共同印刷は2016年3月に日本におけるコンテンツマーケティングの先駆者、イノーバ(株)と業務提携しました。それからちょうど1年にあたる2017年3月吉日。
イノーバ(株)代表取締役社長 宗像淳氏と共同印刷(株)プロモーションメディア事業部 不破貴計が対談を行いました。

イノーバ株式会社 代表取締役社長
宗像淳(むなかた すなお)

福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。

共同印刷株式会社 プロモーションメディア事業部 営業企画部
不破貴計(ふわ たかひろ)

2006年入社。入社から9年間、大手広告代理店グループの営業担当として、制作・印刷業務を中心にプロデュース業務に従事。2014年より営業企画部へ異動。コンテンツマーケティングを手掛ける(株)イノーバとの資本業務提携を遂行。現在は、デジタルとリアルプロモーションの融合による最適なコミュニケーション立案や外部企業との連携、新サービスの立ち上げ等の活動を行う。

「興味のない人に営業するのが辛いなあ」と思って調べた『コンテンツマーケティング』

―さっそくですが、宗像さん、Webの世界に魅せられ、その中でもコンテンツマーケティングで起業しようと思った経緯と、コンテンツマーケティングの醍醐味についてお聞かせください。

(宗像社長※以下敬称略)Webの世界に魅せられたというよりは、意図せず入ったんです。前の会社が法人向けにソーシャルメディアのソフトウェア販売をしていて、その際にアウトバウンドで営業をかけていたのですが、営業畑ではなかったこともあり、興味がない人への営業が毎日辛くていろいろ調べていました。
でも、起業してすぐにコンテンツマーケティングを事業にしようと思ったのではありません。施策としてコンテンツマーケティングをやろうとは思っていました。

当初は、ワインのコンテンツを充実させたeコマースをやろうと思っていました。わたしが考えたわけではなく、アメリカに実際にあったサービスです。ワインは敷居が高いところがありますが、飲みたい人はいっぱいいる。でも飲んだことがないからわからないし、飲んだことがあっても選び方わからないと思われがちです。でもワインにまつわるうんちくが入ってくると面白くなる。だからコンテンツマーケティングでやっていこうと思っていました。

― やってみると楽しい、知ると楽しいってことですよね。

(宗像)不破さんは毎日飲んでいますよね。

(不破)はい(笑)部門長にひたすらワインについて教えられて興味を持ちました。彼にコンテンツマーケティングされていましたね。

友人に「いつもコンテンツマーケティングの話をしているよ」と言われ決意

(宗像)…というわけで、コンテンツマーケティングをしようと思ったのは、いろいろ2~3トライしていくつか失敗した末ですね。友人と話している際に「あなた毎回コンテンツマーケティングの話をしているよ。そんなに話してるんだから好きなんじゃないの。それをやったらいいんじゃないの」と言われて決意しました。

―その時には、「コンテンツマーケティング」はあったのですか。

(宗像)「コンテンツマーケティング」と「インバウンドマーケティング」という2種類の言葉が存在していました。まだ渋谷で少人数で運営していた時に、どちらの言葉で行くかと激論を交わし、迷った末に、意味合いに幅と広がりがあるので、コンテンツマーケティングでいこうと決意しました。 すると、大手代理店やWeb制作会社なども「コンテンツマーケティング」を推奨しだし、ブームとなってきました。

―アメリカ留学時にヒントを得たわけではなかったのですね。

(宗像)はい。もちろん何が流行っているのかは当時からリサーチしていました。 コンテンツマーケティングが話題となったきっかけのひとつはSNSの流行です。企業が「広告だけじゃだめだよね」と気づき、でもSNS上でが商品のことをつぶやいても意味がなく、コンテンツの重要性がでてきた。そこに検索エンジンの大きな改正が重なりました。

