今回ご紹介するのはカナダで話題となったプロモーション。蜂のキャラクターで消費者に長年親しまれてきた「Honey Nut Cheerios」を製造するGeneral Mills社が仕掛けたものです。これまで長年にわたりシリアルの箱にプリントされていたブランドアイコンが突如消えた………? その裏側にあるストーリーを見てみましょう。

プロモーションの裏にあるメッセージは?

世界では2006年以降、ミツバチが大量に減る蜂群崩壊症候群という問題が発生し、私たちの生活を脅かそうとしています。「ミツバチ」が人間の生活に大きな影響を与えている……と聞くと、「どうして?」と疑問に感じるかもしれません。しかし、ミツバチは蜂蜜の生産だけでなく、私たちが口にする野菜やフルーツ、ナッツ類などの受粉に欠かせない存在です。このままミツバチが減り続けてしまうと、ミツバチ自体が存続危機に陥るのはもちろんのこと、その他の動物や人間の食糧が不足する事態へとつながっていくことにもなります。

今回のプロモーションにおいてGeneral Mills社は、「蜂」が我々の生活にいかに重要な存在であるかを伝えると同時に、その数が減少していることへの危機感の向上を促しています。慣れ親しんだ蜂のアイコンを商品のパッケージから消すことで、人々の興味を引くことはもちろんですが、「環境のことを考えている、そのために何か行動を起こしている」というポジティブなブランドイメージの確立も狙っています。

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自社ブランドのキャラクターであるミツバチマークを商品のパッケージから消すことは、それを見た人々に「あれ? どうしたのかな?」と疑問を抱かせ、この大切な情報に興味を持たせることのファーストステップとなっています。

蜂を救おう! #BringBackTheBeesキャンペーン

上記でご紹介したシリアルの箱から蜂を消すキャンペーンと同時に始めたのが、「#BringBackTheBees」と呼ばれるハッシュタグイベント。「The bees need us(蜂は今、私たちの助けを必要としています)」というメッセージを含めた、動画も作成しました。

「#BringBackTheBees」イベント専用のウェブサイトも設立し、ミツバチの生存を脅かしているものは何か、それに対して自分たちができることは何かについての情報提供を行っています。ウェブサイトにはクリックひとつでソーシャルネットワークにシェアができるボタンも設置し、このキャンペーンがより多くの人の目に触れるよう工夫しています。

CTAで人々を動かす

今回のプロモーション戦略でぜひ注目したいのが、CTA(コール・トゥー・アクション:行動喚起)の設置です。商品のパッケージや動画、ハッシュタグなどを使って問題提起を行うだけでなく、ブランドがその解決策を提供することでイニシアチブを取っています。

今回のキャンペーンにおけるCTAの内容は、消費者がイベントサイトを訪問し、サイト上で必要情報を入力すると、無料でワイルドフラワーの種をもらうことができるというものです。General Mills社は今回のイベントで合計3,500万個のワイルドフラワーの種を無料で提供するそうです。さらに、キャンペーンに参加した人のうち5名に$5,000相当の賞品が贈られます。

ミツバチは、短い飛行距離の範囲内でさまざまな種類の花に触れることができる環境が適していると考えられています。今回無料で提供された種をすべての人々が蒔いて、それらに花を咲かせることができれば、ミツバチによってより良い生活環境を作り出すことができ、直面している問題への解決につながる……そんな希望が込められているのです。

人々の共感を呼び起こす賢いプロモーション戦略

今回ご紹介したGeneral Mills 社のプロモーションは、自社のブランドアイコンと、我々にとって決して他人事でない自然界の問題をうまく掛け合わせることで、消費者の共感を呼び起こすプロモーションを行ったものです。話題性、注目度、拡散性といったポイントはもちろん、ブランド自体のイメージアップにもつながる戦略はぜひ参考にしたいものです。

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