620a.pdf
https://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psrb170620a.pdf

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