コンテンツマーケティング:難しいこと。これが醍醐味です。

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―こうしてコンテンツマーケティングの会社を起業され、2011年6月にイノーバ(株)を設立されてからももうすぐ丸6年となりますね。コンテンツマーケティングの醍醐味は何ですか。

(宗像)「難しいこと」ですね。総合力が求められます。クリエイティブとしての面白さ、ものを売らなくてはいけないこと、紙・Webを含めてお客さんにどう届けるかというターゲットにリーチする施策すべてを考えなくてはいけません。
設立初期は「やれば売上50%UPですわ~」なんて甘い夢を抱いて売っていた時代もありますが(笑)、初期に反応いただいたのは中小のeコマースのお客さまで、今はだいぶ一巡しました。
ヴァリューズという会社のサービスで分析をかけました。オウンドメディア閲覧者と非閲覧者のブランド想起に関する統計を取ったら、10ポイントくらい閲覧者の方が高かったという結果があります。前年比較をしても10ポイント。因果か相関かはわかりませんが… コンテンツマーケティングという手法が有効だということは確信を持っています。

紙:手元にある、という面白さは絶対です。

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―さて、不破さんはどうですか。紙の世界に魅せられた?理由と、紙・印刷の醍醐味を伺いたいと思います。

(宗像)さきほど来たスタッフは、「工場が好きだから印刷会社さん好きなんです」って言うんですよ(笑)。不破さんも工場とか、モノ作りの現場が好きで共同印刷に入られたのですか。

(不破)紙に魅せられて入社していませんが(笑)、工場も、モノづくりの現場も好きです。私だけではなく、「目に見えるものが好き」という人が多いので、「見えない」Webのこと考えると、モヤモヤしてしまうことがあります。今のご時勢そうも言っていられないので、御社と提携したりと領域拡大に取り組んでいるのですが…。
印刷会社の魅力はやっぱり、紙、書籍、POP、なんでも幅広く作ることができることですね。過去いろいろな人が試行錯誤して現在にいきついているから奥が深いです。
逆に歴史が長いからこそ、規制や束縛、制限も感じます。例えば紙の規格はA4・B5など人々が使いやすいサイズがもう文化として決まっています。店頭POP も棚の幅などが決まっているので、それに合わせる必要があります。「面白いものを」と言われても、かなりやりつくしてきたなかで絞り出したり、切り口を変える必要があります。
でもやはり、モノを作ってそれが手元にある、という面白さは絶対です。

(宗像)僕は本を2冊出していますが、それについて社内で喧嘩がおきたんです。相手は当時のCFOですが、「なんで紙なんですか。書籍とか意味わかんなくないですか」と。僕は「お前こそ本当にわかってないな。Webで情報を取る人はまだまだ一部で、9割の人は本屋に行っているんだ。多くの人にリーチしたいなら本だ」という喧嘩です。 本には「大勢の人に届けるときの強さ」「もらったときのありがたさ」があると思います。1冊目の本はとくにイラストや用紙などもこだわりました。

―本には、紙質や厚み、そのイラストや帯などひっくるめて個性がありますよね。

情報があふれているメリットデメリットがある。人間はすべてを見切れない。

(宗像)少し脱線します。僕の本のアマゾンのレビューは1冊目は悪く、2冊目は良いんです。1冊目はイラスト多め、情報軽め、事例多めという作りで、気軽に読めるようにしたら「こんなのWebに出てる」というコメントが散見されました。 2冊目は、タイトルに「一番やさしい」ってつけているのですが、盛りだくさんで難しい内容です。とても本作りが上手なインプレスの編集長の「タイトルは”一番やさしい”ですが、宗像さんが今まで読んだマーケティングの本のエッセンスをすべてつめこんでください」と言う無茶苦茶な企画に答えました。勢いでひーひーいいながら書いた。吸収するのは大変だけど、読んだ際にお得感があると思われているようでレビューが良いんです。

