【連載】共同印刷×BOKURA パーソナル時代のコミュニティマーケティング タイトル「Vol.2 企業がSNSをうまく活用するには“個人”になること」

SNSの出現により個人が発信力をもつようになった現在、多くの企業にとって「個人との結びつき」は以前よりも確実に重要なポイントになっている。その「個人のチカラ」に着目し、企業と個人のコミュニケーションを最大化しようとしているのが2015年にSNSマーケティング支援事業の会社として創業したBOKURAだ。

3回にわたってお届けする今回の対談では、共同印刷トータルソリューションオフィスの乙川繭子がBOKURA代表取締役社長の宍戸崇裕さんに「ソーシャル×リアルの可能性」について伺う。

企業が一個人としてSNSに入っていく

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乙川:企業がSNSを使ってマーケティング活動をする場合、どのような業種業態が向いているでしょうか。

宍戸:業種業態よりも、「ファンがつくかどうか」がポイントですね。

弊社にご相談頂くクライアントで多いのは、地方の老舗メーカーです。既存のリピーターは多数いるものの、高齢化が進んでいて若い層への認知が薄く、先細りになっているという課題を抱えています。

しかし、リピーターに支えられてきた老舗メーカーには「ファン」が確実にいて、長年築いてきた信頼もあります。SNSを効果的に使うことで若い層へもアピールすることができます。

乙川:「SNSを効果的に活用することでファンを広げる」ということですが、企業にとってのSNSの効果的な活用法とは例えばどのようなものですか。

宍戸:個人と企業という立場ではなく、企業が一個人としてSNSの世界に入っていくと良いと考えています。

例えば僕にはもう15年以上通っている大好きなラーメン屋がありますが、店員さんが「いつもの席でいいですか」と常連っぽさを出してくれると嬉しいんですね。そうなると、お店の雰囲気、店長の人柄も含めての“好き”なので、他店とは全く違う“好き”になるんです。ですから企業も、公式アカウントとして情報発信するだけではなく、プラスαで人柄も入れたほうがいいと思います。

僕自身も人柄は大事にしていて、事業としてBOKURAのソリューションを磨くのはもちろんですが、それだけなく、「説明をするのは誰か」「どういうしゃべり方をするか」といったところもちゃんと考えて、磨いていくべきだと考えています。

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乙川:人柄で言うと、社長がテレビCMに出てキャラクターを印象づけすることでインパクトを与える企業がありますよね。

宍戸:今、美容師や花屋の世界はまさにそうなっていますね。

お店が好きだから行くという人はもちろんいると思いますが、「店員さんとコミュニケーションをとりたい」「あの人がつくってくれるブーケが好き」という“人基準”でお店を選ぶようになってきています。

そのため、企業の公式アカウントではなく、店員さんの個人アカウントから情報を発信する方法に変えている企業も実際に出てきています。僕も企業のSNSの運用・支援だけではなく、スタッフに対するSNSの教育を依頼されることが多くなりましたね。

ロイヤルカスタマーをつくるには「ステップアップ」すること

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乙川:SNSマーケティングを実施して、コアファン、つまりロイヤルカスタマーをつくるために一番大切なことは何ですか。

宍戸:ステップアップしていくことだと思います。

多くの企業が、季節ごとのプロモーションのタイミングで「こういうキャンペーンをやるからぜひ来て」とターゲティング広告を打ち、当選したらメリットを与えますが、その先に何もしないというのが本当に多いですよね。こんな無駄なことはありません。次はどうしようかと、ステップアップしないと。

同時に、ファンレベルを見極めて適切な対応をすることも大切です。SNSである商品のハッシュタグをつけてポジティブな投稿をしている人はちょっとしたファンですよね。関連商品を買っている、友達にクチコミで伝えている、または商品のつくり方やこだわりに興味があるとなれば、ファンレベルはさらに上がります。
ここで「商品のつくり方やこだわりに興味がある」人を対象に、リアルイベントとして工場見学ツアーを企画して招待したとします。実際の製造現場を見ると、その人のファンレベルはさらに上がり、もう他の商品には「逃げられない」というレベルにまでアップすることがあります。

この方法はすべてのファンに刺さる方法ではありませんが、ファンのレベルを見極め、的確な対応をすることが重要ですね。

乙川:逆に言えば、ファンレベルを見誤って、浅いファンに濃いコンテンツを提供すると逆効果になり得るということですね。

宍戸:そういうことです。BOKURAではクライアントのファンパーティーをあえて地方で行います。その際、参加してくださるファンに旅費交通費は出しません。「それなら行かない」という方が当然いますが、それでいいというスタンスです。

旅費交通費がかかっても参加したいと思ってくれる方は、会場で社長に会うと泣いてしまうこともあります。その状況を「ファンボード」(企業のファンによる投稿をWebサイトに集約するBOKURAのサービス)にまとめると、企業にとってもファンにとっても最高のコンテンツになるんです。

ファンレベルが違う人が集まると、イベントは盛り上がりません。ファンレベルはこちらでフィルターをかけて統一する必要があります。

乙川:SNSの中で完結するのではなく、ファンパーティーなどのリアルな場を設けてファンレベルをソートすることで、適切な距離感でコミュニケーションが図れるんですね。

Vol.3に続く…

株式会社BOKURA(http://bokura.biz/
代表取締役社長 宍戸 崇裕さま

自動車業界、不動産業界での営業経験を経て、2009年、モバイルSEOを手がける株式会社Speeeに入社。2011年よりSNSなどのコミュニティ監視大手、イー・ガーディアン株式会にて、ソーシャルメディア運用事業の立ち上げを行う。
その後、2012年アライドアーキテクツ株式会社にて、ソーシャルメディアマーケティング事業部マネージャーとして200以上のクライアントのマーケティング支援、コンサルティングなどを行う。マーケターMTGという、SNS運用担当者を集めたワークショップを月一で開催。リテラシーを上げながら、担当者同士の横のつながりを生み出す活動も行っている。

共同印刷株式会社
トータルソリューションオフィス ソリューション開発部
乙川 繭子(おとがわまゆこ)

貿易関連、化粧品メーカーを経て2017年入社。化粧品をメインに新規事業開発に携わる。

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