カナダNo.1のマーケットシェア!日本未上陸のカナダ老舗スイーツブランド「Tim Hortons」から学ぶ、ロングラン・プロモーション施策のヒント

日本にはまだ上陸していない、カナダのスイーツブランド「Tim Hortons」。カナダでは知らない人はいないというほど有名な老舗です。毎年行われているロングラン・プロモーションのほか、最近はSNSを活用したマーケティングも積極的に実施しているこちらのブランド。なぜ、Tim Hortonsがこれほどまでに評判や信頼を獲得し、長く愛され続けているのか、PR視点からその理由に迫ります。

■カナダで親しまれるドーナツショップ「Tim Hortons」とは?

カナダで知らない人はいないであろうTim Hortons。その1号店がオンタリオ州でオープンしたのは今から50年以上前の1964年。現在では、カナダで販売されているコーヒーの10杯中8杯を販売しているといわれるほどの巨大チェーンに成長しています(※1)。店舗数はカナダ国内に約3,800店舗、アメリカや中東諸国を合わせると約4,600店舗、現在でもその数は増え続けています。コーヒーチェーン最大手スターバックスのカナダ国内の店舗数が約1,400店舗ということからも、カナダでのTim Hortonsの存在の大きさがわかります。

オープン当初のTim Hortonsのメニューは、コーヒーとドーナツだけでした。しかし現在は、ベーグル、サンドイッチ、スープなど朝食や昼食メニューも販売しています。実は、Tim Hortonsはファーストフードレストランとしても店舗数はカナダ国内第1位。ファーストフードチェーンの世界最大手マクドナルドのカナダ国内の店舗数は約1,450店舗とTim Hortonsの半分にも満たないのです(※2)。

カナダ_02.JPGTim Hortonsがコーヒーチェーンとしてカナダで成功している理由の1つは、手軽な価格であることが挙げられます。スターバックスのコーヒーが1杯3.50カナダドル(CAD)からなのに対して、Tim Hortonsのコーヒーは1杯1. 35CADから。ドーナツ1個(0.99CAD)を一緒に購入しても、スターバックスでコーヒーを1杯飲むより低価格なのです。もちろん、価格だけが人気の理由ではありません。コーヒーの価格だけで考えれば、マクドナルド(1杯1.38CADから)と大差はありません。多くのカナダ人がTim Hortonsを選んでいるのは、Tim Hortonsのユニークなプロモーションや「カナダ発祥」のブランドとして地域に根差す活動をしていることがその要因として考えられます。

30年以上続く大人気キャンペーンとは?

Tim Hortonsと聞いてカナダ国民がピンとくるのは、スピードくじのキャンペーン「Roll Up the Rim to Win」。1986年から現在まで30年以上続く人気企画です。キャンペーン期間中はホットドリンクの紙コップのふちにくじが付いていて、その場で当たり・はずれを知ることができます。ホットドリンクを購入すれば誰でも参加できることと、すぐに結果がわかるシンプルさが特徴のこのキャンペーン。2017年の開催期間は2月1日から4月14日までの約2か月で、約3億個のくじ付きカップが用意されました。この数からもかなりのスケールで実施されているキャンペーンであることがわかります。

1986年の参加店は246店舗。特賞は、TimbitsというTim Hortonsの1口ドーナツの詰め合わせセットでした。その後、店舗数の拡大とともに、景品は年々豪華になり、近年は車や大型テレビが当たるチャンスもあります。その他にもプリペイドカード、コーヒー1杯、ドーナツ1個などの景品が用意されました。2017年の当選確率は6分の1でしたが、実は年々当選確率は高くなっています(2011年は9分の1)。その理由は、お客様を第一に考えるTim Hortonsの企業姿勢にあります。キャンペーン期間中はSNSでもよく取り上げられるこのキャンペーン。当たった人は喜びに満ちた報告を投稿し、反対にはずれてしまった多くの人たちはSNSに不満を投稿します。この声にTim Hortonsは真摯に対応し、当選確率を上げました。「今日は当たらなかったけど、明日は当たるかもしれない!」と思わせる高い当選確率と、SNSでの話題性が連動し、毎年このキャンペーンは注目され続けています。

■SNSではマクドナルドをはるかに上回る!いいね!数ここまでフォローされる理由は?

SNSを積極的に活用しているTim Horton。Facebookでいいね!をした人の数は約300万人、Twitterのフォロワー数は約64万人です。この数は、ライバルであるマクドナルドのカナダでのいいね!数(約92万人)、フォロワーの数(11万人)を大きく上回っています。

そんなTim HortonsがSNSを使って2014年から年末に行っているキャンペーンに「#WarmWishes」があります。参加者は、感謝の気持ちを伝えたい人を選び、どんなことをしてあげたいかを #WarmWishes と@TimHortons をつけて Twitter もしくはInstagramに投稿をします。そして、キャンペーンの最後に抽選で夢を叶える人を選び、その夢を実現するために企業側が予算5,000CAD(約41万円)までを負担するという企画です。

2016年のキャンペーン開始日には、カナダ6都市にキャンペーンカーを配置し、大々的に参加者を募りました。WarmWished ビデオには、選ばれた人々が、Tim Hortonsからのサプライズに感激する姿が映し出されています。このビデオの再生回数は100万回を超えていて、さらなるキャンペーン参加の後押しにもなりました。

このキャンペーンもそうですが、Tim HortonsのTVコマーシャルは、家族や仲間など「絆」をテーマとしたものが多く、人と人とのつながりを大切にしています。また、「Tim Hortons子ども基金」を通して健全な青少年の育成を目指したり、コミュニティーイベントのスポンサーとなったりするなどして地域活性化のための活動にも力を入れています。(http://www.timhortons.com/ca/en/corporate/community-initiatives.php

■まとめ

「Roll Up the Rim to Win」が長年キャンペーンを継続できたのは、毎年、顧客の声に真摯に耳を傾け、小さな改良を重ねながらカナダ国民にフィットするサービスを提供する努力を惜しまなかったためと言えます。また、社会貢献や人との絆をテーマとしたSNSキャンペーンなどを打ち出し、「地域の人々に寄り添う」という企業姿勢を明確にPRできていることもその背景にあります。

さらに、隣の大国「アメリカ」の影響を受けやすいカナダでは「カナダ発祥」であることが、カナダに住む人々の愛着を強くする傾向があります。そうした国民性を踏まえた上で、地域に還元するサービスを実店舗でもSNSでも心がけていることでより支持が高まっているのです。まさに老舗のマーケティング戦略から学べる好事例ではないでしょうか。

<参考サイト>

※1 http://www.timhortons.com/ca/en/corporate/fresh-facts.php#!open_flyout

※2 https://www.statista.com/topics/2145/tim-hortons/

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