開始1ヶ月で2,000万回動画再生!英国老舗百貨店の秀逸なクリスマスCMと連動キャンペーン

毎年イギリスで大きな話題になるクリスマス恒例のテレビCM
イギリスの中流向けデパート「John Lewis(ジョン・ルイス)」が2009年から続けているクリスマス恒例のショートフィルム風のテレビCMが、ここ数年イギリスで大きな話題になっています。毎年、クリスマス時期に流れるCMを心待ちにしているファンがいるほど注目度が高いこちらのシリーズ。そのストーリー性によるバイラル効果もさることながら、CMから実店舗やアプリへと誘導するキャンペーン戦略も見事です。今回は過去3年分のCMシリーズを振り返りながら、先進的な動画コンテンツマーケティングを行っているジョン・ルイス流の手法をご紹介します。

John Lewis Christmas Advert 2013 - The Bear & The Hare

まず、2013年の「クマとウサギ( The Bear and Hare)」は、冬眠に入ってしまうためクリスマスを体験したことがないクマのために、クリスマスイブにウサギが目覚まし時計を届けクリスマスの朝に起こしてあげるという2匹の友情を描いたアニメで、リリーアレンがキーンのカバー曲"Somewhere Only We Know"を優しく歌います。リリースから2年経った今でも語りつがれる名作といえるでしょう。 動画はこちら

John Lewis Christmas Advert 2014 - #MontyThePenguin

その成功に続いて7,000,000ポンド(現行レートで約1,288,845,785円)もの制作費を投じた昨年2014年の「ペンギンのモンティ( Monty the Penguin)」は、少年と仲良しのペンギンの日常をほのぼのとしたタッチでつづったCM。実はそのペンギンはぬいぐるみで、少年の空想の世界で生きているのだと視聴者が最後に気づく、見たあとに何とも言えない懐かしさを感じという作品です。

John Lewis Christmas Advert 2015 - #ManOnTheMoon

そして、今年2015年のテレビCM「月面の男(The Man on the Moon)」は、自宅の望遠鏡で月を眺めていた少女リリーが月面に住む老人を見つけ、手を振ったり弓に手紙をくくりつけ飛ばしたり、健気に遠くからコミュニケーションをはかろうと試みるお話。そんなリリーに気づかず月から青く輝く地球をひとりもの哀しげに見上げる老人でしたが、クリスマスにリリーが風船に結びつけ飛ばしたプレゼントが月に届きます。その赤い包みを老人が開けてみると望遠鏡が入っており、レンズからのぞいた先には笑顔で手を振るリリーがいるのです。静かなピアノと叙情的な女性の歌声による「Half the World Away(英バンドOasisの曲をAuroraがカバー)」 もこのストーリーの世界観にマッチしています。

テレビCMの感動を自分も体験できる連動キャンペーン

ジョン・ルイスのクリスマスCMへの視聴者からの反響は非常に大きく、今年のCMはオンエア開始からわずか1ヶ月の12月半ばの時点でYouTubeの動画視聴数が21,136,587、フェイスブックのシェア数は115,875にものぼっています。 

そして、もうひとつ触れておきたいのが、CMとの連動キャンペーン。YouTubeからリンクが貼られた公式ホームページではCM動画はもちろん、満月までのカウントダウンをするアプリ、老人をサポートするチャリティーAGE UKへの募金、関連イベントなどの情報にアクセスできます。また、実店舗におけるキャンペーンとしては、ロンドンの店舗では屋上カフェに天体望遠鏡を設置した月観測体験が用意されていたり、他のいくつかの支店ではCMに登場する「月ベンチ」で記念写真撮影ができたり、さまざまな疑似体験が準備されています。関連グッズ販売も行っており、イラスト入りのマグやパジャマ、ベビー服、チョコレート、湯たんぽ、ジグソーパズル、クリスマス向けラッピング用品、さらにテレビCMにちなんだおもちゃの望遠鏡工作キットや風船などが店舗とオンラインショップの両方で購入できます。
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共感を生み出すストーリーマーケティングの進化版

ジョン・ルイスのクリスマスCMの特徴は、商品は一切登場せず、会社名を派手に強調することもなく、オリジナリティとクオリティの高い「ストーリー」「映像」「音楽」を提供していることです。また、子供目線のストーリー展開にすることによって、大人に自らの幼少期のクリスマスの思い出につながる共感性をもたせています。ごちゃごちゃと商品を紹介したり、騒々しいナレーションを流したりするCMとは一線を画し、数秒でジョン・ルイスのCMだとわかるような、せつなくも温かい雰囲気の作品は、イギリスにおける冬の風物詩のひとつと言えるでしょう。
このようなストーリーマーケティングの手法は、テレビCMなどマスマーケティング向けの広告宣伝においてこれまでも実践されていました。今回のCMは、YouTubeなどのソーシャルメディアのほか、商品や実店舗でのサービスも含め、すべてを連動させることにより、さまざまな角度からブランドの共感の輪を広げており、ストーリーマーケティングの進化版といえます。縦横無尽にストーリー性でアピールすることにより、主要顧客である中流ファミリー層の心をつかみ、クリスマス関連商品とデパート全体の売り上げ、さらに企業のブランドイメージアップにも大きく貢献しています。

参考サイト

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