【連載】共同印刷×BOKURA パーソナル時代のコミュニティマーケティング タイトル「Vol.3 オンラインとオフラインの融合が、本当のコアファンを育てる」

SNSの出現により個人が発信力をもつようになった現在、多くの企業にとって「個人との結びつき」は以前よりも確実に重要なポイントになっている。その「個人のチカラ」に着目し、企業と個人のコミュニケーションを最大化しようとしているのが2015年にSNSマーケティング支援事業の会社として創業したBOKURAだ。

3回にわたってお届けする今回の対談では、共同印刷トータルソリューションオフィスの乙川繭子がBOKURA代表取締役社長の宍戸崇裕さんに「ソーシャル×リアルの可能性」について伺う。

KPIはコアファンの生成数

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乙川:御社でSNSマーケティングを実施した場合、具体的にはどのような効果が現れますか。

宍戸:開始後1カ月経つと、ユーザーから「公式アカウントからコメントがきた、ビックリ」という反応が見られるようになります。3カ月目になると、企業がユーザーに直接コミュニケーションをとっていると周知されるので、「実は私も昔からファンだった」という人が現れて、ハッシュタグ投稿が増えます。

それから半年後ぐらいまでの間に「公式アカウント対応が素晴らしい」「感動した」「この会社いいよね」と投稿してくれる人が出てきます。芸能人クラスが使っていたという情報が出てくるのも、この頃からですね。

例えば、弊社クライアントのユースキン製薬さんの場合、主婦や美容師が主なターゲットですが、マーケティング施策を実施してから半年経った頃に、あるアイドルグループの一人がユースキンを使っているとSNSで投稿してくれたんです。読んでみると、もう何年も前からずっと愛用している!と。

そうすると、そのアイドルに憧れている人達がどんどん使うようになってファン層が拡大し、ファンレベルも上がっていきました。

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乙川:企業がSNSマーケティングを実施する上で設定すべきKPIを教えてください。

宍戸:BOKURAが必ず設定するKPIは、「コアファンの生成数」です。

多くの企業はSNSアカウントのフォロワー数、ユーザーさんのハッシュタグ投稿数をKPIにしがちですが、フォロワーやハッシュタグの投稿数が増えても売上増加に直結するとは限りません。とは言え、最近ではSNS上で検索行動を起こす人が増えているため、フォロワー数やハッシュタグ投稿数を増やすことが間接的には売上増加に寄与するとも思います。
むしろ僕はSNS上のフォロワー数自体はどうでもいいと思っています。フォロワーが多い方が確かに情報の拡散力はありますが、拡散したところでフォロワーが実際に商品を買ってくれるとは限りません。

それよりも売上に直結するのはコアファンの存在です。ここで言う「コアファン」とは、商品をたくさん買ってくれるお客さまではありません。商品購入に加えて、周囲にも商品を推奨してくれ、企業のことを応援し、何かあれば企業の手助けもしてくれる人を指しています。
コアファンの定義は企業ごとに協議しながら決めます。例えば、「#〇〇(ブランド名など)を年間で〇回以上投稿している」や「SNSキャンペーンに参加したことがある」などです。10項目ほど条件を設定し、それをすべてクリアした人をコアファンとしています。
「2:8の法則」と言われる通り、上位2割が商品購入数の大部分を占めていますので、上位2割のコアファンを抽出し、残り8割のファンレベルをいかに上げて、上位層へと育てていくかが重要です。

若い世代との接点をSNSで表面化する

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乙川:ユースキンさんの話が出たので、具体的な施策の話を教えてください。ユースキンさんにはどのような課題があって、御社はどのように解決したのでしょうか。

宍戸:ユースキンさんはハンドクリームが有名な製薬会社です。主力商品の「ユースキンA」が去年60周年を迎えたほどの老舗企業で、シニア世代には馴染み深く、家に常備している方も多いと聞きます。
シニア世代に対しては抜群の知名度を誇っており、シニア世代向けのイベントなども年に数回行っていました。しかし、若い世代への認知やつながりはシニア世代に比べると希薄でした。そこを課題と感じ、「若い世代に向けても何かやりたい」ということで、SNS活用を開始されました。 

