銀行のATMでおなじみのキオスク端末。航空会社のセルフチェックイン、映画館や劇場での予約チケット受取など、実用的な用途で使われる場合が多いのですが、ユニークなマーケティングに活用することもできます。グローバルブランドのO2Oマーケティング成功事例を3つご紹介しましょう。

フェイスブックの登録情報から、好みのチョコレートを推測

イギリスのチョコレートブランド「キャドバリー」のプロモーション用キオスク端末“Joy Generator”は、利用者がFacebookのアカウントでログインすると、登録情報から好みのフレーバーのチョコレートを推測し、それを無料でプレゼントするというもの。オンライン上の情報を、チョコレートという実物にリンクさせたO2O事例です。

このキオスク端末は、利用者の「いいね!」や「リスト(Interest list)」から、好きな音楽、ブランド、スポーツ、テレビ番組などの情報を収集、そこから「キャドバリーのチョコレートなら●●味(ミルク、ペパーミント、ヘーゼルナッツなど)がお好みなのでは?」と推測します。
そのフレーバーのチョコレートは、キオスク端末から出てきて、利用者はそれを無料で受け取ります。さらに、出てきたチョコレートを持って利用者が写真を撮り、ソーシャルメディアに投稿できるブースも併設されました。

このプロモーションのねらいは消費者に「普段は買わないフレーバー」を知ってほしい、試してみてほしい、という点にありました。通常は、消費者側が買いたいフレーバーを選びますが、このプロモーションでは逆、キャドバリーがフレーバーを選ぶため、購入の選択肢を広げる効果があります。
試してもらいたい商品を無料で提供する、という点ではサンプル商品の配布と同じですが、このプロモーションには「性格判断」や「占い」のような楽しさがあり、個々の消費者に対してパーソナライズされたアプローチをしているのが特徴。
また、商品をもらった消費者が、ソーシャルメディアを通じてその場で情報拡散できるようになっているのも、キャンペーンの効果アップにつながります。

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ファッションに合ったメイク用品をおすすめ。その場で購入も可能

化粧品会社ロレアルの“L’Oréal Paris Intelligent Color Experience”は、着ている服に合ったメイク用品を提案するキオスク端末です。
このプロジェクトは、ロレアルが商業施設外での販売をテストするために、ニューヨーク市の地下鉄構内で実施したもの。利用者がキオスク端末の前に立つと、センサーが服の色を感知し、おすすめのメイク用品を表示します。利用者が気に入れば、自動販売機を使う要領で、すぐに商品の購入が可能、購入しない場合は商品情報をメールで送信するオプションが提示されます。

このプロモーションの特徴は、即時に商品販売につながること、また、購入が成立しなくても、顧客情報(メールアドレス)が獲得できることにあります。さらに、「今、あなたが着ているものに合わせて商品をすすめる」というリアルタイム性も消費者の興味をひきつける要素になっています。

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ジェームズ・ボンド気分で任務にチャレンジ!遂行できたら映画チケットをプレゼント

「コカ・コーラ ゼロ」のキャンペーン“Unlock the 007 in You”に使われた端末は、名前を入力した利用者に、その場で実行してもらう任務を与え、成功すれば映画チケットをプレゼントするというもの。
端末は駅に設置されており、任務は指定されたプラットフォームに70秒以内で行く、という単純なものですが、任務遂行の過程にはさまざまな予期せぬ障害物がしかけられており、利用者をエンゲージします。
また、キオスク端末のそばに立っているバイオリニストが、利用者の行動に合わせ、その場で「007」のテーマ音楽を演奏するなど、ジェームズ・ボンド気分を盛り上げる演出も。

このキャンペーンは、「任務」という名のもと、利用者に能動的な行動を求めるため、顧客エンゲージメントの度合いが非常に高いことが特徴です。同時に、利用者の行動と、笑いをさそう演出が、その場に居合わせた人や、任務遂行の様子を公開したYouTubeの動画を見る人の関心をひき、不特定多数の消費者に対するアピールにもなります。

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