2014年に創業したニューヨーク発のスタートアップ「Casper」。
これまでの「店頭で試して買う」ことが主流だったマットレスの買い方を覆し、オンライン直販型によって、創業から3年弱で売り上げ100億円以上に急成長した企業です。その理由は、商品開発の工夫と、ミレニアル世代を魅了するウィットの効いたマーケティング方法やSNSの活用にありました。本記事では、Casperのビジネスモデルとマーケティングからその人気を紐解いていきます。

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■マットレス業界の常識を変えたCasperとは?

マットレス業界のアメリカでの市場規模は160兆円と言われています。これまでは店頭での対面販売が主流で、Casperが起業した2014年にはオンライン販売の比率は10%以下でした。Casper創始者Philip Krim氏らは、そこに目をつけたのです。徹底したSNSのマーケティングと、シンプルでクオリティの高い商品を低価格で提供することによって、創業からわずか3年弱で100億円以上を売り上げるほどに急成長しました。

Casperの強みは3つ。シンプル、サービス、マーケティングです。
第一にシンプルであること。当初の商品は「The Casper」の1種類のみだったので、消費者はサイズを選ぶだけ。Casperのマットレスは、異なる密度のフォームを重ねて作られており、高密度のフォームで体重をうまく分散し、低密度のフォームで通気性をよくしています。この最高品質のものを「たった1つ」だけ提供する。これにより、買い手である消費者が選択に悩む時間が大幅に減ります。1種類に限定するという売り手側の自信が、買い手の安心感につながるのではないかとも考えられています。

現在は、より高品質な「The Casper wave」も追加され、計2種類を販売していますが、シンプルというコンセプトは変わりません。商品のラインナップを最低限に抑えることで、生産コストや在庫のリスクを削減しています。削減した分は販売価格に反映し、ツインサイズは550ドル(約6万500円)、キングサイズでも1150ドル(約12万6,500円)と、高品質ながら低価格を実現しています。

■ミレニアル世代に選ばれるサービス

Casperは100日間のマットレスの無料トライアルのほか、購入者向けに10年保証のサービスを提供するなど、オンライン販売の弱点である「試せない」点を補っています。100日間トライアル後の返送率は、10%を下回るほど顧客満足度は高くなっています。また、NYのモデルルームや、全米各地をまわっているキャンピングトラックで実際に試すこともできます。

送料は無料のうえ、配達も迅速で、NY市内であれば注文した当日に配達、米国内でも1~5日以内に小型冷蔵庫ほどのダンボールに圧縮し配達してくれます。

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梱包もシンプルで、圧縮袋から出すとすぐに使うことができます。実は、これは従来のマットレス配送の概念を覆す重要なポイントの一つなのです。NYのような過密都市では大型マットレスの配送に費用も時間がかかるうえ、2階以上のアパートなどには配送できない場合があります。Casperの梱包は配送コストだけでなく、在庫を保管するスペースも大幅に削減できます。生産や配送、マーケティングにおいてコスト削減された分を惜しみなくサービスに費やすことで、オンライン販売でありながらも高い顧客満足度につながっていると言えるでしょう。

■SNSで“魅せる”マーケティングSNS

SNSを積極的に活用するミレニアル世代にとって、ネットでのマーケティングは非常に重要です。Casperの場合、公式Facebookには560,000人以上のフォロワーがあり、多くのレビューやコメントが投稿されています。ほぼすべてのコメントや質問にCasperからの返信があり、コメント欄を見るだけで実際に買った人のリアルな情報を得られます。

またInstagramには、ベッドでくつろぐオシャレな女性など、いわゆる「インスタ映え」する写真が投稿され、マットレスを超えたスタイリッシュさや魅力を生み出しています。

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SNSを使ったマーケティングは広告費用も最小限に抑えられ、顧客自身がレビューを書くことでそれがマーケティングの一部として発信されます。さらに公式ホームページでは、チャットを使って担当者が質問に答えてくれます。わざわざ店頭で説明を受けなくとも、自分の知りたい情報だけをいつでもリアルタイムに聞くことができるのは大きな魅力です。

デジタルな環境で育ったミレニアル世代は、オンラインショッピングへの抵抗がありません。アメリカでは、2016年の実店舗で購入したユーザーが累計9,910万人であったのに対し、オンラインでの累計は1億850万人と推定される結果が発表されました。小売行売上ランキングでも通販大手のAmazonは毎年順位を上げており、2010年の26位から、2017年では8位(77,024,000ドル)まで上昇、今後も売り上げを伸ばしていくことが予想されます。

また、ミレニアル世代は、店舗のスタッフやマスメディアの情報よりも、友人や自分と同じ考えを持つコミュニティから得られる情報の方が、より信頼できる情報として認識する傾向があります。Casperのように必要な情報を提供するだけでなく、コミュニケーションを通じてミレニアル世代に「リアルな情報を入手した」という経験を提供することが、今後のマーケティングのキーになっていくのではないでしょうか。

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