エクセルを使った顧客管理システムには限界がある?メリットとデメリットを検証

MicrosoftのExcel(エクセル)は「表計算」というカテゴリに分類されるソフトウェアですが、顧客管理にこのエクセルを使用している方も、おそらく少なくないことでしょう。
ビジネスシーンに浸透し、かつ手軽に使えるエクセルは、シンプルに顧客情報を管理するにはとても便利なツールです。しかし、お客様とのより良い関係性を構築していくためのツールとして考えた時、エクセルによる顧客情報管理にはやはり限界があると言わざるを得ません。
この記事では、エクセルを用いた顧客管理のメリットとデメリットを検証し、よりよい顧客情報管理のために必要な手法について考えてみます。

エクセルを使った顧客管理のメリット

エクセルを顧客管理に用いることのメリットは、何と言ってもその「手軽さ」にあるといえます。日頃から使い慣れているエクセルを使って情報を管理できるのは、やはり大きな利点です。最近はたいていの企業の業務用PCにマイクロソフト・オフィスが入っていますので、新たなソフトウェアを購入することなく使い始められるというのも大きなポイントです。 

また、エクセルでは縦✕横の2次元の表形式で情報を記録できるため、直感的に分かりやすいというのもメリットのひとつといえそうです。実際、数万件程度の顧客の住所や電話番号、性別、生年月日、入会日、といった属性を管理するだけであれば、エクセルでも十分事足りるかもしれません。基本的な顧客情報を管理するための始めの一歩として考えるなら、エクセルはそれなりに優秀なツールであるといえるでしょう。

エクセルを使った顧客管理の限界点

一方で、エクセルによる顧客管理にはいくつかのデメリットもあります。
まず、複数の担当者で顧客情報を共有したいような場面には、エクセルはあまり向いていません。サーバ上にエクセルファイルを配置して共有設定をかけるような方法で、同時に複数名でファイルを参照・編集しているケースをしばしば見かけますが、こういったやり方には、他人が編集したデータを誤って上書きしてしまう、リアルタイムに正しい情報を参照するのが難しい、といった問題がついてまわります。また、ファイルとして簡単にコピーして持ち出すことができるため、顧客情報の漏洩も懸念されるところです。 

もうひとつ重要な点として、エクセルではいわゆる「一対多」の情報を管理しづらいということを挙げられます。 縦横二次元の表形式でデータを記録するため、顧客の名前、住所、電話番号、性別、といった、顧客IDと一対一で紐付けられる属性情報は管理しやすいのですが、一人の顧客に対して何件の情報が紐づくかを事前に確定できないデータ――たとえば、問い合わせ履歴や注文履歴など――を管理しようとすると、途端に難易度が上がるのです。問い合わせ履歴を横にズラズラと並べていくわけにもいきませんし、かといって別のシートに記録してしまうと、情報の紐付けや検索が難しくなってしまいます。

顧客との関係性構築に必要なこと

国内市場の成熟にともなって、顧客との密接な関係構築がますます重要視されつつありますが、そのためには、顧客の属性情報だけでなく、注文情報、商品情報、問い合わせ情報、SNSなどでの発言履歴といったさまざまな情報を集約管理することが求められます。 

こうした状況を背景として考えた時、エクセルによる顧客情報管理では力不足の感は否めません。本格的な顧客関係性構築を前提とした場合、情報を複数の表に分割して管理し、必要に応じて自由な形に組み合わせられる「リレーショナル・データベース(※)」のような仕組みを導入した方が、より高い効果を期待できるでしょう。 

※リレーショナル・データベース:情報を「テーブル」と呼ばれる表形式の領域に保存し、複数のテーブル間に関係を持たせて管理することのできるデータベース。

段階に応じて使い分ける

手軽に利用できるエクセルは、「まずはシンプルな顧客情報管理から始めてみよう」という段階においては便利なツールとなり得ます。しかし、顧客とのより「密」な関係性構築が求められている現代の市場環境においては、複数の情報をさまざまな形で組み合わせて、データを統合・分析するための基盤を整えることが重要となってきます。
自社の取り組み状況を踏まえて、段階に応じたツールや手法を導入していくことが大切だといえるでしょう。

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