乙川:それはどのような内容ですか。

当時、Instagramで「#ユースキン」と検索すると愛用者による投稿が900件ぐらいありました。そこで、ユースキンSNS公式アカウントから投稿者に直接コミュニケーションを取り、使用へのお礼や質問への回答などを丁寧に行う必要がある!…と弊社からユースキンさんにアドバイスし、実際にやって頂きました。そうするうちに「おばあちゃん、お母さん、私の3世代で使っています」という返信が来たりして、実は若い世代にもファンがいることがわかりました。中には、エピソードを書ききれないからと、ハガキに書いて送ってくれる方もいるほどでした。
ちなみに、2018年3月現在、Instagramで「#ユースキン」と検索すると5,000件以上のユースキン愛用者の投稿があります。そうした投稿画像の中からユースキン愛に溢れているものを、ご本人の許可を得た上でファンボードと呼んでいる自社Webサイトへ掲載したり、大きなパネルに印刷して会社に飾ったりしています。
このように、SNS上に存在しているコアファンの投稿やコミュニケーションなどの良いコンテンツをSNSの中だけで完結させず、自社Webサイトやリアルの場にも活用することで、これまでよりも大きな広告効果が得られる可能性が高くなります。コンテンツ制作などのコスト削減につながるかもしれません。

SNSの利用者がどれだけ増えても、ネットだけで完結することは絶対にない

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乙川:ありがとうございました。3回にわたりSNSマーケティングについて宍戸さんに伺ってきましたが、弊社はデジタルに限らず紙をはじめとしたリアルな媒体を扱うのが得意な会社です。SNSが勢いを増す現在も、「リアルな場だからこそできることもある」と考えています。最後に、宍戸さんはデジタルとリアル、オンラインとオフラインの使い分けや融合についてどのようにお考えでしょうか。

宍戸:SNSをメインに仕事をしていますが、先日、紙媒体で著書を出版しました。デジタルでも自分の思いを伝えることができるのに、あえて本にしたのは、乙川さんがおっしゃる通り、紙(リアル)にしかできないことが間違いなくあるからです。

例えば、紙を活用することで、メッセージを伝えることができる層や伝える思いの幅が広がります。SNSの利用者が増えていると言っても、SNSを嫌いな人や使わない人もいます。本というリアルな媒体だからこそ僕の思いを伝えられる層が確実にいるんですね。

また、僕らはオフラインのリアルイベントも大切にしています。リアルイベントはデジタル施策に比べて工数も時間も人手もかかるので、主催する弊社としては労力がかかりますが、実施すると「大好きな企業の社長に会えた」「商品の製造現場を見ることができた」と、オンラインでは味わえない感動体験を提供できます。

だから、僕はどんなにSNSが発達したとしてもネットだけですべてが完結することは絶対にないと思っています。オンラインとオフラインをうまく融合させることで、お客さまを本当のコアファンへと変えることができるのではないでしょうか。

まとめ

あるインスタグラマーの講演を聞いた際、印象に残ったのは“SNSの世界において大切にしているのは「共感」、これがすべてです”という言葉でした。
企業や個人が発信した情報やモノ・コトに対して、潜在的な部分で抱いた「わかる~!!」「すご~い!!」という強い共感が興味関心や親しみにつながり、ひいては拡散(共有)につながっていく。――簡単そうに思えますが、企業から消費者へ情報を発信する際、“共感”を得ることは決して容易ではありません。

今回のインタビューで感じたのは、商品やサービスとタッチポイントを持った後こそが、企業にとっては重要だということです。
一度SNS上で強く共感し、商品やサービスとのタッチポイントを持った消費者に対し、どのようなブランド体験(ストーリー)を提供できるのか、それがLTVを高める上でとても大切になるのだと思います。例えば宍戸氏が話してくださったように、企業から消費者への丁寧なコミュニケーションは、消費者、特にコアファンにとってはとても素敵なブランド体験になるでしょう。そしてその感動体験はシェアされ、熱を持って伝播していきます。

私自身もですが、情報の多さと流行のサイクルの早さに、多少なりとも息切れしている人は多いのではないでしょうか。そんな時代だからこそ、消費者に選んでもらうための“共感”のポイント作りと、選んでもらったその後の体験をきちんと用意しておくことが大切なのだと感じます。

当社では企業の課題に応じて、オンライン、オフライン両方向の視点でさまざまなプロモーションをご提案しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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株式会社BOKURA(http://bokura.biz/
代表取締役社長 宍戸 崇裕さま

自動車業界、不動産業界での営業経験を経て、2009年、モバイルSEOを手がける株式会社Speeeに入社。2011年よりSNSなどのコミュニティ監視大手、イー・ガーディアン株式会にて、ソーシャルメディア運用事業の立ち上げを行う。
その後、2012年アライドアーキテクツ株式会社にて、ソーシャルメディアマーケティング事業部マネージャーとして200以上のクライアントのマーケティング支援、コンサルティングなどを行う。マーケターMTGという、SNS運用担当者を集めたワークショップを月一で開催。リテラシーを上げながら、担当者同士の横のつながりを生み出す活動も行っている。

共同印刷株式会社
トータルソリューションオフィス ソリューション開発部
乙川 繭子(おとがわまゆこ)

貿易関連、化粧品メーカーを経て2017年入社。化粧品をメインに新規事業開発に携わる。

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