約2.5か月間続く、アメリカの長い夏休み。しかし、共働きがスタンダードなため、子どもたちが安心安全な環境のなかで一日を過ごせる居場所が必要です。そこで各地でさまざまなキャンプが展開されています。

本記事では、いち早くソーシャルメディアを有効活用しながら、全米で急拡大したサマーキャンプに着目。地域の親子とのつながりを深めながら、プログラムを毎年改善し続け、リピートを獲得している「Steve & Kate’s camp」からエリアマーケティングのヒントを紐解きます。

■米国西海岸発のサマープログラム、全米の各エリアで展開中

「Steve & Kate’s camp」の特徴は、大人によるサポートを最小限にとどめながら、子どもたちが一人ひとり、それぞれの潜在能力を発揮し、学べる環境を大切にしていること。また、テクノロジー教育を積極的に取り込んだプログラムも強みです。例えばば「Film Studio」のコーナーではiPadやiMovieなどを使って映画制作に真剣に取り組む子どもたちの姿が見られます。また、「Music Studio」では自分たちが作った音楽や歌を編集してレコードに焼き、友人などと共有することもできます。その他、コーディングを学べるコーナーもあり、STEM教育の本場・アメリカならではの光景が目の前に広がります。

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子どもたちは、朝9時30分からはじまる全員参加の「キックオフ」の時間を終えたあとは自分の意思で自由にアクティビティを選びます。まさに、このスクールが大事にしている「WHEN YOU TRUST KIDS, THEY TRUST THEMSELVES(子どもたちを信じれば、子どもたちは自分のことを信じるようになる)」というフィロソフィーそのままに、子どもたちは大人に見守られながらも、自分がやりたいと思った活動に専念し、思い思いに楽しんでいました。

子どもたちの心をがっちりと捉えたユニークなサマーキャンププログラム「Steve & Kate’s camp」。果たして、どのようにして新たなターゲット層を獲得し、スピード感をもって全米に急拡大できたのか、マーケティングの側面から、スクールマネジャーのMatt Voorheesさんに教えてもらいました。

■転機は6年前、フェイスブック運用からすべてが好転

2011年の春より「Steve & Kate’s camp」は本格的にプロモーションツールとしてフェイスブックを活用しはじめました。その当時フェイスブックはiPad用アプリをリリースしたばかり。アメリカにおいては、有効な企業PRツールとして認識され始めたタイミングでした。当時はサマーキャンプを楽しむ子どもたちの表情や作った作品などを大量にアップしていたそうです。それを親たちがシェアしたり、コメント投稿して、拡散されていきました。

そうして西海岸のベイエリアの複数個所でのみ展開していたプログラムが、ソーシャルメディアでの拡散効果により、徐々にワシントン州やシカゴへと飛び火していきました。

現在では、単なる開催報告にとどまらず、本格的なプロモーション動画も投稿。子どもたちがプログラムでどんなことを感じたのかを語る動画は、数万回単位で再生されることもあります。

■地域の学校と人々に愛される仕掛け

もう一つ特筆すべきなのが、地域密着型の情報発信とその展開です。

各ロケーションのホームページをクリックすると、目に飛び込んでくるのは画面いっぱいに表示されたエリアマネジャーの写真。その左横には「Hey,I’m Matt」と大きな文字で子どもでもわかるようなあいさつ文が短く書かれており、その下に、保護者向けのマネジャーからのメッセージが書かれています。

「お客さまからの声」も当然、このエリアの保護者の声のみが掲載されていたりと、徹底して「地域に住む親子のため」にホームページを作っていることが伝わります。

このように、40か所の地域に住む親子に向けて、ホームページを活用し、エリアに特化した情報やコンテンツを整え、伝えていくことで、安心感を与え、関係性を築いているのです。

他にも、周辺の学校関係を中心としたコミュニティへのPRや、ポストカードを活用したリピート促進など従来型のプロモーションも実施しています。オンライン、オフラインの両方向からのプロモーション戦略で、着実に地域に根を下ろしています。

■毎年“カイゼン”で競合を凌駕

さらに、保護者にとっても子どもにとっても重要なのが、毎年飽きずに楽しめるかどうかという点です。「Steve & Kate’s camp」にはイノベーションラボというプログラム開発のチームがあり、デザイナーやハーバード大学の科学者、料理長など、バラエティに富んだ人材が属していて、新プログラムの開発や、既存プログラムの見直しを行っています。例えば、2017年のプログラムでは、テクノロジーチームによって構築された、デジタル・クリエイティブ・プラットフォームを活用することができるようになりました。これにより「Fashion and Film」のプログラムに参加した子どもたちは自分が創った作品をプラットフォーム上で保存したり、友人や家族に共有(シェア)したりできるようになりました。

競合のサマーキャンププログラムを寄せ付けない開発スピードと、質の高さがこのスクールの魅力であり、スクールそのものの質を担保しています。

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■評判が評判を呼ぶための仕組みを

地域に対応した売れる仕組みづくり=エリアマーケティングで重要なのは、地域に密着したアプローチを行うことで、地元ならではの消費者の不安や悩み、気持ちに寄り添い、課題解決の糸口を提供していくことです。

「Steve & Kate’s camp」では、地域の学校をはじめとするリアルなコミュニティと、SNSや動画、地域密着型のきめ細かなホームページなどで関係性を築きながら、その地域で愛され続け、リピートされる仕組みが成り立ってていました。もちろん、リピートの前提となるサービスの質の担保には余念がなく、プログラムの新たな可能性や魅力を広げる研究開発の仕組みも整備しています。

全米40か所、その広大な範囲にもかかわらず、ロケーションごとにきめ細かな訴求を行い評判を高めていく「Steve & Kate’s camp」のエリアマーケティング。自社の中にもうまく取り込み、活用してみてはいかがでしょうか。

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