全米で乱立するシェアリングエコノミー、成功のカギとなるビジネスアプローチとは?【前編】

Uber, AirBnBを代表とするシェアリングエコノミー(個人間の経済活動を指すPeer to Peer型エコノミー)は、アメリカではすでに生活の一部として浸透しています。既存のビジネス慣習・規制との摩擦や、利用者間のトラブルを抱えつつも急成長している理由は、起業家精神と自由競争・自己責任を重んじるカルチャーが背景にあると筆者は見ています。 前編では、アメリカの代表的なシェアリングエコノミーと主要プレーヤーについて紹介し、特にマーケティングという切り口から成功のカギを探ってみたいと思います。後編では、数多くのプラットフォームがある中で各社がどのようなビジネス手法で訴求しているか、事例を紹介していきます。

■アメリカの代表的なシェアリング・エコノミー

PwCによると、シェアリングエコノミーの経済規模は、2003年の約150億ドルから2025年には3350億ドルほどに成長することが見込まれています。アメリカ在住の筆者も、移動にUber、中古品売買にcraigslist、ベビーシッター探しにcare.comと、日常的にPeer to Peerサービスを利用しています。カテゴリー別に、どのようなサービスがあるか見ていきましょう。

1.ライドシェア、カーシェア:Uber、Lyft、Turo

ライドシェアは、アメリカ大都市の郊外移動手段としてもはや生活インフラの一部です。世界70か国で事業展開するUberはシェアリングエコノミーのパイオニアです。競合にほぼ同じサービスを提供しているLyftがあります。タクシーは安全性の観点から国・都市によって様々な規制があり、Uberは各地の規制当局に攻撃的な姿勢を取ることで物議をかもしてきました。また、Turo(旧RelayRide)という個人間のカーレンタルもあります。 
Uber:https://www.uber.com/ja-JP/ (日本語サイト)
Lyft:https://www.lyft.com/
Turo:https://turo.com/

2.宿泊施設、ルームシェア:AirBnB、Couchsurfing

保有する住宅や施設を宿泊施設として貸し出すAirBnBは、191か国65,000都市で展開しています。日本でも"民泊"として規制緩和が始まったことで知名度の高いシェアリングエコノミーです。一方、Couchsurfingは旅行者が無償で情報交換したり、ガイドしたり、泊めてもらうという互助的サービスです。 
AirBnB:https://www.airbnb.jp/ (日本語サイト)
Couchsurfing:https://www.couchsurfing.com/

3.物品売買、求人、広告:eBay, craigslist

eBayは世界最大のオークションサイトですが、今ではamazon.comのようなECサイトとして変貌を遂げました。craigslistは、元祖クラシファイド(広告)コミュニティサイトです。物品売買、求人、不動産、出会い、個人広告、履歴書、などのフォーラムがあり、世界50ヶ国、570都市向けのサイトを擁しています。 
eBay:http://www.ebay.com/
craigslist:https://tokyo.craigslist.jp/ (日本語サイト)

4.知識、スキル、労働力:TaskRabbit, Care.com、Upwork

働き方を変える可能性を秘めているのが、仕事関連のシェアリングです。TaskRabbitは、家事やDIY、犬の散歩など、日常的雑用のアウトーソース・提供のマッチングサイトです。その他代表的なものとして、スキルや知識のあるフリーランサーと雇用者をつなげるUpwork、子供、シニア等のケアに特化したCare.comなどがあります。 
TaskRabbit:https://www.taskrabbit.com/
Care.com:https://www.care.com/
Upwork:https://www.upwork.com/

5.クラウドファンディング・レンディング:Indiegogo, Lending Club

ビジネスやチャリティの資金調達ニーズと、資金を提供する個人をマッチングするクラウドファンディングとして代表的なのがIndiegogoです。Lending Clubは、個人間融資の仲介サイトとしてスタートしましたが、今では融資のリスクを肩代わりするなど、消費者金融業的機能も担っています。 
Indiegogo:https://www.indiegogo.com/
Lending Club:https://www.lendingclub.com/

■拡大のカギ:供給サイドの確保と、安全性、使いやすいプラットフォーム

一方で、シェアリングエコノミー関連ビジネスは新規参入も多く、世界でのプラットフォーム数は1000を超えるとも言われています。競争が激化する中で生き残り、成長するカギは以下の3点です。 

①サービス提供者の確保 
供給が潤沢にないと利用者の利便性が高まらず、ユーザーが増えません。供給者が安心して気軽にサービスを提供でき、インセンティブのあるシステムが拡大への第一歩です。 

②事故やトラブルの回避と対応、信頼性の確保< 
提供者・利用者の安全性が確保されていることが、最大のマーケティングのアピールポイントになります。提供者/利用者のID確認とレビューシステム、保険加入、Web経由での支払い、24時間のトラブル対応など、利用者間のトラブル回避に各社は知恵を絞っています。 

③使いやすいプラットフォーム
使い勝手のよいアプリ、タイムリーなマッチング、システム上での代金決済など、プラットフォームの使いやすさがリピーター獲得につながります。 

次回は、乱立するプレーヤーの中で、各社がどのように利用者・サービス提供者を獲得し、規模を拡大しているか、具体的なマーケティング戦略に着目します。

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