毎年膨大な費用が注ぎ込まれるスーパーボウルのコマーシャル。今年もさまざまなものが話題となりました。2017年度のスーパーボウル中に放映されたコマーシャルの視聴者反応を調査した結果、近年評価が高かった「泣かせるコマーシャル(Sadvertising)」よりも「ユーモアのあふれるコマーシャル」の方が、高い評価を得る傾向に移り変わってきたようです。そこで今回は、視聴者調査で好感度の高かったコマーシャルを見ながら、「ウケるコマーシャル」の傾向を見てみましょう。

やっぱり大切なのはユーモア

ここで紹介する2つのCMは、視聴者からの好感度が高かったコマーシャルのなかでも「ユーモア」に富んだものです。どちらも、スーパーボウル放映中に実施された消費者の反応テストで5つ星を獲得した、数少ないコマーシャルです。

Skittles | “Romance” | Super Bowl LI Commercial

日本人の間でも「アメリカのお菓子の定番」としてご存知の方が多い「Skittles(スキットルズ)」。グミとガムの中間といったかみ心地のカラフルなキャンディーで、子どもから大人まで幅広い年齢層にファンを持つ商品です。そのSkittlesがクラシックな「ロミオとジュリエット」の要素を取り入れて、ユーモアたっぷりに仕上げたのがこちら。

大好きな彼女を窓の外から一生懸命呼ぶという行動とは裏腹に、小石の代わりにSkittlesを投げ込んでくる彼。そのSkittlesに夢中な彼女……という設定だけでも思わず「クスッ」と笑いを誘います。そしてそこからさらに、「まさかのオチ」といった形で、家族、泥棒、警察官……とさまざまな人々が登場し、締めにはビーバー。最初から最後まで、ユーモアにあふれたコマーシャルでした。

Mr. Clean | New Super Bowl Ad | Cleaner of Your Dreams

家の中のお掃除に大活躍のメラミンスポンジのブランド「Mr.Clean」のコマーシャルがこちら。Mr. Cleanのブランドアイコンは昔から、白いシャツを着た丸刈りの男性。従来あまりカッコいいイメージのないキャラクターでしたが、今回は雰囲気を変えての登場です。

主婦の退屈な日常……そこに登場したのは家中をピカピカにしてくれる、筋肉ムキムキのイケメンお掃除屋さん! ……それが実は夫? と、最初から最後まで、テンポ良くまとめてあるのが特徴のコマーシャルでした。

「旬」な話題で興味をひく

現在アメリカでは大統領の問題、移民問題、LGBTなどさまざまな時事問題があります。こういった時事的な話題をコマーシャルに取り入れた場合、その使い方を一歩間違えると企業イメージにダメージを与えることもありますが、今回はそれらをうまく取り込むことで、コマーシャルを成功へと導いた例を3つ紹介します。

Audi |#DriveProgress Big Game Commercial – “Daughter”

近年では著名人の発言も加わり「男女平等」「フェミニズム」といったテーマが、より頻繁に議論されるようになってきました。女性に焦点を当てたコマーシャルを制作したり、ブランディングの一環として女性支援を掲げたりする企業も多く見られるようになりましたが、今回Audi社が作成したコマーシャルもそのひとつといえます。

「女の子だからって夢を諦める必要はない」、そんなメッセージ性を持ったこのコマーシャルは、視聴者調査に参加した人々の68%に「Happiness(幸福感)」を与えたと評価されたそうです。

It’s A 10 Hair Care|Super Bowl Commercial

2017年3月現在、アメリカで最も注目されている人といえばやはりトランプ大統領。そしてトランプ大統領といえば「ユニークな髪型」がポイントです。そこに焦点を当て「ここから4年は彼の髪型をカバーするためにも、みんなは自分の髪をカッコよくスタイリングしよう」といったメッセージを発信したのが、「It’s A 10」というヘアケア製品のブランドです。

一国の大統領をネタに……とある意味勇気がある内容ですが、話題性といった意味では成功を収めたようです。内容が若干ふざけたものなのに、モノクロ映像や落ち着いた音声などを使い、コマーシャル全体の雰囲気をシブく真面目に仕上げたところも成功の秘密といえるでしょう。

Airbnb|We Accept

トランプ政権が発足して以来、アメリカでの話題のひとつといえばやはり移民問題。移民大国とも呼ばれるアメリカでは、経済が多くの移民により支えられていることもあり、たくさんの企業が「移民歓迎」をアピールしています。世界各国にそのサービスを広げている民泊サービス「Airbnb」も、そういった企業のひとつです。

このコマーシャルは、企業として移民問題にどのようなスタンスを示しているかを、視聴者にしっかりと伝えることができるメッセージ性を持ったものでした。

マーケティング用コンテンツを作る際に、「今、消費者が求めているものはどんなものか」といったトレンドを把握しておくことは、とても大切なポイントです。時には自社とは競合しない企業のマーケティング施策や関連サイト、メルマガなどもまめに目を通すようにし、消費者のニーズに合わせたコンテンツ制作を率先して行っていきましょう。

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