―Webは情報収集、紙で読むのは学びたい・吸収したいということですね。でも逆になぜWebは紙に比べて軽くみられてしまうのでしょうか。

(宗像)無料だからでしょうね。
あと実際のWebは、HPや記事が無数にありすぎて「探しきれないとわかっている」ことも大きいのではないでしょうか。

(不破)本を含め紙は、楽だと思います。Webは自由度が高すぎて、企画するのも見るのも大変に感じます。紙はフォーマットのアイデンティティが刷り込まれているから、内容の認識度が深いのではないでしょうか。

(宗像)Webで拾った情報を整理してますか?私はドロップボックスかポケットに入れるだけいれて、整理はしていませんね。エヴァーノートなども活用しきれていません。
情報があふれているメリット・デメリットがある。人間はすべてを見切れないですよね。

―ということは、人の情報処理能力としても紙とWeb両面を活用するというのは有効ですよね。

(宗像)以前、大手外資系メーカーで長年マーケティングをしてきた友人が、ある調査会社が年賀状の代わりに、その人が好みそうな書籍をくれることを絶賛していました。そういうことだと思います。

情報が溢れた時代だからこそ強い「モノ」

(宗像)捨てられないためのDMの事例として、米国でみたものに、転職活動時の「ぼろぼろの靴DM」というものがあります。ドアに足を挟む(foot in the door)という言葉があるのですが、「私は靴がこんなにボロボロになるまで営業をしますよ」という意思表示のDMでした。

(不破)年末にカレンダーを送るのもそれに近いかもしれませんね。

(宗像)僕、手紙書いています。

(不破)いいですね!今導入予定のSFA(Sales Force Autmation/営業支援システム)の機能として手紙自動出力というのを考えています。

(宗像)僕もです!(笑)

(不破)初回訪問した何日後かに、住所・宛名・基礎文面は自動出力されて、営業は一言書いて出すだけ、としたいんです。担当者の誕生日が聞けたらデータとして入力して誕生日カードが自動出力されるようにしたいですね。

―先日、当社も加盟している日本CRM協会の賀詞交歓会の席上で、お客さまとのコミュニケーション=CRMの施策の一環として、スタッフ一人当たり何百枚も手紙を書いている、という企業の発表がありました。そこからの購買転換率がかわってくるというお話でしたが、なかなかマネできないですね。

イノーバ×共同印刷で出来ること=Webと紙でアプローチを最大化する

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(宗像)紙ではないですが、インサイドセールスについても他があまりやらないから響きます。当社ほどインサイドセールを実施している会社はあまりないと思っています。

(不破)不思議ですよね、インサイドセールスも。売込みしないと話してくれる。売り込むと聞けない。遠回りなようで近い。手紙も、遠いようで近道なのかもしれませんね。

(宗像)夜のお店のマーケティングが参考になりますね。ホストもホステスもマメなんですよね。昔は会いに行っていたけど、今はメールやLINE。そんな中で手紙は直接届くし温かみがあります。余裕が出たらオリジナルのマガジンを発行したいと思っています。

(不破)クライアントやターゲットのステイタスに合わせて、内容をカスタマイズしてパンフレットなどを作りたいですね。もらった側が「いい記事ばっかり選んでくれているなー」と感じてくれるような。SFAと連携したら実現可能ですね。

(宗像)少しニッチかもしれませんが社内報を発行している企業は、まだ全体の一部だと思います。コンテンツマーケティングやSFAの情報から社内報を生成できると面白いのではと考えています。
あとはやっぱり、コンテンツマーケティングのリード情報から営業が利用するツールを制作したいですね。

(不破)コンテンツマーケティングでの最後の一押し(比較検討~購入層)のところで、ターゲットに紙のDMでインセンティブを与えたり、最適な営業ツールを提供できる。これが他の会社だとなかなかできませんが、イノーバ×共同印刷だと出来るということをぜひお伝えしたいです!

(宗像)そうですね!

―本日はありがとうございました!

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